2017年6月29日木曜日

根室市議会 内閣府・外務省・関係の国会議員への抗議と要請活動

2016年6月29日

根室市議会は、前日に全会一致で決議した「北方四島における共同経済活動調査団に根室市長が参加できないことへの抗議と北方領土隣接地域の確実な関与を求める決議」をもとに、内閣府・外務省・道内選出の衆参国会議員や沖北委員の国会議員を訪問し抗議と要請行動を行いました

議員13名が参加し、午前中は2班に別れて国会議員会館の訪問を行いました
国会閉会中でもあり、また東京都議選への応援などからほとんど国会議員さんは不在でしたが、橋本が参加したグループでは、宮腰光寛議員(自民党)と畠山和也議員(日本共産党)にお会いすることができ、経過を説明しながら地域の声を伝え、国会からも政府に働きかけるよう求めました
畠山和也議員は「今回の問題に納得できないのは当然。日ロの信頼関係をしっかりと作っていくとが大切。共産党としては道理ある外交交渉を求めているが、他党はと一致する部分について、国会としても求めていきたい」と応じました

午後からは、
内閣府では、北方対策本部の山本審議官に要請を行いました
根室市議会北方領土対策特別委員会の永洞委員長は「今回の件で市民は非常に憤りを感じており、看過できない。今後どうなるのか。このようなやり方をされるのであれば、いっそ返還要求運動を止めた方が良いのか、とまで思わざるをえない」と述べつつ、「今後の経済活動へ市長がミッション参画出来ることを担保して欲しい」と求めました
山本審議官は「返還運動を止めて欲しい等ということでは決してない。今回の共同経済活動の調査団に内閣府は関与しておらず、今回市長が行けなかった理由はわからない。外務省で聞いて欲しい」と答えるのみでした。
日本共産党の神忠志市議は「今回の措置は返還運動の否定に繋がりかねない。根室市は70年以上一心に頑張ってきた地域であり、内閣府としても今回の問題について、しっかりと意見をのべて欲しい」と強く求めました。

外務省では欧州局ロシア課の毛利課長が対応しました。
課長は「地域の懸念や憤りは理解できる。四島の帰属という政府方針に変わりない。四島との交流は管内と連携しながら取り組む」と述べました
しかし、なぜ今回のような事態になったかについては、「はっきりと説明することが出来ないことが、(地域の)怒りと混乱をかっていることは分かっている。外務省として忸怩たる思いだし、地元への情報提供不足を認識している」として、具体的説明を避けました
その後の課長と市議会の各議員との意見交換から橋本が認識した部分では、
・今回の調査団について関係省庁や各専門分野における関する団体などとの全体的な調整を外務省が担った。その中にはロシア側との調整も含まれる。
・共同経済活動は今後もさらなる調査活動が必要であり、議論を進めていくと、お互いの法的な立場でぶつかり、それは領土交渉に繋がるものだ、と外務省は考えている。
・現段階で、交渉の打ちきりに繋がるような議論にエスカレートさせることは望ましくないという判断から、今回の対応となった。
というような背景があったらしい、という点です
これらはすでに報道でも出されていた内容とある程度合致することでもあります。
また共同経済活動について課長は、
・ロシア側も神経質になっている。つまり領土問題での譲歩に繋がるのではないか、という懸念があること。
・したがって日本側が経済活動を悪用するような立場では決してないことを理解してもらう必要がある。
・外務省としても完全に説明できるだけの材料を持っている訳ではない
という主旨の発言もされていました
神忠志市議は「四島に派遣する初めての調査団がこのような状況になったことは、領土返還運動の腰を折るものだ。複雑な日ロ関係は理解しているが、北隣協で中標津町長は参加して根室市長がメンバーから外れることは道理が通らない」と主張しました
最後に田塚議長から「早い段階でしっかりとした説明をしてほしい」とあらためて求め、要請活動は終了しました

議会全体での行動終了後に、日本共産党根室市議団と久保田陽市議は、あらためて午前中に不在だった日本共産党の紙智子議員を訪れ、あらためて情報交換を行いました
宮腰光寛 議員
畠山和也 議員
内閣府 北方対策本部
外務省欧州局ロシア課
紙智子 議員
 

2017年6月28日水曜日

根室市議会 6月緊急議会

2017年6月28日

根室市議会は6月緊急議会を開催し、「北方四島における共同経済活動調査団に根室市長が参加できないことへの抗議と北方領土隣接地域の確実な関与を求める決議」を全会一致で採択しました

この北方四島での日ロ共同経済活動に関する官民調査団が6月27日根室港より出発しました
はじめは国や道からの要請もあり、根室市の長谷川市長も参加することで申し込みしていましたが、出発の直前となった26日外務省から参加メンバーから長谷川市長が外れたことが、正式に明らかとなりました
しかもその理由については、現時点でも明らかとされていません
道副知事や中標津町長は予定通り参加しているにもかかわらず、です。

ロシア側からの要請ではないか、という報道もあります。
それが事実ならば、同じ新聞記事にあるように「共同経済活動と領土問題は別だというロシア側からのメッセージ」に対し共同経済活動で成果を急ぐ日本側が譲歩した、ととられかねない主権に関わる問題です

旧ソ連により不当に北海道の一部である歯舞・色丹と国後島や択捉島など千島列島と侵略されたあと、土地や財産、漁業といった生活基盤を奪われた元島民の方々
そして戦前は産業交易で一体の経済圏を立ちきられたこの北方四島の隣接地域は、国境が確定しないことから漁業水産への影響を含め正常な発展を阻害され、長い間苦しめられて来た地域です
そして現在まで北方四島との交流や医療支援などの活動を積極的に行ってきた地域です
そのまちの市長がこのような待遇を受ける。しかも理由については全く明かされない。到底、理解や納得できるものではありません。

決議では「この調査団に根室市長が参加できなかったことに対する説明を国に求めるとともに、今後の北方四島における共同経済活動の事業推進にあたっては、北方領土隣接地域の役割と立場を十分に認識され、根室市長が確実に関与していくことができるよう要望する」としています

根室市議会議員18名のうち参加可能な14名は、政務活動費を使ってその日のうちに上京し、
翌日の29日は「決議文」をもって、外務省や内閣府などの関係省庁と北海道選出の国会議員や沖北委員を訪問する予定です

2017年6月25日日曜日

日米共同訓練・オスプレイ訓練反対 別海集会

2017年6月25日

米海兵隊矢臼別演習場移転反対釧根連絡会・別海町連絡会が主催する「日米共同訓練・オスプレイ訓練反対 別海集会」が、別海町西公民館で開催され、釧根各地から多くの方が参加されていました
集会では、琉球新報読者事業局次長および日本ジャーナリスト会議沖縄支部代表世話人の松本剛氏が講演を行いました
松本氏は、現在でも基地の70.6%が沖縄に集中しており、負担軽減につながっていない、辺野古新基地建設を阻止に力を尽くす翁長県政を支えるのは、7割を越える基地反対の沖縄県民の強い民意と指摘します
在沖縄米軍による危険なパラシュート降下訓練が繰り返されていることなど、米軍の独善的な基地運営とそれを下支えする安倍政権の問題を厳しく報告されていました
2016年12月のオスプレイ墜落事故は日本のマスコミで唯一琉球新報が第一報で「墜落」と報道したが、他のマスコミはすべて防衛省発表の通り「不時着」と報道(ヨーロッパでは墜落と報道)したことについて、日本のマスコミが事実を矮小化して報じたことが、そのわずか6日後に訓練再開を許してしまったのではないかと、ジャーナリズムのあり方に疑問を投げ掛けました
昨年起こった米軍属による女性への暴行殺害事件。県警の調べによると復帰から2015年までの43年間で米軍および軍属により129件のレイプ事件が発生し、147人が逮捕されています。複数による集団暴行事件も多く発生しています
その後、開催された県民集会は異様な雰囲気だったといいます。
これまで基地を作らせない運動をしてきたが、事件を防ぐことができなかった、悔いが残る。「怒りは限界を超えた」
矢臼別演習場へのオスプレイ訓練について、米軍にとって使い勝手良ければ、吊り下げ訓練など含めて、繰り返されるかもしれない
しかしアメリカは民主主義の国でもあり、証拠を元に理論的な批判を行えば、訓練をストップさせることも出来る
住民がしっかりと監視をすることが必要だ、と指摘しました
最後に松本氏は、沖縄の尊厳を海に沈めることはできない。不条理に立ち向かう民意は高止まりしている。平等であるはずの「うちなんちゅ」の命が軽んじられている。本土には期待できないという県民の声もあるが、ここは矢臼別演習場を抱え沖縄と同じく不条理を認識する地域であり、連帯した活動を呼び掛けました

2017年6月22日木曜日

2017年 根室市議会6月定例月議会 一般質問 ④

2017年6月20日に、根室市議会6月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(つづき)

4.領土問題について

(1)地域財源の確保対策について
 
( 橋本 質問 )
①当面する財源不足への緊急的な対策について
 来年度に向けて緊急的な対応をとる必要があるが、現時点で国や道においては、十分な手立てが見通せない状況にある、という印象を私は受けている。
 また当面する対策についてもこれまで内部的な案の一つとして検討してきた北方基金の取り崩しについても、内閣府より北特法の改正が必要である旨の見解が示されるなど、緊急対策として活用することが難しい状況にある。
 現事業に対する来年度の緊急的な財源確保について、どのように取り組んでいこうとしているのか、伺う。

( 市長 答弁 )
 国・道においても、隣接地域の財源対策の現状と早急な対策の必要性は充分に理解いただいており、具体的な対応は引き続き協議が進められることとなっている。
 来年度からスタートする道の「第8期振興計画」の策定作業で隣接地域との協議が開始されたところだが、新たな可振興計画を着実に推進する必要となる財源対策についても検討している。
 
②長期・安定的な財源確保対策について
 市長がこれまで再三述べてきたように北方基金の当初運用益見込みだった「7億円」程度を要求するとしても、現環境下でそれほど多額の財源を得るためには、何をするのか、より説得力のある形を示す必要がある、と多方面から指摘されている。
 それは来年度以降の第8期北振計画の中で明確化していくことが、一つの方法になると考えられる。
 しかしその一方で第7期計画期間のこれまでの様子を見るに、どのような計画案を示そうとも、政府・国会・北海道が積極的な動きをすることなく、結果として財源の裏付けがないまま無為に計画期間が進行していくことが懸念される。
 隣接地域として今一度、地域振興の新たな計画案を道と一体となって立て直すと共に、その努力を無為に終わらせないために、政府・国会・北海道を動かすような市長の精力的な働きかけが求められるものと考える。この状況に対し、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺う。

( 市長 答弁 )
 北隣協としても第8期振興計画を推進するために必要な財源対策をふくめた国や道の積極的な関与を強く求めていきたい。
 北隣協が求める新たな財源対策の実現について「第8期振興計画」に明確に位置付け、その具体化に向けて北海道と一体となって取り組む。

(2)北方四島交流訪問事業について
 
( 橋本 質問 )
 今回ビザなし訪問に初めて参加し、改めて現地に赴いて実体験することの重要性を再認識した。領土問題の啓発の観点からより多くの国民が参加することは確かに重要。
 幅広い人々の参加が進んだ一方で、定められた定数の中で根室市からの参加が相当減ってしまってきているのではないかとの声も聞かれる。 あわせて四島住民との交流を深め、相互の見識を高めていく意味からも、(当該年度で無くても)同じ人が何度か参加できる環境を整えることも必要。また歴史文化専門家は今回1日日程となったことから十分な調査にいたらなかったと述べていた。
 四島交流事業が25年目を迎え、近年も全体的な見直しが行われたところだが、その見直しの結果も踏まえ、この事業に対して市長としてどのように評価されているのか、見解を伺う。
 また平和条約の締結、本当の意味での自由な往来ができる環境をめざすことが目標だが、それまでの「つなぎ」として、参加可能な枠を広げること、ビザなし訪問の実施回数の拡充の是非について考えを伺う。
 あわせて、四島住人との交流を重視したプログラムとなることは当然ながら、幅広い参加を促進するからには同時に、(この間の見直しで省略されてきたが)ニホロや北方館を活用した参加者の研修の実施、船内の研修含めたプログラムの充実、島内での研修、実際に参加しての日本人同士のグループワーク等の実施など、領土問題に対する学習プログラムを充実させる、四島交流事業の意義についてしっかりと学び、参加者自身の意識を高める方策を従事させていくことが必要と考える。

( 市長 答弁 )
 北方四島交流訪問事業は、平成25年に事業の見直しが行われた。
 その結果、青少年や後継者など、若者が主体となる訪問事業においては北海道と北海道外との垣根が取り払われたこと、
 また、視察中心から対話中心のプログラムへと変更されたこと、船内研修を充実するなど、より効果的な交流事業として見直されたものと評価している。
 
 また、事業の実施回数や参加者の拡大、事業内容の更なる拡充については、当然重要であると認識するが、
 現在、日ロ間で協議が進められている「北方四島における共同経済活動」の基盤としての「自由往来の実現」も見据え、必要となる対策等について関係機関とも連携し検討したい。

 さらに、参加者自身の意識を高める方策について、
 研修プログラムや事前学習のあり方など、実施団体とも連携し、これまでの結果等を検証するとともに、より効果的な交流事業のあり方について調査・検討する。

2017年 根室市議会6月定例月議会 一般質問 ③

2017年6月20日に、根室市議会6月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(つづき)

3.地域医療に関する課題について

(1)「根室市の地域医療を守り育てる条例」に基づく取り組みついて
 
( 橋本 質問 )
 2016年4月に制定した地域医療を守り育てる条例が謳う精神理念を柱にして行政・市民・関係機関がどのように活かしていくのか大変重要であり、難しい課題。
 市としてのこの1年間の取り組みを振り返るとともに、市外三郡医師会や医心伝信ネットワーク会議をはじめとした関係団体と協議・検討し、さらなるステップアップをしていく時期に来ているのではないか。
 今後は多くの市民を巻き込んだ活動を積極的にすすめ、医療と市民(患者)との信頼関係を築いていくための、新たな取り組みが必要。
 その点では例えば「地域医療を考える稚内市民会議」の取り組みは参考になる。
 根室は苦しい医療過疎地域であり、地域医療問題への取り組みはこれまでも先進的に行ってきたところとは思うが、改めて各地域の取り組み状況なども学びながら、現時点の根室市にふさわしい地域医療を市民・関係機関と一緒に考え、一緒に守り育てるための、取り組みを協議・検討を進めていただきたい。
 「地域医療を守り育てる」ための取り組みに対する市長の意見を伺う。

( 市長 答弁 )
 条例制定後は、市役所ホームページや管制施設への啓発資料の配布や、各種イベント開催時の広報活動を行い市民周知を行ってきた
 他都市の状況を参考にしながら、市内官益機関・関係団との連携を強化して取り組んでいきたい。

2017年 根室市議会6月定例月議会 一般質問 ②

2017年6月20日に、根室市議会6月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(つづき)

2.保健予防に関する課題について

(1)市内の若年層の健康状況の把握について
 
( 橋本 質問 )
 生活習慣病は長い時間をかけて身体に影響を及ぼすため、子ども世代や若い世代へのアプローチをどうするか、将来に向けての重要なカギとなる。
 根室市として現時点で、特に若年者層の健康状況について、どのように把握し、対策を講じているのか?

( 市長 答弁 )
 青年期の特に個人事業者等の方は健康診断の受診機会は自身の判断になるため、健康状況の実態を把握することは困難
 国の「健康日本21」では青年期は学生生活や単身生活で生活習慣に問題がある場合も多く、壮年期以降の危険な生活習慣の出発点であり重要な時期とされている
 広報誌や市ホームページの広報活動、市役所のヘルスサポートコーナーの生活習慣病予防の情報提供を行っている
 また、「北海道健康マイレージ事業」への参加を促すなど若い世代の健康意識の向上を図る

( 橋本 再質問 )
 健康状態の実態を把握することが困難な点をどのように取り組んでいくか?
 釧路市では血液チェックなどを行う中で、若者の実態として、メタボが多いことから、健診と保健指導の必要性をとらえた。H26年度から「若者健診」を開始し、リピーターふくめて受診者が徐々に増えてきている。30代の女性など子育て世代の母親などが多く受診している。健診の結果として、4割程度に腹囲の基準以上の方がおり、また肝機能や脂質で3割程度がデータが高いとされている
 根室でも同様の状況が生じていないと否定できない。まずは何らかの形でしっかりとした現状把握が必要と考えられる。
 保健予防行政として、これまでおこなってきた様々な情報提供に加え、2次予防の取り組みも含めた対策が必要ではないか?

( 市長 再答弁 )
 他市の状況も調査・研究したい。

( 橋本 意見のみ )
 漁業や農協、商店街や子育てサークルなど様々な団体と協力しながら、直接地域の声や状況を把握し、そのうえで様々な対応をすすめていただきたい

(2)新生児聴覚スクリーニングの検査への助成について

( 橋本 質問 )
 市立根室病院で分娩が可能な体制となり、あわせて新生児聴覚スクリーニングも実施可能となったと聞いている。
 任意の検査だが、日本産婦人科学会の「新生児聴覚スクリーニングマニュアル」では、全新生児を対象に検査を実施する意義について記載されている。市と病院とが連携して検査の実施を普及・啓発していくとともに、経済的にもハードルの無い形で検査を速やかに実施するために、費用の助成制度を設けることも一つの案として有効ではないか?

( 市長 答弁 )
 国が平成26年に実施した新生児聴覚検査実施状況調査では、検査費用を助成している自治体は6.3%。道内では4月から助成を開始した自治体もあると聞いている。
 早期発見・早期療養につなげる体制づくりは大変重要。他市町の取り組みも調査研究しながら、助成制度のあり方について検討したい

2017年6月20日火曜日

2017年 根室市議会6月定例月議会 一般質問 ①

2017年6月20日に、根室市議会6月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします

1.水道事業に関する課題について

(1)根室市水道事業の経営の現状について

( 橋本 質問 )
 2018年度にも資金不足が生じる見通しにあることが、根室市水道事業及び下水道事業運営委員会に説明されているが、あらためて根室市水道事業の経営を取り巻く課題について総合的に説明ねがいたい。

( 市長 答弁 )
 水道事業は当市に限らず、
 人口減少と少子高齢化、節水機器の普及や節水意識の向上、
 施設の老朽化や耐震化をはじめとする災害対応、
 豊富な経験やノウハウを有する職員の退職による技術・知識の継承、
 事務事業の効率化やアウトソーシングの拡大による経費節減など多岐にわたる課題
 また、
 市中経済の低迷が長引き水需要の低下で給水収益が減少、
 施設の更新需要の増加など環境は厳しい状況
 単年度収支は毎年ほぼ収支均衡が図れない状況
 昨年度に作成した財政収支試算ではH30年度以降に資金不足が発生し、」内部留保資金が枯渇する見通し
 3月に運営委員会に報告し、料金体系のあり方をふくめた水道料金の適正化の必要性などに関して理解をいただいた

(2)水道事業に対する市民の理解について
 
( 橋本 質問 )
 水道事業に関する課題などに対して、市民への十分な情報提供と相互理解を得ることの必要性については市としても認識していると思うが、これまでの市の取り組み状況と、その結果としてどの程度市民理解が深まってきたととらえるのか?

( 市長 答弁 )
 平成28年度2月から、水道独自の広報誌「ねむろの水」を発行し、上下水道事業の財政状況や運営などについて、分かり易い視点での広報・啓発のため、工夫を凝らしながら多くの情報を発信している
 ただし、広く理解が進展するには、十分ではない
 出前講座の活用や「上下水道事業への手紙」など市民の声を聞き、より相互理解が進む手法などについて検討する

( 橋本 再質問 )
 人員削減をしてきたことは、水道経営上は大きな効果があった
 しかし、今後については外部委託をすすめたとしても、「安心で、安全な水を、安定供給する」ためには、技術を継承する専門職を中心に必要な人員体制を自前で確保する必要がある
 根室市の水道事業において、将来的な人員配置について、どのように考えているのか?

( 市長 答弁 )
 職員数は、H12年度35名(うち技術職25名)だったが、H28年度末では16名(うち技術職12名)になっている
 技術職の高齢化が進み、若手職員への技術や知識の継承、技術職員の人材確保、民間委託の拡大に共なう職員とのバランスなど様々な課題がある
 水道事業は平時はもとより災害や緊急時の対応など、市民のライフラインを守り、常に安全かつ安定供給することが使命。持続可能な事業経営に必要な技術や知識の継承を図るため、職員の育成つと適切な人員配置に努める

( 橋本 意見のみ )
 根室市においては技術職の確保が厳しいと聞いている。将来構想を見据えて計画的な人員配置をお願いしたい

( 橋本 再質問 )
 仮に試算されている単年度2億円程度の資金不足を料金収入のみで補うと約30%の引き上げになる
 長年、料金を据え置いてきたが、それでも水道料金の高さは全道でも上位に位置する
 低所得層・子育て世帯の他、産業・商工業など幅広い分野への影響がある
 水道事業が抱える問題は全国的な課題であり、生存権の観点から国がしっかりとその責任を負うべきだが、国の政策的方針は「広域化」と「民間との連携」でしかない
 国の補助金は薄く、市からの基準内の繰り入れも薄い状況
 独立採算とはいえ、限界がある
 運営委員会で、「素案」が論議されるが、最終的な料金の設定に対して、総合的な観点から、市長の政策判断が必要

( 市長 答弁 )
 現行の水道料金は昭和56年10月に平均30%の改正を実施して以来、36年間、事務事業の見直しや組織機構の見直し、施設の延命化など、さまざまな企業努力を重ねて維持してきた
 今後、運営委員会で様々な議論がされるが、市民生活や経済活動への影響などを、総合的に勘案し、最終的な料金設定などについて、判断していきたい
 

2017年6月17日土曜日

2017年 根室市議会 6月定例月議会 日程・一般質問の項目

根室市議会6月定例月議会の議会の日程は、次の通りです

6月20日(火) 10時~ 本会議
  一般質問 5名(鈴木議員・久保田議員・工藤議員・橋本・足立議員

6月21日(水) 10時~ 本会議
  一般質問 5名(本田議員・佐藤議員・小沼議員・五十嵐議員・神議員)
  意見書案・提出議案説明など

6月22日(木)
 10時~ 総  務常任委員会
 10時~ 文教厚生常任委員会
 13時~ 産業経済常任委員会

6月23日(金)
 10時~ 予算審査特別委員会(補正予算)
 17時~ 本会議
  各委員長報告・採決
  意見書案 など

日本共産党根室市議会議員団の一般質問の項目は以下のとおりです

6月20日(火) 1番目 鈴木 一彦
1.地域経済問題について
(1)「ロシア200海里内サケマス流し網漁業禁止」の影響と対策について
(2)地域経済の活性化について
2.「子どもの貧困」問題について
(1)道の調査結果と根室市の対策について
(2)教育委員会としての対策について
3.教育問題について
(1)「学校」のあり方とまちづくりについて
(2)教職員が安心して働ける環境づくりについて

6月20日(火) 4番目 橋本 竜一
1.水道事業に関する課題について
(1)根室市水道事業の経営の現状について
(2)水道事業に対する市民の理解について
2.保健予防に関する課題について
(1)市内の若年者層の健康状況の把握について
(2)新生児聴覚スクリーニングの検査への助成について
3.地域医療に関する課題について
(1)「根室市の地域医療を守り育てる条例」に基づく取り組みについて
4.領土問題について
(1)地域財源の確保対策について
(2)北方四島交流訪問事業について

6月21日(水) 10番目 神 忠志
1.自治基本条例制定の必要性について
(1)自治基本条例と総合計画について
(2)自治基本条例が求めるまちづくりの基本的方向について
2.根室がもつ「自然と歴史文化価値」を改めて捉え直す「歴史文化基本構想」について
(1)根室の自然保護行政と基本的な指針について
(2)自然環境調査について
①これまでの「植物・植生等調査」について
②これからの「植物・植生等調査」の必要性と計画について
③根室の自然環境と資源活用のあり方について
 ア.ユルリ島の自然保護とその活用について
 イ.再生可能エネルギー問題と自然環境について
(3)ねむrの歴史・文化のまちづくり全体への位置づけについて
①「歴史文化基本構想」と根室市のまちづくりについて
②具体的な文化遺産の価値の評価と新たな位置づけについて
 ア.「日本遺産」登録への取り組みについて
 イ.「戦争遺産」指定への取り組みについて
 ウ.「北方領土遺産発掘継承事業」について
(4)「歴史文化基本構想」実現に向けた「研究・調査」と財源確保の課題について

2017年6月14日水曜日

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)⑥

2017年6月8日-11日
択捉島のビザなし訪問に参加して(つづき)

ホームビジッドのあとは、別飛の「金魚幼稚園」の視察に向かいます
紗那のまちを離れると、舗装されていない砂利道に入ります
ただし、そこも舗装化の工事が始められようとしている様子でした
園長先生の説明によると、クリル経済発展プログラムの一環として、2011年に建設されたそうです。幼稚園建設の背景には村の出生率の上昇があります
なるほど、確かにこの別飛の村中でも子どもたちの姿を多く見かけます
人口は少ないですが、日本の過疎地域と少し様子が違います
この金魚幼稚園の設立により25名の児童と教師が島に移り住んできたとのことで、現在は61名の児童が在籍しています
1歳半~3才、3歳~5歳、5歳~7歳のクラスに分かれているそうです
 この日は視察予定時間が大幅に遅れたたため園内の見学は出来なかったものの、ついこの間に終わったばかりという卒園式で披露したお遊戯を拝見しました
衣装や舞台の飾りつけ、先生がたも参加してのお遊戯です
最年長組だと思いますが正直、いや気合入りすぎではないでしょうか…
少し気になったのですが、幼稚園の玄関のコンクリートが割れています
私は素人なので勝手なことを断言できませんが、外見はとてもきれいなのですが、5-6年前の建物の割には粗雑な建築のように思えます
建築技術が十分な水準を満たしていない、あるいは検査なども日本と比較して十分な体制で行われていないのではないかと、ある訪問団の方は感想を述べていました
さて幼稚園の見学のあとは、紗那のまちにもどって散策です
実は昨日の時点では、ギドロストロイ社の水産加工場とふ化場の視察が予定に入っていました
ところが当日、説明できる担当者がいないということで中止になってしまいました、残念
ギドロストロイ社が収める税金は択捉島の税収の70%を収めると聞きました
また島民の多くも関連産業を含めてギドロストロイと何らかの関りがあるとのことです
今回、訪問団に参加していた水産加工業の社長さんも、この視察を期待していただけにガッカリしていた様子でした
下の写真は舗装化の工事中と思われる道路。
子どもたちの姿を多く見かけました
紗那の街中の散策します
現在の紗那のメインストリートは高台に置かれ、商店が立ち並んでいます
外国の風景のようです
お店には韓国製の商品がとても多いように見えました
古い四輪駆動車は日本製の車が多いのですが、そのほかに町中を走っている自動車では特に韓国製がとても多く使われていたと別な訪問団の方が話されていました
このメインストリートの一角に日本が建てた測候所があります
岩崎氏によると、この建物はしばらくの間、ロシアに地震観測研究所として利用されていたが、現在は閉鎖されています
元島民の方に教えていただかなければ気づかずに通り過ぎてしまうところでした
日本人が暮らしていたのは、現在の高台のメインストリートから見下ろす低地です
風がつよく当時は高台には、測候所があるくらいで住居を建てていなかったそうです
真ん中の赤い屋根と青い屋根の建物が地区行政府と芸術学校です
文化会館が建てられる前は集会所としても利用していたそうです
岩崎氏は日本人が暮らしていた集落の跡地がどうなっているか気になっていたが、時間がないため、近くまで行けなかった、と残念そうでした
その後の交流会では、ロシアの歌と踊り、そして日本側の訪問団は「ふるさと」をみんなで合唱しながら交流をふかめました
帰りの「はしけ」
エトピリカと散布山
翌日に根室港に到着
またしても雨の中、多くの方が出迎えてくださいました
今回参加し、はじめてまじかに見る島の姿やロシアの方との交流でした
根室市に暮らしていて、知識として読んだり聞いたりしてはいても、実際に体験することが本当に大切なことと改めて感じました
また船の中や現地などで、元島民の方や様々な立場の方から、いろいろなお話を聞かせていただいたことも大変勉強になりました

元島民の方はホームビジッド先で、自分が暮らしていた土地の近所に住んでいた方とお会いすることが出来た。今回の訪問で目標としていた新しい友達をつくることができた、とよろこびました。

志発島の元島民2世と3世で参加された親子の方は、お二人とも教師とのことですが、島への訪問ふくめの返還運動に参加することに対し、現在の職場が大変に理解をしてくれていることをお話しされました。
また昨年、墓参や自由訪問でロシア人側の都合で中止等が相次ぎましたが、その方が参加された墓参(自由訪問?)のときも、出港してからも四島側と手続きのやり取りが続いており、国後島の古釜布を経った後も、2度3度状況が変わって、島に上陸できるか、このまま根室に戻るのかという緊迫した事態になっていた様子を話してくださいました
そのときは結果として島に上陸することが出来たそうですが、上陸が決定した時の恒例となった元島民の方の表情が忘れられない、と言います

歴史・文化の専門家交流で参加された方は、紗那周辺の択捉島の遺跡調査をおこなったものの、今回は1日日程となったため大変にきつい状況だったこと。それでも縄文時代(?)の遺跡を発見することができたことをお話されていました
私がすごいですねと言うと、島には遺跡はなんぼでもあって、1日に5-6か所発見されることもある、と言われました。ただしこの次に択捉島にわたることができるのは来年だそうです。本当はもっとじっくり時間をかけて調査をしたい、とお話されていました
また開発が進むことでそうした貴重な遺跡が損なわれることを危惧されていました
本当の意味で自由な訪問が出来る状況になることが、こうした学術研究の分野からも期待されています

今回の訪問では、それぞれの方が、いろいろな思いをもって島への訪問をおこなっていることを、教えていただきました

領土問題の啓発という観点からも、ぜひできるだけ多くの方がこのように訪問できる状況になることが必要と考えます
またビザなし訪問では参加者それぞれの知識や理解に差があるため、事前や舩中の研修をさらに充実させていくこと
そして参加者同士のグループワークなどでしっかりとお互いに感じたことや意見を述べ合い、認識を高めていくような取り組みも必要と思いました

今回参加させていただいて、ありがとうございました
この経験を今後の活動にもしっかりと活かしていきたいと思います

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)⑤

2017年6月8日-11日
択捉島のビザなし訪問に参加して(つづき)

文化会館での住民交流会を終え、紗那の町中を通って郊外の「紗那日本人墓地」へ向かいます
自然石のお墓が日本人の墓碑です
その墓碑のすぐそばに柵が張られており、ロシア人のお墓が近接して建てられている状態でした
一番下の写真の今村さんは、奥さんの実家のお墓を去年ようやく発見することが出来たとお話しされていました
このほかにすでに石に掘られた名前も読めず、墓石が倒れかけた状態のものもありました
しかしこの墓地はまだ「日ロ混住」のため、整備された墓地とのことで、四島には草木に覆われて発見するのが大変な墓地も相当数あるそうです
墓参のための道路など環境の整備はやはり必要なことと感じました

ホームビジットでは、オシキナ,ナターリヤ・フョードロヴナさんのところに伺いました
私が参加したホームビジッドのメンバーは新党大地代表の鈴木氏、北海道北方領土対策本部長の中野氏、根室振興局長の中田氏です
オシキナさんは居る時は毎回日本訪問団のホームビジッドを受け入れて下さっているそうです。ただし今回はご自宅が改装中とのことでレストランに招待をいただきました
オシキナさんの7歳のお孫さんも一緒です。お名前を聞いたのですが、すみません、長すぎで聞き取れませんでした
それにしても島の子どもたちは英語が通じると聞いていたのですが、7歳にして彼も橋本のカタコト英語にきちんと応じてくれました
とても食べきれないほどの料理が次々と運ばれてきます。ロシア流のおもてなしのすごさに圧巻です。正直に言うと、最初のスープ(ボルシチ?)だけでお腹がいっぱいになりました
20数年前にビザなし訪問か何かで鈴木氏と一緒に撮った写真を持参したオキシナさん
今は退職されて年金生活ですが、ご自分を行政府で予算を執行する立場だったと述べていました(元地区長とかでしょうか?)
過去と現在の島民の生活の様子、巨大水産企業のギドロストロイが択捉島の住民の生活の安定に大きな役割を果たしていることを的確にご説明されました
また共同経済活動についても、択捉島における観光振興に期待をもっていること、
またその一方で自然環境を守る観点からごみ処理施設の必要性を感じており、そうした施設の建設に日本の技術を期待していることを述べていました
また「私たちは日本からこれまで受けてきた人道支援に対してとても感謝している。東日本大震災のとき、少しでもそのお返しをと思い、寄付を島民から募り贈らせてもらった」とお話しされていました
心のつながりとはこういうことか、と感じたお話でした
ありがとうございます

なお、ありがたい(申し訳ない)ことに、私たちのグループには最初から最後まで通訳の方がついてくださいました
ホームビジッド件数に対して、同行された通訳さんは限られているので、大抵は通訳さんはビジッド先の家庭を廻って歩きます
中には通訳さんが到着したのは、ほとんど予定時間が終わりそうな時というグループも…
船に戻った後、開催された各グループの報告会を聞くと、みなさん配布されたロシア語の会話集を手に、身振り手振りで一生懸命コミュニケーションをはかっておられたようです

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)④

2017年6月8日-11日
択捉島のビザなし訪問に参加して(つづき)

港からバスや乗用車に乗って、舗装された道路を通って、「文化・スポーツ会館」に到着
道路の街灯には並べるように、いくつものロシア国旗が掲げられています
街はずれですが、港と遠くに散布山を望む景勝地に、文化スポーツ会館があります
資料によると、この「文化・スポーツ会館」は2015年12月オープン。体育館、プール、スポーツジム、映画鑑賞ホール、資料館、図書館、行政機能などが集約されているそうです
本来はこの施設に併設された郷土博物館も視察見学の予定でしたが、嵐で1日日程となったために省略されました(残念)
映画鑑賞ホールで、表敬訪問というか、歓迎セレモニーが行われました
挨拶をおこなったベラウーソア地区長は
「クリルと日本はもっとも近い隣人同士。お互いを良く知ることが出来てきている。まだ両国の間には平和条約はないが、協力を深め前進したい」とのべました
また共同経済活動について
「択捉島は観光資源として多くのポテンシャルをもっている。素晴らしい自然、多くの名所、温泉…。観光の発展はサハリンの重要な計画となっている。昨日はクルーズ船の訪問がありアメリカやイギリスなど50名の海外からの観光客が訪れた。その中には7名の日本人が含まれている」と述べました
日本人がビザ等を取得して北方四島に訪問すること(つまりロシアの出入国手続きに従うこと)について、日本の外務省は自粛を呼びかけています
しかし(これは私の想像ですが)この他にも多くの日本人がビザなどを取得して北方四島に行っているのだろうな、と思わずにはいられませんでした
引き続いて、文化スポーツ会館で、住民交流が行われました
ダンスサークルのメンバーによるダンス講習会を行い、
再びホールで地元住民の子どもがかわいらしい踊りと歌を披露
日本側も社交ダンスを披露しました
引き続いて、
択捉島の住民の方々とグループワーク形式の意見交換会が行われました
私たちのグループには博物館の館長さんと病院に勤務する女性とその娘さん(学生)が参加しました
博物館館長さんは「日本の博物館は分かり易く、すばらしい。国の文化や自然を知る大切な施設であり、日本の技術や知識を学びたい」とのべました
また択捉島の生活で困難を感じることがあるか、という質問に対して、
「大陸から遠いため飛行機の移動は天候の影響をうけやすい。しかし道路・港湾・文化会館や食糧事情なども以前より良くなってきた。また以前は電化製品など島で買うことが難しかったものについても、今はインターネットを利用して世界中から手に入るようになった。住宅建設も進み住環境も改善されてきている」と答えました。
同じグループに参加した、元色丹島民の小田島梶子氏は、
「私は色丹島に13歳まで住んでいた。択捉の素晴らしい景色を見て、子どものころを思い出して胸がいっぱいになった。ふるさとは本当に良いとおもう。私にとっても、あなたにとってもここは大切なふるさと。一緒に手をつないで、お互い話し合ってやっていくことが大切だ」とお話されていました
対話の時間は30分でしたが、通訳を介すためさらに時間が短く感じました
もっといろいろなことをお話できたらと思いました

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)③

2017年6月8日-11日
択捉島のビザなし訪問に参加して(つづき)

9日の夜10時ごろに内岡(ナヨカ)沖に到着しました
翌朝はうす曇りながら柔らかな日差しが温かく、海面は湖のように静かで、遠くには散布山と船の反対側からは街並みが見えます
とても素晴らしい風景なのですが、やはり港周辺には沈没船が錆びてそのまま放置されていました
7時にはしけに乗船(四島の時差は2時間なので9時ごろにあたるそうです)
国後島からえとぴりかの後を追いかけてきた「はしけ」の船員から巨大なおひょうが2匹プレゼントされていました
はしけには60名の団員と四島医療支援により釧路の病院で治療をうけ択捉島に帰る患者さんと家族(2名)が、2回に分けて乗船
大きさからいって全員乗れそうですが、ロシアの法が変わったため、分けて乗船するようになったので、と説明されているそうです
そもそも疑問なのですが、この内岡のように岸壁が整備されている港につけるのに、なぜ「はしけ」を利用しなければならないのか
理由について、いろいろな方に話をうかがったのですが、あまりよく分かりませんでした

乗船を2回に分けた影響なのかどうかは分かりませんが、これより当日のスケジュールが大幅におくれていきます

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)②

2017年6月8日-11日
択捉島へのビザなし訪問に参加して(つづき)
昨日から一転、翌朝は素晴らしい快晴となりました
8:30頃に出発し、
通訳の先生による「実践ロシア語講座」をうけながら
およそ3時間ほどで、入域手続きを行う国後島古釜布へ到着
遠目にカラフルな街並みが見える一方で、湾には沈没したまま放置された船の姿も見えました
事務局の方から、ロシアの係官の写真を撮らないこと、各団員は船室で待機することなど、厳しく注意事項が言い含められます
なかなかロシア側の係官が到着しません。待つことしばし、ようやくそれらしき船が港からエトピリカに向かってきます
団員は各自、自室で待機するようアナウンスが流れます
1時間ほど待機していると、団員が呼び出され、一列にならんでロシアの係に官による提出した書類写真と実人物との照合が行われ、無事に入域手続きは終了
いよいよ択捉島に向かって出発です
目的の択捉島ナヨカ沖に到着するは夜の10時ごろだそうです
今回の訪問団副団長で択捉島出身の岩崎忠明氏から「紗那日本人墓地」についての説明がされました
紗那の墓地は現在、日本人とロシア人の混住状態になっているそうです
そのためロシア人は土葬のため埋葬するための領域面積が大きく、もともとあった日本人の墓が追いやられていると言います
当時は今のような加工石でなく、丸い自然石を削って墓碑にしています
それらが取り壊されたり、整備されないままあれた状態となっており、日本人の墓碑で現存しているのは20基程度とされています
それでも、四島で53か所あるといわれている日本人の墓地のうちで、ロシア人と共同のため、この紗那墓地は整備されている方だと言います
その他の墓地については、そもそも場所を特定して探せない、道がない、クマが出る等の理由で墓地までたどり着けないといった場所が多数あるそうです
また紗那のまちで日本人が共住していたという痕跡が残っているのは、測候所後と小学校跡だけとなっており、近くとり壊れる予定ではないかと、危惧されていました
国後島 爺々岳
船に乗っている時間は長いのですが、研修プログラム以外にも参加者同士で様々な交流が行われています
夕方、国後水道を抜けます
波が早く大変に船が揺れます、とアナウンスされていましたが、思ったほどではありません
他の方に伺うとこの日は比較的穏やかだったようです
船の左側に国後島、右側に択捉島をのぞみながら、太平洋側からオホーツク海側へ向かいます
そして択捉島の姿を大きく目で見たときはとても感動しました
海にまじかに迫る山々、特に阿登佐岳とその奥に見える択捉島最高峰の西単冠山、そして遠く正面に散布山(北?南?)が映る風景は、印象が知床や国後島ともまったく違う姿のように思えました

ちょうど船の左側には水平線に夕日が沈むときで、それに照らされた阿登佐岳が赤く染まり、山の側面からは満月が登ろうとしているときでした
多くの参加者達もカメラを手に、絶景に見とれています
素人ながら本当にこうした雄大な自然を生かしたクルーズだけでも十分な観光資源になるのではないかと思われます
ちなみに「えとぴりか」のスタッフさんのお話では、このように波が穏やかで、しかも霧がかからずきれいな風景が見えるのは、自分たちも年に1回あるかどうか、という話でした

平成29年度 第2回 北方四島交流訪問事業(一般:択捉島)①

2017年6月8日~11日

平成29年度第2回北方四島交流訪問事業(一般:択捉)の団員の一人として参加しました
訪問団は北村信人氏を団長に60名(61名でしたがうち1名が欠席に)
元島民家族でない私は、択捉島はもちろん北方四島への訪問自体がはじめてです
根室市議会でも、参加したことの無い方を優先に応募します
今回の訪問団では別海・中標津・標津・羅臼のそれぞれの町議さんと松浦道議ふくめ2名の道議会議員さんも参加されていました
なお5月に実施された国後島への訪問では足立市議が参加されました

出発前日に北方四島交流センター(ニホロ)行われた「結団式」は、主に自己紹介含めた注意事項等を説明するオリエンテーションのような形です
また択捉島のプログラムで住民意見交換会でグループワークを行うことになっており、そのために各グループで「共同経済活動」をテーマにどういったことを択捉の住民の方と話し合うかについて、意見交換をおこないました
私たちのグループには、これまでに色丹島や旅行でもロシア極東地域を訪問したことのある北村団長が加わっていましたので、北村さんからロシアの人々の気質や風習などについて、大変興味深くお話を伺いました

出発の8日は朝から雨と風の吹く大変に寒い中、大勢の方が見送ってくださいました
しかし風が安全に航行できる基準を超えていたので、この日は根室沖に停泊し、天候の回復を待って、翌朝出発する予定であることが、伝えられました
択捉島でのプログラム日程は当初、9日(金)と10日(土)の2日間の予定でしたが、これにより10日(土)の1日間に短縮され、時間的にタイトなスケジュールとなりました
調整にあたった実行団体の北方四島交流北海道委員会の事務局の方々は大変な苦労をされたことと思います
さて、
根室港沖で停泊中にも船内での「研修」がおこなわれます
択捉島元島民の「語り部」松本侑三氏から、戦前の択捉島についての説明がされました
択捉島周辺の海域はシャチが常駐する世界的にも誇る生態系を保持しており、知床と同じ世界遺産や観光資源としてのポテンシャルを秘めていると言います
松本氏の出身地である「丁寧」は元々50戸程度の小さな集落ですが、旧日本海軍の航空隊約23,000人が常駐しており、にぎわっていたそうです
なお松本氏によると丁寧は「太平洋戦争」のはじまりと終わりの地といえるそうです
1941年12月、単冠湾に軍艦30隻が集結しました
その後、(戦争中の)4年間は平穏なくらしでした。学校やおまつり等でにぎわいをみせていたそうです
それがポツダム宣言受諾後の1945年8月18日以降、サハリンからやってきた旧ソ連軍は択捉島の留別から年萌へと旧日本軍を武装解除しながら侵攻しました
ソ連侵攻後は、地元住民を労務させてソ連人の生活基盤を作らせてから日本人を排除する、そのようなやり方に憤りを覚える、と松本氏は語ります
そして戦後70年以上経過し、今は故郷に行きたくてもいけない、自分たちの生活していたあとは全て壊されている
また道路なども整備されておらず、仮に飛行機で自由訪問が実現しても、行けない場所も多々あると言います
墓地の場所についても、すでに分からなくなっている場所もあり、GPSを使用する等してでも特定させていきたいと思いを語ります
「経済協力」と言いながら、その先に一体何があるのか? 自分たちの島でありながら、自由に行けない場所。自由に墓参をしたい。そうした思いを松本氏は語っておられました
語り部のあとは船内の研修プログラムとして
専門家交流として参加している社交ダンスクラブの方々を講師に、社交ダンスの練習
そして映画「ジョバンニの島」の上映が行われました
映画上映の間に、今回の訪問団最高齢の一人である元島民の長谷川ヨイ氏から当時のお話について伺いました
択捉島入里節の出身の長谷川氏は去年やこれまで訪問した故郷周辺の写真を見せながら、当時の様子や自由訪問等で参加した時の状況について説明します
当時は昆布等がとても採れ、自給自足で野菜なども作っていたそうです。1年に一度米や醤油、衣類、お菓子など生活必需品を大量に島外が仕入れると、それ以外にはお金を使わない生活です
終戦時は13歳だった長谷川さんは、何も困らない豊かな暮らしだったと当時を振り返ります
入里節の墓地は、現在は草木に覆われて探すのが大変に困難になっているのだそうです
写真を見ましたが、砂浜近くの背の高い草むらに覆われて「この草の向こうに墓があるよ」と言われても、ちょっと信じられません
また飛行機になったとしても、空港から5時間も6時間も舗装されていない道、道路と言えないような道を車で行く(ところによっては海岸の砂浜を走る)ような場所であり、「墓参が飛行機になったら私は絶対行かない!」とおっしゃってました
それでも、これまでの墓参や四島への訪問交流事業などを通じて、ロシアの方との交流の大切さを語っていました。また自分も根室のまちでロシアの方を見かけたら積極的に片言のロシア語で話かけに行っている、と。
「まずお互いにコミュニケーションをとって友達になっていかないと」と長谷川氏は言います「突然、行ったってうまくいかないよ」「一般の人が四島に行ける機会が少ない。人間同士が自由に行き来できるようにするのが大事だよ」と。
また「(島が返ってきても)ロシアの人に自分たちと同じ思いをさせたくない」とも言っていました