2022年12月13日火曜日

2022年 根室市議会 12月定例月議会 代表質問 ②/2

2022年12月13日

根室市議会12月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします(おわり)

2.介護福祉をめぐる諸課題について
(1)国の2024年度にむけた介護保険制度改定の動向について 

介護保険では、2024年度からはじまる第9期介護保険事業計画に向けた大きな改革案が、厚生労働省社会保障審議会で検討されている。その中で「給付と負担」に関する論点は、介護サービスの利用料2割・3割負担の対象拡大など7点が示されている。これらの改革項目は財務省や経済界からの強い要望により、過去にも論議されてきたが、大きな負担増となるため今までは実施が見送られてきた項目。
最近の報道によるとこのうち、ケアプランの有料化と、要介護1・2の訪問介護・通所介護を地域支援事業へ移行することについて、今回も見送られる方向とされている。
しかしその他の項目についても、国会の法改正を経て実現された場合、被保険者と利用者・家族にとっては大きな負担となり、家庭の経済状況によっては必要な介護サービスが受けられなくなること等を懸念する。
10月に全国老人福祉施設協議会など8団体が「要介護度 1、2 の方への訪問介護、通所介護を総合事業に移行する見直しには反対する」要望書を国に提出。また日本介護支援専門員協会など10団体は「居宅介護支援費、介護予防支援費における現行給付の維持継続」を求める要望書を国に提出。公益社団法人「認知症の人と家族の会」などはインターネットでの活動を中心に「介護保険の負担増に反対します」という署名をすすめている。政府の審議会における改正案の一部見送りはこうした民間団体や国民の批判の声をうけた結果と思う。
社会保障制度は国が策定し、制度運用するもの。しかし国の言いなりのまま制度改悪を容認しては、例え根室市が頑張って、いろんな独自の制度を実施したとしても、土台が崩れてしまえば、市民の生活を守ることはできない。
保険者である市としても被保険者と住民生活を脅かす制度改革について、その内容や動向をしっかりと分析し、国に対して意見を挙げていくことが重要。

【市長 答弁】
国の社会保障審議会介護保険部会で令和6年度の介護保険制度見直しに向けた議論が行われている。65歳以上の介護保険料では高所得者の標準乗率の引き上げについて検討が進められる。一方、介護サービス利用料の負担割合では2割・3割負担の対象者拡大について検討が行われるなど「給付と負担」のあり方に関して来年早期の取りまとめを目指し、協議が行われている。
超高齢化社会に対応した制度改正は持続可能な制度運営のために必要と考えているが、介護サービス利用者のおよそ9割が1割負担であることからも、今後の国の動向に注視するとともに低所得者の負担軽減や必要な財源措置を講じるなど、介護保険財政の健全な育成が図られる制度改正となるよう、全国市長会を通じて国へ要望していく。

(2)介護人材確保対策について

第8期計画の取り組みとして、市と市内事業者の協働による「介護サービス事業者対策協議会」の立ち上げと介護人材確保の取り組みが始まったことは大きな前進。
しかし人材不足の状況は続いており、特に訪問介護などでは新規受け入れが困難な状況も一部あると聞く。また今現在働いている介護従事者側も高齢化が進んでおり、将来的な体制についても大きな懸念。例えば、ある調査では根室管内のケアマネの半分以上が50歳代以上とのこと。
根室市における介護人材確保の取り組みは緒に就いたばかり。これまでの実績を踏まえ、次年度以降、そして第9期計画期間を展望した今後の方向性について、市の見解を伺う。

【市長 答弁】
介護サービス事業者対策協議会で「確保」「定着」「育成」の三つの視点から様々な検討協議を行い、
・資格取得助成金の対象者拡充
・介護従事者紹介パンフレットの作成
・経験年数に応じた奨励金制度の創設
などの取り組みを行った
北海道福祉人材センターと連携し、11月3日に札幌市の福祉で職場説明会に介護事業者との協働による出展を行うなど、市外からの介護人材確保にも着手した
第9期介護保険計画の策定にあたって、こうした取り組みを基本としつつ、介護現場の意見を伺いながら、介護サービス事業者対策協議会で新たな対策について検討・協議を進め、高齢者介護を支える人材の確保に積極的に取り組む。

【再質問】 今後、市として介護サービス事業者協議会などの場でも協議・検討を進めていただきたいテーマについて、何点か質問したい。

①新規就労に対する支援策。
別海町では2019年度から「介護従事者就業支援補助金」という制度を実施。新規就労する介護従事者あるいは復職する有資格者を対象に、1年間継続して就労すると5万円、2年目も5万円、3年目は最後の年だが、10万円が支給される制度。
同様の施策は道内他町にもあり、本別町、足寄町、大空町などにもある。特に大空町の「医療・介護従事者就業支援補助金」は、医療機関・薬局・障害者福祉施設なども含め「継続就業補助金」として年15万円×5年間、さらに転居費用および家賃相当額として1回限りですが20万円を支給するなど手厚い制度を設けている。ぜひこうした新たな取り組みについても研究を深めていただきたい。
根室市にはUIターンがあり、若年者等正規雇用奨励補助金の制度を設けている。市全体の制度を十分に活用し、連携した取り組みを図っていく必要がある。

【市市民福祉部長 答弁】
「就業支援補助金」は道内各地で取り組みが行われている。
当市では昨年度、介護サービス事業者対策協議会において介護現場のご意見を伺い、検討・協議を行い、経験年数に応じた奨励金制度を創設し、運用している。
市として第9期介護保険計画の策定に向けて、新規就業者の補助金など他の自治体の取り組みについて情報収集に努め、新たな人材確保策について検討を進める。

【意見として】 本別町の担当課の方にも伺ったが、5年後に離職してしまうケースがあるそうで、制度の見直しを考えているという話もあった。新規就労と離職対策を含めて対策が必要。

【再質問】 直近の課題としてハローワークを通じた求人が難しい一方で、人材紹介会社の活用が考えられる。しかし、紹介手数料が高額のため、苦慮している。一般的には手数料は、入職者の想定年収2割~3割が相場とされている。年収350万円なら20%の紹介手数料は70万円。医療機関に比べて収益性が低い介護事業所では経営的に厳しい。
先般、訪問入浴サービスの看護師確保対策のため、手数料負担を補助する制度を根室市としても設けたが、これを他の施設に拡大していく必要があるのかどうかを検討できないか。

【市民福祉部長 答弁】
訪問入浴看護師の紹介手数料の補助は、令和4年度の当初予算で新規事業として予算計上したが、現時点では紹介事業者からマッチングの情報提供がなく、看護師の確保に苦慮している現状にある。
こうした状況を踏まえ、対象施設の拡充は今後の介護現場の状況を見極め検討したい。

【再質問】 ③外国人の介護人材確保対策についてどうするか、市としても真剣に考える時期に来ている。
介護事業所は受け入れるための財政的な基盤が弱いことと、技能実習や特定技能などの場合は期間が限定されていることなどの課題はある。
H31年度から特定技能の制度が導入されて来年は5年目になる。今後は介護福祉士国家試験の受験者、そしてきちんと国家資格を取得され、在留資格の介護をとる方も増えてくると思う。全国的にも介護分野での、受け入れ実績や成果、あるいは逆に課題がどういった点なのかについて、それぞれの知見が蓄積されてきていると思う。
そういった地域や施設の状況を実際に学びながら、根室市の地域としても、その実現可能性について、やはり市全体として、本格的に研究を進めて行く必要があると思います。

【市民福祉部長 答弁】
外国人の介護従事者の受入れについては、一部の介護事業者において、特定技能などの制度を活用した受入れについて、具体的に検討が進められている。
住居の確保など、財政的な負担が大きく、また職場でのOJTに時間がかかり、通常業務のと外国人の教育で負担が増すといった介護職側の慎重なご意見もある。
こうした状況から今後、介護事業者と連携し、既に外国人従事者を受け入れている地域へ視察を行うとともに介護サービス事業者対策協議会で、事業者の意見も伺いながら、早期に、外国人従事者の受入れが実現できるよう検討を進めたい。

【意見として】
技能実習生の方々もコロナで大変な状況であり、特定技能で来られる方も本国の経済状況も大きく変わってきて、かつ円安の中で情勢は変化しており、それに対応して制度も今後変わっていくこともあると思う。
選ばれる地域にしていかければならず、そのためにどのように対応していくのか、長く地域にいてもらえるような環境づくりについて検討していく必要がある。

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