2023年12月13日水曜日

2023年 根室市議会 12月定例月議会 一般質問 ③/3

2023年12月13日

根室市議会12月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします(おわり)

子どもの視力低下の状況とその対策について
(1)根室市内の小・中学校等における状況と根室市教育委員会としての対策について 
①令和4年度学校保健統計の調査結果(概要)によると、裸眼視力1.0以下の児童、生徒は小、中および高校生ともに過去最多を更新し続けている。「裸眼視力1.0未満の者の割合は、学校段階が進むにつれて高くなっており、小学校で3割を超え、中学校では約6割、高等学校では約7割となっている」とのこと。ざっくりと比較すると昭和54年度に比べて、小学校では約2.11倍、中学校で約1.74倍。高校で約1.35倍に増加。近視の発症は遺伝と環境の両方の要因があるそうだが、特に今は家庭・学校ともにデジタル端末機器が身近にあり、その使用頻度・使用時間が高い環境。これまでも文科省をはじめ子ども達の近視や目の健康に関する詳細な調査を行い、また指導用教材の開発などが取り組みが進められてきた。今後もこうした問題への対応はますます重要になってくる。
根室市内の小、中学校等における児童・生徒の状況について伺う。具体的には学校における視力検査の判定結果や、その後の眼科受診の状況、さらに眼鏡等の使用の状況について伺います。

【教育長 答弁】
令和4年度の調査結果では児童・生徒の裸眼視力1.0未満の割合は、例を挙げると小学校1年生で43.6%、中学校1年生で58.5%と、全国同様に学校段階が進むにつれて高くなる。過去5年間の経過でも1.0未満の割合は増加傾向。
日本学校保健会が発行する児童生徒健康診断マニュアルでは、0.9以下の場合には眼科への受診を勧めるとされているが、実際に眼科への受診をしているケースは対象者の5割程度。
さらに眼鏡使用は一般的に0.6以下の方へ推奨されているが、小学1年生の内17.6%の対象者に対し6.7%、中学1年生の内45.3%の対象者に対し32.1%の眼鏡使用率で、小学生が低い状況。

②今年、コンタクトレンズの会社が全国の養護教諭に対して行ったアンケートでは「目の健康や近視について、学校で指導する機会が十分に持たれていると思うか」という質問に対して、半分以上の養護教諭が「そう思わない」または「あまりそう思わない」と回答。
文科省等から目の健康に関する指導の通知もあり、全国の学校ではそれらをふまえた保健指導が行われてきた。しかし実際には各学校の取り組み状況が、まだ不十分と危惧している現場の養護教諭が全国的には多いのではないか、と私は想像している。
根室市内の学校のタブレット端末をはじめとしたデジタル機器の使用や目の健康に対する指導はどのようになされているのか伺う。また根室市内の小・中学校等において、児童・生徒の近視や目の健康の状況および学校における取り組みへの評価、また課題に対する教育長の見解を伺う。

【教育長 答弁】
学校では文部科学省が作成した「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」を踏まえ、端末使用時の児童生徒の姿勢や使用時間など目の健康に配慮した指導を行い、保健だより等の家庭向け文書や校内での掲示を通じて、家庭でのタブレット端末使用のルール作りや安全な使用について周知を図っている。
児童生徒の健康面への配慮として、教室内の適切な照度確保に向けた照明器具整備をはじめ、姿勢に関する指導、家庭でのゲーム機や携帯電話などの使用時間を決める「スイッチオフ22」運動による家庭内でのルールづくりなど、指導・啓発に取り組んできたが、視力の悪化が進んでいる状況も踏まえ、改めて学校と家庭の両面から児童生徒の視力低下を防ぐ取組を推進する。

【意見】
小学1年生の対象者が17.6%で、その中で眼鏡使用率が低いという話だった。小学1年生に相当する年齢で0.6以下の子どもは、全国的には約9.0%と言われているので、根室の子ども達が高い数字では? この年が偶然にそうなのか、今後も経年で見ながら、いろいろな形で調査の数字を把握していっていただきたい。

【再質問】
学校も含め、子ども達自身と家庭・保護者の理解促進による予防の取り組みを前提としつつも、何らかの異常があれば早期の受診および適切な対応がなされることが重要なのは言うまでもない。
しかし、その際に眼鏡の購入費用負担の問題から、適切な視力矯正がなされず、結果として日常生活や学業に支障が生じることがあってはならない。
難病や身体障害者などの日常生活用具、または生活保護の医療扶助など他の制度による購入費用の助成対象とならない方で、かつ就学援助(準要保護)を受けている児童・生徒に対して、医師の診断のもと、市町村独自の制度として眼鏡の購入を補助する仕組みを検討して頂きたい。

【教育部長 答弁】
 当市では学校保健安全法第24条及び同法施行令第8条の規定に基づき、学習に支障を生ずるおそれのある指定疾病にかかり、治療の指示を受けた就学援助対象の児童生徒については、その疾病の治療に要する費用についても、就学援助費の対象として取扱っているが、現状においては眼鏡購入費については対象外。
市町村独自の就学援助や他の支援制度による購入費用の助成等をおこなっている自治体があることは承知しているが、当市において、眼科の受診率及び眼鏡使用率が低くなっている要因は、経済的な理由ばかりではなく、眼科受診に対する様々な意識が影響していることも考えられることから、今後、養護教諭等との意見交流も行いながら研究したい。

【再質問】
眼科受診率や眼鏡使用率が低い要因について、『様々な意識が影響』と言われたが、その内容について例えばどのようなことか、もう少し説明願いたい。

【教育部長 答弁】
視力0.9以下の生徒に対して学校を通じて眼科受診を進めているが、眼科未受診の主な理由として「保護者より、仕事などの都合で受診する時間がとれない」「市内の診療機関がいつも混んでいる」などの理由を多く聞く。共働き世帯の増加等により、突発的なケガや発熱などによる受診に比べると、保護者の意識の中で緊急度や優先度が低くなる傾向にあるのではないかと考えている。
日常生活の啓発指導とあわせ必要な眼科受診に向け、養護教諭との意見交流も行いながら、研究していきたい。

【意見のみ】
要因をいくつかに分類した中で、対応を取り組んでいく必要があると思います。
①受診に時間がかかるというのは地域医療の課題。新たに開業してもらうのを待つか、市立病院の医師体制を増加するしかないので、すぐには対策を採ることがむずかしい。
②児童・生徒および保護者や地域における知識や理解、意識向上の問題。最も重要。近視のみならず生活習慣病など全般的に意識をつくっていくためには、幼保小中高の連携で取り組んでいくことや、学齢期・青年期に近視が進むという状況を考えると、青年期以降(社会教育)まで含めた連続性のある対策・取り組みを構築していく必要がある。また保健所や市長部局とも連携しながら進めて行くべき、R6年度が最終年度の市健康増進計画への反映も検討すべき。ただ仕組みづくりは難しいことは認識しているし、生活習慣を改めるという問題なので、また効果を得るまで時間がかかる。
③経済的問題。市として18歳までの子ども医療費の完全無料化されたので、受診しやすい環境はつくられているが、保険給付の対象とならない医療器具への支援どうするか? 保護者や子ども達の意識向上が図られたしても、経済的負担だけはどうにもならない。
他の自治体(墨田区)の事例で言うと対象者の約15%が「メガネ購入費」を就学援助で受給しているとのこと。根室での対象者が何名になるか分からないが、仮に令和4年度就学援助の認定191人×15%=29人に、補助2万円としても=年額で約60万円。この予算規模をどのように評価するのか。我々としても引き続き今後の課題として取り組んでいきたい。

【教育部長 答弁】
学校では視力検査を年3回実施しているが、0.9以下の子どもに対して視力検査のお知らせという形で各家庭に通知し、その下の眼科受診報告書があり、その用紙で回収されたのが5割くらいという意味。いずれにしても養護教諭と情報共有しながら、まず啓発の部分からどんなことができるのか、検討していきたい。

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