2025年10月9日
根室市議会10月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします(つづき)
2.根室市内における再生可能エネルギー発電施設について
(1)風力発電施設および太陽光発電施設建設に関する指導要領について
① 2023年に従来の「大規模開発事業に関する指導要領(風力発電施設建設編)の改定および太陽光発電施設建設に関する指導要領の新設を行って以来、事業者による計画書などの届け出はこれまで何件あり、そのうち建設事業が完了した事業は何件あるのか。
また、それにもとづく事前説明会等はこれまでどのように行われてきたの。
あわせて建設後の障害、事故、住民による連絡に報告は何件報告されているのか、それに対してこれまで事業者側は適切に対応されてきたのか。
【市長 答弁】
令和5年6月に太陽光発電施設の建設に関する指導要領の制定と風力発電施設建設に関する指導要領の改訂を実施して以降、風力発電の届出は無い。
太陽光発電は23件の届出があり、そのうち建設完了が9件。
また事前説明会等の実施方法は、事業者は近隣住民である町会長に開催方法を相談した結果を基に、地域住民を集めた説明会、または、町会内の回覧版で資料を配布し、質問等に答える方法により実施されてきた。
この間の建設後の問題等は令和6年4月、北浜町の太陽光発電所での火災事故が1件ある。
事故報告書の提出を求めた結果、漏電による発火が原因と推測され、これを受け発火を防ぐための点検が年1回から年2回に増えたものであります。
② 以上の点も踏まえ、2年前の市の指導要領の改定(および新設)による効果について、市長はどのように評価されているのか。
【市長 答弁】
市は現行指導要領の認知度も高まり、既存事業者のみならず新規事業者も事業計画段階から市や地域とのコミュニケーションが図られており、建設後の事後対応を含め効果はあったものと捉えている。
現在、先ほど須崎議員に答弁した通り、災害の防止や生活環境の保全等を目的とした条例案を12月定例月議会に上程すべく、作業を進めている。
(2)条例制定について
令和6年6月定例月議会の西田議員への答弁および令和7年市政方針で「本年中に現行の指導要領を基本とした条例の制定を図る」とされ、現在策定作業がすすめられております。本条例について、これまでの答弁では「規制条例がない市町村での建設が進む懸念もある」としていることから、規制を強化することを目的とした条例と認識。
具体的な条文案は今後10月または11月にもパブリックコメント等を通じて明らかにされるが、あらためて条例を制定することにより、これまでのガイドラインよりも具体的にどういった点から規制強化が図られるようになると想定しているのか。
【市長 答弁】
地方自治体が制定する条例は法的拘束力があり、この点は指導要領と大きく違う点。
条例制定に向けては、これまでの指導要領には無かった抑制区域や禁止区域などエリア設定や災害時に対応できる行動計画の提出等、市としての意思表示や現行指導要領で不足している部分を事業者に求めるなど一定の規制強化を図りたい。
しかし先ほど須崎議員に答弁した通り、地方自治体が制定する条例において、法の定めを超える規制を定めた場合は、事業者に訴訟を起こされるリスクがあるなど、法的トラブルを招く可能性があり、限界があることも事実。今後も国による立法的対応を望むところ。
( 意見として )
先般、9/9の住民説明会のときに事業者側は「根室のガイドラインは相当に厳しい内容だ」と述べていた。また別な自然保護の関係者の方は、貴重な動植物をはじめとする自然環境への影響について幅広く調査を行うよう求めていることから、施行の再エネ特措法改正市のガイドラインによる一定の抑制効果があったのではないかと、その方は評価されていた。
ただ実際問題として特に太陽光発電施設は増えている。
市税務課の資料によると太陽光発電の設置個所は令和3年度100か所、令和7年度の課税調定ベースで165か所。この4年間で1.65倍以上に急増している。
【再質問 ①】
市のガイドラインでは事前説明会等の実施を求めているが、説明対象機関等としている「近隣住民」とは、根室市の場合はどこまでを指すか?
例えば橋本は宝町に住んでいるが、根室西浜太陽光発電事業の近隣住民と言えるのか?
【水産経済部長 答弁】
市の指導要領(ガイドライン)上の近隣住民の範囲は一般的には建設予定地を含む町内会の範囲を示すが、資源エネルギー庁の「説明会および事前周知実施措置ガイドライン」によると、根室西浜太陽光発電事業の場合は300mの範囲内に居住する方々が「近隣住民」に該当。
( 意見として )
再生可能エネルギー特措法施行規則に沿ったガイドラインだと思うが、発電設備の出力が50kW以上で300m以内の住民、隣接する土地や建物を所有する者に説明会などを開催。
一方で例えば車石付近にある太陽光発電施設は49.5kwで、100m以内に居住する者。観光地など都市計画区域外や市街化調整区域に建設される場合は説明会や事前周知の対象が狭くなる。多くの市民にとって、知らない間に増えてきているという印象が大きい。
今回の業者が2回目の市内全体への住民を対象に説明会を開催したことで、多くの関心が高まった。今後条例化を進めるにあたり、住民合意のあり方が問われているのではないか。
【再質問 ②】
条例制定過程で、2月の総合計画審査等特別委員会では担当課より「市の関係課と協議をしながら進めていく」と答弁され、そのように進められている。
一方で7月に行われた総務経済常任委員会委員協議会では、条例案に対して大学など専門家や研究者等の意見を聞くことや検討会をおこなってはどうかと述べたが、時間的に厳しく、早く条例を作る方が大事との説明。
検討会の立ち上げは厳しくても、せめて一般的なパブリックコメントとは別に講演会やシンポジウム等、専門家の意見を聞く機会をオープンな場で設けることは出来ないか?
そうした取り組みを含めて、この条例制定を通じて再生可能エネルギーへの賛否はそれぞれとしても、全体として市民の自然環境への意識・関心をより高めることにつながっていくものと考える。
【水産経済部長 答弁】
現行の指導要領から条例が制定されることにより、規制のレベルが上がるものと捉えており速やかに作業を進め、本年12月議会で条例制定を目指していきたい。
ゼロカーボンの推進と自然エネルギー発電の必要性や課題などについて総合的に理解を深めることは大事であり、講演会等の開催は別途検討する。
( 意見として )
根室市でも条例制定の中で禁止区域、抑制区域を設定するとしている。それとは別に自治体独自としてゾーニングを行うのかどうか、という課題も引き続きあるかと思います。
いずれにしても条例制定後も規制の面では、市長が答弁されたように課題があり市長は自民党本部で対応を求めたとのことだが、北海道による広域的な対応、何よりも国による法的な対策強化について我々もそれぞれの立場から求めたい。
【再質問 ③】
9月27日に釧路市内で開催された「釧路湿原周辺でのメガソーラー工事を考える住民の集い」に参加し、釧路市議会9月定例会で全会一致で可決された「釧路市自然と太陽光発電施設の調和に関する条例」の解説や本条例の課題などについて聴講した。
釧路でも課題となっているのが国立公園範囲外の部分であり、「阿蘇くじゅう国立公園」が適応範囲の変更をかけた事例を参考に、釧路湿原国立公園の拡大を地域として取り組んでいくべき、そうした取り組みの中で法的保護の強化をするべき、との意見がだされていた。
根室においても重要な課題。こうした観点も含めて国定公園化の範囲をどうするのか慎重に検討していく必要がある。
今年3月に設置された「野付半島・風蓮湖・根室半島地域国定公園化協議会」の中でも十分な論議を図っていただきたい。
【水産経済部長 答弁】
野付半島・風蓮湖・根室半島地域の国定公園化に向けては本年度から国の自然環境調査が行われ、令和7年3月に設立された野付半島・風蓮湖・根室半島地域国定公園化協議会の中で、その結果等も明らかにされていくものと考える。
地元の意見を述べる機会もあるので、調査結果に基づく論議を深めていく。
( 意見として )
「フレシマが国定公園の範囲に入らないのではないか」という懸念が関係者などの中であるとも聞く。
「野付半島・風蓮湖・根室半島地域国定公園化協議会」は道の主催だが、年1回程度の開催らしいが、地域から回数がそれで良いのかどうか、もっと積極的に議論を進めるべきではないかという点も含め、協議会を構成する市町村からも声を上げていただきたい。
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