2022年12月13日
根室市議会12月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします
1.根室市の水道事業会計および水道料金等における今後の諸課題について
(1)水道事業会計の今後の経営状況について
根室市の水道事業は2019年度(平成31年度)から水道料金の引き上げを実施。
1981年以来の料金改定で、当時の考え方として、次の料金改定まであまり長い期間を空けることなく、2023年度までの5か年を目安に再検討することを想定。
2021年度の水道事業会計の決算は単年度収支が約3,118万円の黒字だが、決算審査特別委員会では、今後の長期試算で2024年度(令和6年度)に単年度資金不足額が生じ、2029年度(令和11年度)には内部留保資金がマイナスとなることが示された。
2019年度の料金改定時に示された収支計画時点と比較して、現時点の水道事業会計の経営状況をどのように評価されているのか。
【市長 答弁】
人口減少や市中経済の低迷により給水収益が減少し、水道施設の老朽化対策などに伴う費用の増加で単年度収支が図れず、内部留保資金が枯渇する見込みであったことから、平成31年4月から算定期間が令和5年度までの5年間に平均改定率21.5%の料金改定が必要として収支計画を策定。
この収支計画では、料金改定に伴い単年度収支が黒字となり、令和5年度末の内部留保資金が9千万円となる試算だったが、収支計画に比べ給水収益の増収や維管理持費が減額となり、令和4年度末の内部留保資金が約2億6千万円となる見込み。
経営状況は収支計画に比べ内部留保資金は確保できているものの、維持管理費や減価償却費等の固定費が増加しており、令和6年度以降は単年度収支が赤字となる厳しい見通し。
人口減少に対応した適切な投資や効果・効率的な事業運営に努めなければならない。
【再質問】 水道施設の老朽化対策としての建設改良事業について、今後も計画的に更新を進めていくため、一定規模の予算を確保していくことが必要。約4億円程度を毎年度維持する方針。その場合、
H29年度 企業債残高 50億29百万円 償還額 2億91百万円
→ R03年度 企業債残高 51億43百万円 償還額 3億17百万円
と、徐々に増加しているように見える。企業債の償還や残高の将来的な見通しは?
【建設水道部長 答弁】
建設改良費の計画は、平成29年に策定した「上水道施設整備計画基本方針」に基づき、施設の重要度、緊急度、老朽度を総合的に検討・評価して整備を進めることとし、その整備費用は年間約4億19百万円を基本としている。
この建設改良費の財源は、基本的に国庫補助金および企業債を活用し、建設費負担の平準化を図っている。企業債残高は、今年度末で約52億円になる見込。
将来の見通しは、経営戦略の令和14年度までの財政収支試算で、企業債償還額は令和5年度の約3億79百万円をピークに3億円程度まで減少する一方で、企業債残高は54億6千万円となる見込み。仮に毎年4億円の企業債の借入れを続けた場合、令和17年度には償還額が増加に転じ、企業債残高、償還額ともに増加を続けると推計。
【意見として】 低金利だが将来的には徐々に残高が増えていく。政府の金融政策が変更になってきたときはまた状況が変わっていく。
【再質問】 国庫補助について、水道管の老朽施設の更新費用は、その全てを受益者負担で賄うのは大変な(厳しい)状態であり、限界がある。国の補助のあり方が重要に。
これまでも補助制度の拡充が大きな課題とされていたが、その後の状況はどうか?
【建設水道部長 答弁】
人口減少に伴い料金収入が減少する中、老朽化した配水管や浄水施設の更新を続けるための財源確保が課題。
国庫補助金について北海道を通じ情報収集を進め、令和4年度は、生活基盤施設耐震化交付金のうち、水道施設等耐震化事業の補助金が交付されることとなった。
補助制度の拡充は、生活基盤施設耐震化交付金が創設された平成27年度以降大きな変更が無く、さらなる財政措置の拡充、補助対象の拡大や補助率の嵩上げなどを、全国市長会や日本水道協会を通じて、国や道などに対し要望しているところ。
【再質問】 今後の料金についてどのようにしていくのか。
R3年3月の「経営戦略」では、「令和6年度から料金改定の必要性等について検討」「令和8年度から料金改定に向けた検討を進める」となっている。
R6年度より単年度収支不足となる大きな要因は、給水収益の減収だけでなく、一般会計からの約4,000万円の水道料金補助金の減と、これまで繰り返し説明されていました。
水道料金補助金は市長の政策的な判断によるものであり、料金改定を検討する場合に、あわせてこの取り扱いをどうするか十分な検討が必要。
元々、根室市の水道料金は地形的な要因等から他の地域と比較して高いとされている。また、市民生活や市中経済への影響、長期的な施設更新にかかる負担増を考慮すれば、一般会計からの水道料金補助金は必要であり、継続するべきと考えます。
少なくとも次期料金改定を実施する時点までは現状の水準を維持し、2024年度(令和6年度)以降の繰り入れ分を含めた中で再度、長期試算の見直しを図り、料金改定のあり方について議論するための資料とするべき。
【市長 答弁】
平成31年の料金改定は、水道事業として収支均衡を図るために21.5%の改定率が必要と推計しつつも、市民負担の軽減を考慮して平均改定率を14.8%に。
その軽減額の約4千万円については、平成31年度から令和5年度までの5年間を基本として、一般会計が負担する判断をした。
水道事業は地方公営企業法の適用により受益者負担の原則にそった独立採算制を基本に、水道料金を主たる財源として経営するものとされていることから、まずは、引き続き収入確保や経費節減などの自助努力を前提とした料金算定の試算を行い、そのうえで地域経済の状況などを踏まえ、一般会計の負担について判断したい。
【意見として】 料金収入をH31年度から5年間を21.5%UPする試算をしたが、料金改定で14.8%と市補助金で6.7%という財源内訳に。R6年度以降の長期試算は、14.8%分しか見込まれず、6.7%分が落ちてしまえば、当然赤字になる。その状態で長期試算を出すことが適切なのか疑問がある。
R5年度で2.4億円の内部留保資金の見込みと示されたが、将来的な投資に充てる資金だが、R6年度から(赤字のために、その内部留保資金を)先食いする状態になる。
今の計算方法では市民の理解を得るのは難しいのではないかと危惧をしている。あらためて、考え方を整理して、検討してほしい。
(2)低所得者等に対する水道料金等の減免について
根室市「水道事業給水条例」に基づき、経済的事情によって料金の減免が必要と認められる方に対する水道料金の減免が実施されてきた。これまでの減免実績は決して多いとは言えないが、この制度は全国的にも例の少ない優れた取り組みと認識している。
また2019年度の水道料金改定とあわせて、低所得者世帯への減免の範囲が拡大されてきたが、この間の取り組み実績に対する市長の評価を伺う。
【市長 答弁】
平成30年6月定例月議会で、水道料金の改定にあたり減免対象の拡大などの必要な措置を求める付帯決議を受け、減免範囲を生活保護基準の1.1倍まで拡大し、減免率を15%とした。
減免の認定実績は、令和元年度が延べ12件、2年度が延べ55件、3年度が延べ60件。料金改定に伴う値上げ分の負担軽減となったものの、認定件数が当初予測より下回ったことから、制度周知や手続きなどに課題が残ったものと考えている。
【再質問】 減免対象の拡大分について「実施期間は平成35年度までの5か年とする」とされている。R6年度以降どうするのか。
当時、減免対象を拡大した背景として平均改定率14.8%に対応させて減免率を15%としたことや、減免拡大分は水道料金のみを対象にして下水道使用料は対象とならなかった等から、主に料金引き上げに対する激変緩和的な意味合いが強かった。
しかし実際問題として減免率15%(しかも水道料金のみ)では、月額で数百円程度の減額にしかならず、本当に生活に困窮した世帯に対する支援策としては不十分な水準です。
料金改定から5か年を経過し、現在の水道料金体系が浸透してきた時点を一つの区切りとして、あらためて福祉施策として「この制度がどうあるべきか?」について見直す必要がある。
具体的に言えば、減免対象を就学援助の準要保護を見習って生活保護基準の1.5倍まで拡大すること。また減免率を一律50%まで引き上げること。下水道使用料の減免制度も水道料金と統一すること等を求める。
対象となる全ての世帯を全て(網羅して)拾い上げて適応させる制度だと思っていない。しかし、いざ生活に困った人が相談に来た時に、支援策として使っていただけるような制度なっていくのが良い。社会福祉協議会や市の社会援護の担当課、料金徴収を担当する委託業者等と十分な連携を図り、有効な支援対策の一つとなるように、内容のさらなる充実を図るべき。
【市長 答弁】
本市における低所得者に対する水道料金等の減免は、基本的な基準を生活保護法に基づく「最低生活費認定額」を超えない世帯を対象としている。
収入認定額の拡大は、使用者間の公平性なども考慮する必要があり、料金改定に伴う軽減措置として実施した本制度の拡大は難しいと考えている。
なお全道各市の減免制度等の情報収集を進め、これらの内容を調査研究し、低所得者等への減免制度の拡大の必要性について、福祉施策としてどうあるべきか、引き続き検討したい。
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