2024年12月10日
根室市議会12月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします
1.地域福祉に関する諸課題について
(1)高齢世帯の増加に伴う地域の課題について
今年11月12日、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が公表した『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)令和6(2024)年推計-』では、2050年の北海道全体の予測は、全世帯に占める高齢者世帯の単独世帯が22.8%近くになる。また夫婦のみ世帯を含めると37.3%になると見込まれる。根室市でも高齢化の進展にともない高齢世帯、特に独居世帯の増加傾向が続いている。今後、高齢世帯の数は減少が見込まれるが、市内の総世帯数に占める割合は引き続き上昇。
一般論として高齢化による住民自身、地域への影響は特に75歳や80歳以上の増加に伴う要介護者の増加。認知症の増加。対応する介護サービス・人材の不足。移動・買い物・除雪をはじめこれまで自分自身で難なく出来た日常生活の行動が困難となること。今の物価高騰を迎える以前から、現代社会の生活水準に全く見合わない低い年金額に抑えられてきたことから、独居(特に非正規雇用での就労を余儀なくなされてきた女性の単身世帯)では生活困窮に陥りやすくなること。災害時の対応…などが課題。
このような地域および住民が直面する課題について、将来的に懸念される観点も含め、市長の見解を伺う。
【市長 答弁】
当市の本年10月末時点での高齢化率は36.1%と、この10年で6.7ポイント上昇。独居高齢者世帯についても同じく増加している。
こうした中、将来において認知症や生活困難者への支援の不足、住民間の交流や見守りの弱体化など様々な課題が考えられ、これらに対応するためには介護サービスや人材の充実のほか、地域での支え合いを促進する仕組みづくりが重要。
【再質問 ①】
課題への対応として介護予防、高齢者の健康づくりをどうすすめるのか、という観点が欠かせない。個々人の虚弱化を予防し、健康寿命を延ばすことのみならず、地域づくりのテーマとしても介護予防・健康づくりは重要な観点。
根室市では高齢者サロン活動や音楽療法など、これまで市の一定の拠点となる場所での取り組みを進めてきた。既存の事業に加え、住民自身が実施主体となって、より住民に身近な場所で、数多く、多様な形での介護予防に資する事業を展開することが重要。
【健康福祉部長 答弁】
介護予防と健康づくりは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための「地域づくり」の重要な柱。現在、市が主催する介護予防事業を中心に実施している。
また、ふまねっと運動などでは一部地域の自主サークルでの取り組みが行われている。こうした自主的な活動を支援しながら、今後は、地域住民のつながりのなかで、住民が主体的に参加できる取り組みの場所を含めた環境整備を段階的に進めたい。
【再質問 ②】
高齢社会の課題は人口減少によって地域を支える担い手となる40代~60代が急速に減少すること。同時に人口減少で人と人のつながりが希薄化する。町内会ですら急速に衰退が進んでいる。住民同士の見守り、支え合いをどう構築していくのか。あらためて見解を伺いたい。
【健康福祉部長 答弁】
地域の担い手減少への対応として、地域包括支援センターを拠点に、見守りボランティア活動や地域サークルとの連携を進めている。今後ICT技術を活用した見守りシステムの検討など、担い手の負担軽減も考慮しながら効率的な支え合いの仕組みづくりを進めていきたい。
(2)民生委員・児童委員をはじめとする地域福祉の体制について
いわゆる「地域共生社会」の実現という観点も含め、地域福祉における「民生委員・児童委員」は引き続き大きな役割を期待されている。
現在、根室市内では主任児童委員を含めて60名が活動。定数より10名が欠員、つまり市街地の10地区が空白が続いています。
民生委員・児童委員の制度というかあり方そのものは、近年の社会情勢の変化に対応していくために、より多くの役割が求められている。その一方で委員の高齢化、なり手不足が指摘されてから相当な年月が経過。全国どこでも有効な対策が取れない状況が続く。
民生委員の空白地区が続いている状況について、根室市の地域福祉の推進という観点で、どのような影響があると考えられるか。
【市長 答弁】
本市は民生委員児童委員67名、主任児童委員3名、合計70名の定数に対し、現員数は(民生委員)57名、(主任児童委員)3名の合計60名。現在10名の欠員。市内10地区の空白。
民生委員児童委員は、地域住民の身近な相談相手となり、支援を必要とする住民と行政や専門機関との「つなぎ役」を担っている。担当地区に空白が生じた場合、福祉的な支援を必要とする住民の把握が困難となり、支援が必要な方に必要な支援を届けることが難しくなるなどの影響がある。
【再質問 ①】
なり手不足等の現状について、根室市民生委員児童委員協議会事務局として、現在の制度的な課題と考える点はどのような部分でしょうか?
【健康福祉部長 答弁】
全国的には「担い手の年齢構成のかたよりと現状」「無報酬での活動」「活動内容の増加・複雑化による委員の負担増」「地域コミュニティの変化」などが課題として挙げらている。本市も概ねこれに当てはまる。
また民生委員児童委員の認知度も課題。例えば新たな方に委員をお願いするにあたり、民生委員児童委員の役割・活動内容や活動に対する「やりがい」「意義」などがあらかじめ理解されていれば、多少なりとも前向きにご検討いただける展開になるのではないか。
民生委員児童委員協議会事務局として、これまでの活動でこの点に関する情報発信が十分ではなかったと感じており、今後は民生委員児童委員の活動内容や重要性を広く周知し市民の理解を得ながら、なり手の確保に努めたい。
【再質問 ②】
根室市の場合、空白地区はこれまでどのようにカバーされてきたのか?
【健康福祉部長 答弁】
空白地域は、つなぎ役である民生委員児童委員が不在という現状から、地域住民からの直接の情報提供や社会福祉協議会等の関係機関によるアウトリーチ支援により、支援が必要な方の把握に努めているほか、証明事務等は、近隣地区を担当する委員の協力を得ながら対応している。
また本市が例年民生委員児童委員協議会に協力依頼している「高齢者実態調査」は空白地区が解消するまでの間、当該調査を市職員が担うことで対応してきたが、空白地区の増加に伴い業務負担も増加している状況にあり、今後の対応について検討が必要。
【再質問 ③】
これまで根室市民生委員児童委員協議会でも担い手確保に向けた検討が続けられてきた。2025年の一斉改選にむけ定員数の充足率の向上のために、市または市民児協として、どのような対応を考えておられるのか。
【健康福祉部長 答弁】
北海道民生委員児童委員連盟の「民生委員児童委員の選任にかかる実態と以降に関する調査」では「退任意向確認及び候補者探しが早い地域は比較的欠員率が低い」との見解を示しており、本市でも意向確認や候補者探しの作業に年明けから着手し、充足率の向上に努める。
【意見として】
広く市民に対して公募をするなど広い視野で探すことが良い。また直接対象者を掘り起こすものではないが、業務の幅が広がっていることを考えると、ICTをどう活用するのか、タブレット端末など得られる機会があれば考えてほしい。
【再質問 ④】
民生委員・児童委員として正式に推薦・委嘱とまでならないとしても、例えば介護・福祉など民間事業者、町会をはじめとする地域の様々な団体・個人の協力を得て、空白地区の訪問や調査活動等の役割の一部分を担うことや、また現在委嘱されている民生委員の活動をサポートできるよう市独自の仕組みを構築して募集するなど、新たな仕掛けを市としても検討を進めて行く必要があると考えます。
最終的に重要なのは形はどうあれ、どのようにして様々な地域福祉の担い手を広げ、育てて行くのかという観点で検討することではないか。
【健康福祉部長 答弁】
近年、民生委員児童委員の負担軽減を図るため、地域住民民から「民生委員協力員」を募り、委員活動の補佐・協力を行う仕組みを導入する自治体もあり、本市でも情報収集を進めている。
民生委員児童委員の活動は地域によって内容や取り組み手法が大きく異なり、他市の事例をそのまま投資に適応することは難しいが、「民間事業者や地域の団体・個人の協力を得る取り組み」もあわせて、今後、民生委員児童委員の意見を伺いながら、本市の実情にあったサポート体制を構築するよう努める。
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