2022年10月28日
根室市議会10月定例月議会では補正予算審査特別委員会が行われ、そのうち一般会計では、ふるさと応援寄付金に対する返礼品贈呈経費や北海道赤潮対策緊急支援事業にもとづく市町村負担金など、49億5860万2000円、そして国の住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付など3億1,415万円の補正予算を全会一致で可決しました。
今回の補正予算の主な内容をご紹介します
【一般会計】
ふるさと納税推進事業経費 12億5,000万円
主に返礼品の贈呈経費の増額分です。全国からお寄せ頂いたふるさと応援寄付金ですが、2022年度は当初予算額に加え、6月定例月議会の補正予算と今回の10月補正分を合わせて50億円が基金に積み立てられています。
また逆に基金からの事業費として活用した分は2022年度に63億1,990万3,000円で、現時点の年度末残高見込みは119億4,972万3,178円になっています。
今年度の寄付金の受け入れ状況は受け入れ件数が約13万9,000件、受け入れ金額約25億100万円と現時点では近年と同水準で推移しているそうです(10/12時点)。
なお根室市では
『地方創世の推進等に関する基金管理方針』【2021年3月改定】で2021年度(令和3年度)~2024年度(令和6年度)までの4年間で500億円、年間125億円づつ積み立てる目標額を定めています。現時点で4年間の積立目標額500億円に対して約3割の到達状況、また将来に備えて2024年度末(令和6年度末)の基金残高の目標200億円に対して約6割となっており、市担当課によると概ね方針通りに推移している評価とのことです。
各種基金の積み立て 35億8,037万8,000円
前年度の繰越金の各種基金への積み立て:財政調整基金 5億6,000万円/減債基金 2億円/備荒資金組合の超過納付金 1億円/廃棄物処理施設建設基金 2億円 ほか
上記のふるさと応援指定寄付金等の13基金への積立 25億円
2021年度一般会計の決算では実質収支額が約11億1,392万円になっており、その1/2を財政調整基金に積み立てています。2021年度末で15億8240万円に対して、令和4年度予算ベースで19億1800万円ほど見込まれます。
※地方財政法(剰余金):第七条 地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。
減災金は令和3年度末で7億1,100万円。令和4年度予算ベースで9億1,100万円。
備考資金組合の超過納付金は根室市は平成14年度のピーク時14億円を積立ていたが、その後の財政状況の悪化により取り崩し、平成21年度以降は2億円後半の水準で推移していた。令和3年度末で3億円で令和4年度予算ベースで4億200万円の見込み。
※北海道市町村備考資金組合:組合市町村が、隣保相扶の精神に則り、災害による減収を補填し、又は災害応急復旧事業その他災害に伴う費用に充てるための積立金に関する事務を共同で処理することを通じて、相互の福利増進と財政運営の健全化を図ることを目的としています。普通納付金:災害が発生した時に応急復旧費用や減収補填、その他災害に伴う費用に充てるために積立。根室市は2021年度末の現在高1億2800万円の2倍以内を活用することができる。超過納付金:普通納付金を補うための災害備蓄として納付し、災害に強いまちづくりにも活用することが出来る。
根室市はこの3つの基金の合計額は令和3年度末で25億9,300万円。令和4年度予算ベースで32億3,100万円が見込まれます。
また廃棄物処理施設建設基金は今回の2億円積み立てで計3億円になります。
感染症対策事業経費 493万3,000円
職員用として市庁舎に配備する感染対策資機材の購入経費。抗原検査キット2,000個、グローブなど
感染症拡大防止対策事業経費 3,916万円
濃厚接触者や感染の疑いのある市民に配布する抗原定性検査キット4万個を追加購入する経費(月平均配布数約6000個×7か月分)。今年度は4月から8月までに約3万キット配布。
国営土地建設改良施設維持管理事業経費
※債務負担行為として次年度(2023年度)に1,703万1,000円を支出予定
太陽光発電自動出力制御装置設置に対する工事経費。国営環境型かんぱい排水事業によって肥培施設の整備が進められているが、その肥培施設の維持管理費の負担軽減のために、太陽光発電施設を設置してきた。北電から電力需給のバランスが崩れた際に出力を制御する装置を設置するよう求められたものです。肥培施設は現時点で25か所設置予定で、うち太陽光発電施設は5か所に設置されています
ただ現在は半導体等の資材調達が困難なため、今年度に発注し、実際の工事を次年度に実施するために債務負担行為としています
春国岱原生野鳥公園管理運営経費 180万円
ネイチャーセンター館内照明のLED化工事。フライウェイ・サイト保全活動支援事業の助成決定によるもの
水産業振興経費 3,202万2,000円
昨年9月に発生した赤潮被害に対して国が前年度補正予算で15億円で計上した「
北海道赤潮対策緊急支援事業」について、各地元の漁業者による活動組織の取り組みに対して、北海道水産多面的機能発揮対策協議会を通じて実施される事業(環境・生態系保全緊急対策事業)の市町村負担分
漁業者による活動組織は根室市では7組織があり、赤潮によりへい死したウニ殻の除去・処分やウニ種苗放流が5月から実施されて、ウニ殻の除去などはすでに完了しているそうです。また調査資材(ウニ種苗)の放流による漁場環境把握は12月まで実施する予定となっており、その後来年3月まで種苗の生存調査が行われます
また赤潮対策の今後については、被害をうけた資源回復までには複数年かかるため、8/4に道と関係自治体や漁業者は国に対して、赤潮発生前の漁業生産に回復されるよう継続的な支援を要望しています。
商工業振興経費 121万円
見取町商店街振興組合の街路灯LED化に係る経費
市営住宅整備事業経費 430万円
社会資本整備総合交付金の追加配分により、2023年度(令和5年度)に解体を予定していた6棟24戸のうち、今年度予算で光洋団地47棟(1棟4戸)の解体工事を前出しして実施。
根室港港湾整備事業経費 1,100万円
※また債務負担行為として次年度(2023年度)に工事費として3億2,200万円を支出予定
2022年度の当初予算で実施設計が計上されていた根室港区北地区背後地船置場整備工事ですが、根室漁協組合が運営している船揚げ場の施設ですが、現在の「軌道走行による固定稼働型船台方式」の施設からクルマによる移動の方式(牽引走行による自在稼働型船台方式)に変えるため、レールの撤去や背後地をコンクリートやアスファルト舗装の平坦な用地に整備する工事。これまでの施設だと海中部分のレール等の設備が流氷などで破損が多くあったそうです。また現在の方式だと多くの人員配置や作業時間を要し、引き揚げや移動の安全のために機械操作にも熟練の技術を必要で、作業員の人材確保の点で将来的な課題を抱えていました。こうしたことから、
斜路部分は国の直轄事業の範囲ですが、別な直轄事業とあわせて予算配分(1億円)が認められたため、市の管理である背後地についてもあわせて今年度に工事を着手
背後地の敷地面積は約7,270㎡を各10,780㎡に1.5倍ほどに拡充し、これにともない漁船の収納隻数も現在の125隻程度から135隻に拡大。また路盤の耐重性が大幅に強化され、これまでよりも大型の船も利用可能になる。
教育振興研究経費 322万6,000円
花咲港小学校と光洋中学校に特別支援教育支援員2名を年度途中に追加で配置。
花咲港小学校では教員数が昨年度から減少し、教育的支援が必要な児童への対応が困難となり、学校からの要望で4月から配置されている。児童数の減少にともない養護教諭と事務職の減のため学校の先生方の負担が増えているそうです。
また光洋中学校は啓雲中学校との統合により環境変化などから生徒指導案件が増加していたそうです。そのため6月から人員体制の強化が図られました。
歴史と自然の資料館管理運営経費 1,056万7,000円
資料館の壁や床などの老朽化が進んでいるが今回、国のアイヌ施策推進交付金が追加になったため、次年度に予定していた資料館の整備計画を前出しして実施
うち北方資料展示レイアウト(656万7,000円)として大型展示ケースによりアイヌ衣服等の民具の展示やチャシ跡の映像展示を進めるため液晶ディスプレイの設置、
また展示室の補修工事(399万6,000円)として現在は老朽化のため閉鎖しているスペースの床・壁・サッシなど改修を実施
国に提案されている根室市の
アイヌ政策推進交付金事業計画(2020年度~2024年度)として資料館の改修や資料の展示にかかわる部分、チャシ跡群の活用事業などが盛り込まれており、資料館の改修では2023年度に予定していた事業を前倒ししたことで、今回で完了となります。チャシ跡群の映像制作や北構氏の発掘資料の保存処理など実施が計画されています。
その他、北構氏の資料はオホーツク文化を中心として膨大な量があり、今後そうした資料の保存方法や保管場所などについては、今後も検討課題となるものと思います
予備費 2,000万円
新型コロナウイルス感染症関連対策に備えた予備費
【水道事業会計】、
桂木浄水場運転管理等業務委託
令和4年度~令和9年度の委託、入札にむけた債務負担行為。6年間の限度額6億8,205万5,000円。現在の契約から年間あたり約1,100万円の増額になるが、主に労務単価が12%ほど上昇しているが、作業内容の一部見直しもあり全体としては+6.9%増。
根室市の水道施設は、桂木浄水場と市内3か所の水源地のポンプ場、納沙布や温根元の配水池ポンプ場、農業用水施設の第1ポンプ場、配水池等について包括的な管理委託を行っています。これまで市の技術系職員は退職や高齢化、技術の継承などの人材確保の困難さのため、民間企業のノウハウを活用した包括的な委託管理を平成30年度から実施してきました。
【下水道事業会計】
下水終末処理場他運転等業務委託
下水終末処理場、汚水ポンプ場、雨水ポンプ場等について、令和4年度~令和9年度の委託、入札にむけた債務負担行為。6年間の限度額13億312万5,000円。現在の契約から年間あたり約4,700万円の増額になるが、同じく主に労務単価の増によるもの。
【一般会計】(の後から追加された分)
原油価格・物価高騰緊急対策事業経費 2,032万7,000円
灯油購入費の助成経費(福祉灯油)。市民税非課税世帯のうち75歳以上のいる高齢者世帯、障害者世帯、ひとり親世帯、生活保護世帯に対して1万円分の灯油券を支給する(生活保護世帯は5,000円)。
あわせて市内で社会福祉施設等(入所・入居の施設)を運営する法人に対して、入所者等ひとりあたり5,000円を支給する。
10月時点の灯油価格は123円/リットルとなっています。
価格高騰緊急支援給付金給付費事業経費 2億347万1,000円
国の総合経済対策に伴う住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付支給経費
※詳細は下記の根室市のホームページへ
水道会計支出金、農業用水会計繰出金 あわせて8,730万2,000円
物価高騰等による経済的負担を軽減するため、水道料金(と農業用水)の基本料を減免する。
現在、10月~12月まで家事用の水道料金基本料金を免除していたが、これを2023年3月検針分まで延長する。また官公庁を除くその他の用途区分も含めて全ての水道料金の基本料金を減免する。