2023年6月20日
根室市議会6月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします
その質問内容と答弁を要約してお知らせします
1.根室市の介護・福祉・保健予防に関して
(1)高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に向けて
2019年の高齢者医療確保法などの改正により、2020年度から「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」という新たな制度がはじまった。
厚労省の説明によると、後期高齢者医療広域連合と市町村が協力し、高齢者の健康維持・フレイル予防に努める新たな仕組み。これまでの行政は、介護予防は介護保険担当、住民の健康づくりは保健衛生の担当、そして広域連合にはまた別な役割があり、それぞれの制度や財源にもとづいて事業を実施してきた。しかし情報や社会資源が共有されず、包括的な保健サービスを提供しにくい現状にあった。そのため本制度では共通の目的を持ち、地域の実情にあったフレイル対策に繋げていく仕組みをつくる、とされている。
国の方針として2024年度までに全国すべての自治体で「一体的推進事業」の実施が求められている。
根室市ではこれまで、後期高齢者医療連合からの受託事業として一体的推進事業は実施できておらず、それは保健師などの医療職の体制が十分に取れなかったことが大きな要因。
来年度からのスタートにむけて、市としてどういった方針を持ち、体制等も含めて整えていくのかという最終的な準備期間。あらためて市としての考え方を伺う。
【市長 答弁】 高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援などの視点から、保健事業と介護予防事業の一体的な取り組みについて、令和6年度までに全ての自治体で実施が求められている。
当市として医療専門職の配置や事業の企画・調整、国保データベースシステム等を活用した地域の健康課題の分析、対象者の把握、医療関係団体等との連絡調整など、様々な課題を整理し、関係機関などとも連携して、来年度からの事業実施にむけて取り組む予定。
【再質問 ①】 根室市では産休の対応など含めて保健師をはじめとする医療専門職の確保が厳しい状況が続いていた。2024年度までと言いつつも、根室市では新庁舎の建設とあわせて組織的な配置なども見直しを図っていく中で、取り組んでいくものと思っていた。それでも「来年度からの事業実施に向けて取り組む予定」とされているので、内容について何点か伺っていきたい。
事業実施するにあたり市の組織体制として、どのような体制で取り組むのか。
また「関係機関などとも連携しながら」との答弁だが、市内の医療機関など(歯科や介護・福祉の関係機関、保健所など含め)との連携体制をどう構築していこうとしているのか。
【健康福祉部長 答弁】 北海道後期高齢者医療広域連合が実施した未受託市町村向けの調査によると、本事業を実施していない市町村の88.4%が専門職の配置・確保が困難であると回答。当市においてもそのことが課題。
今後も医療専門職の確保に向けて取り組みを進めるとともに、組織体制についても詳細はこれからだが関係部署の連携が円滑になるよう適正な配置に努める。
また市内医療機関との連携も根室市外三郡医師会をはじめ医療関係団体等ともしっかりと連携がはかれるよう協議したい。
【意見として】 医療機関などとの連携については早いうちからの意見交換、事業の構想や企画の段階から共通の認識をつくるための働きかけが大事。
あわせて、特にコロナ禍では後期高齢者の特定健診の受診率が落ちている。2020年度は5.1%、2021年度は5.8%という極めて低い水準で推移してきた。医療機関側を含めて、健診そのものについて、地域としてどういった位置づけで取り組んでいくのかを含めて協議してほしい。
【再質問 ②】 一体的事業の推進にあたって、法改正による大きな特徴の一つが、広域連合がもっている地域ごとの医療データ等を市町村が活用できるようなったという点。
現時点で、医療や保健等のデータをもとに、根室市内の高齢者の健康状態の傾向や、あるいは医療や介護にまったく繋がっていない方がどの程度いるのか等について、市担当課としては現時点でどの程度把握できているのか。
【健康福祉部長 答弁】 現状とては例えば、生活習慣病の重症化予防のために医療機関と連携した疾病管理の必要がある高齢者についての把握は出来ていない状況にある。
また医療・介護サービス等につながっていない閉じこもりのおそれのある高齢者などについても、全てを把握しきれていない状況。
このことから一体的事業実施にあたってのプログラムにある、高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)として、今後取り組むべき内容であると認識している。
国保データベースシステム等を活用した地域の健康課題の分析に取り組むとともに、高齢者の健康状態の把握に努めたい。
【意見として】 そのように地域の健康課題をデータとして明確化して、その上でリスクの高い対象者を抽出する。そうした対象者への支援は個別の保健指導等とあわせて必要に応じて地域の介護予防・健康づくり活動にもつなげていく形になる。
【再質問 ③】 市としても特に高齢者を対象とした健康づくり・介護予防教室や老人福祉センター・高齢者サロンを拠点とした通いの場・生きがいづくり、を進めてきたところと認識している。
こうした取り組みと合わせて、一方で住民の身近な場所で、住民が主体となった介護予防・健康づくりの通いの場を多様に広げていくことが重要と考える。
コロナ禍で各地域コミュニティの活動が停滞する期間が続いたが、新しい事業に取り組んでいく中で、医療専門職が各地域に入って住民主体の多様な通い場等の開発に積極的にかかわっていくことを進めていただきたい。
【健康福祉部長 答弁】 介護予防の視点からも、一体的推進事業において通いの場等への医療専門職の積極的な関与は重要なものと考えている。生活支援コーディネーター等とも連携しながら、実施が出来る場所も検討していきたい。
【再質問 ④】 これらの取り組みを進めるためには、今年度策定する「第9期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画」や来年は「根室市健康増進計画」が改定作業に入る。その中にしっかりと反映させていくべき。
【健康福祉部長 答弁】 一体的推進事業の取り組みについて「第9期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画」等に反映させるとともに、それぞれの計画の整合性に十分配慮し策定作業を進める。
(2)介護・福祉等に係るサービス体制の維持確保に関して
①訪問入浴サービスの体制について
根室市社会福祉協議会に代わって今年度から、別な事業者が訪問入浴サービスを受託したが、この6月末に事業を取りやめることが利用者等に通知されている。
訪問入浴サービスは要介護者・障がい者の在宅生活を維持するうえで欠かせない事業。提供体制を維持するため、根室市も代替サービスとして休止中のデイサービス施設を利用した「通所入浴」の実施や、訪問看護ステーションとの連携、看護師確保の紹介手数料の費用助成、訪問入浴車両の購入助成など、自治体としては異例ともいえる水準でサポートしてきたが、苦しい状況が続いている。あらためて今後の対策について伺う。
【市長 答弁】 平成11年10月から根室市社会福祉協議会で実施してきたが、看護師の確保が困難となり本年3月末で廃止。4月より市内の民間事業者で実施されている。
しかし当該事業所でも職員の離職によりサービスの継続が難しくなり、6月末で提供を取りやめる。
市としても居宅サービスとして訪問入浴サービスは重要なものであり、一日も早い再開に向け取り組む。
【再質問】 答弁で「一日も早い再開にむけて」とあり、市長の強い決意表明と受け取った。市もこれまで様々な検討をしてきたと思うが、その内容について今一度ご説明いただきたい。
【健康福祉部長 答弁】 看護師確保が出来ないことによって訪問入浴サービス休止した際に実施したデイサービス事業所を活用した入浴サービスの「通所型入浴サービス」や訪問看護事業所からの看護師派遣の事業継続も打診や検討してきた。デイサービス事業所の職員体制や通常のデイサービスの利用があること、看護師の派遣体制が整わないため、代替サービスの提供による事業継続が叶わなかった。
現在、市外の事業所に対して声をかけているが、現団以下では目処がたっていない。
【意見として】 市外事業者も含めて検討しているということなので、まずは対策がしっかりと身を結ぶようお願いしたい。
もし他の対応が難しいのであれば、緊急的な避難措置として、介護保険外のサービスとして提供してはどうか? 訪問入浴車両を使って、看護師がいない体制でも実施するような、市の独自事業として介護保険外のサービスとして行うより他ないのでは?
以前の時は何か月もの休止で、ヘルパーによる清拭で過ごしていたが、高齢者の方も若い障害者の方もしっかりとした入浴を提供することが重要。
ありとあらゆる方策について、引き続き対応をしてほしい。
②ケアマネージャーの体制について
市内のケアマネージャーの体制についても厳しい状況が続いており、新規利用者の受け入れが難しい状態となっている。あらためて市の現状認識について伺う。
また、昨年実施したように必要に応じて、市内の在宅利用者分の認定調査を委託するなど対応の検討が必要と考えるが、あわせて見解を伺う。
【市長 答弁】 市内のケアマネージャーの状況は令和3年に居宅介護支援事業所の一つが撤退し現在も不足の状況が続いており、新規利用者の受け入れが困難。
介護認定業務の昨年度(令和4年度)の実績は過去の「認定更新期間改定」の影響もあり、令和3年度と比較して4割増となるなど大幅に件数が増加したことから、居宅介護支援事業所に所属していないケアマネージャーへ調査業務を委託した。
今年度の介護認定業務は例年並みとなる見込みだが、今後もケアマネージャーの確保に取り組み、電話やウェブでの調査など、業務の軽減を図りながらおこなう。
③在職年数に応じた各奨励金制度のあり方について
今年度から根室市保健医療対策協議会を通じて、市内の病院・診療所に長く勤務する看護職に奨励金が支給される制度が創設された。本制度は病院・診療所に勤務する看護師等が対象だが、一昨年度から実施してきた既存の「介護サービス事業者対策協議会」を通じた介護従事者奨励金制度とは支給される金額等が異なる。例えば訪問看護など介護事業所で区分された事業所に勤務する看護師等と差が生じる。
また医療的ケア児の受け入れなどのため、将来的には学校・幼稚園・保育所などで勤務する看護師なども想定されるが、こうした職員に対する対応を今後どのように考えるのか。さらに、障がい福祉関係の施設に勤務する職員への対応を今後どのようにしていくのか。
【市長 答弁】 「介護サービス事業者対策協議会」で令和3年度より実施している奨励金制度は看護師のみならず、高齢者ケアを担う介護従事者に対して市内の定着や意欲向上を目的に勤続年数に応じ、表彰と奨励金を支給する。
一方で今年度から「根室市医療対策協議会」において実施している看護師への奨励金は喫緊の看護師不足対策として、医療機関に勤務する看護師に対して行われている。
同じ看護師でありながら、勤続年数や金額に差異があるため、今後、市内の人材確保の状況を見据えながら、各協議会と意見交換を行い、より良い制度となるよう努める。
児童保育施設や障がい福祉施設等についてのそれぞれの事業者等の意見を伺いながら検討したい。
【意見として】 今年度、市内が緊急的な状況に陥っていることから、医療・介護福祉にかかる人材確保のために、積極的な取り組みを進めてきている。
看護職も介護職も専門職として、必要とされる分野が広がっている。
政策・立案の課程で、それぞれの分野における職種の関わりがどうなるのかという点を各担当課で、共通認識をもって検討していくことも必要と考える。
壇上で質問したこと以外でも、例えば今年度の根室市の予算では、市内幼稚園への医療的ケア児受け入れの補助金をつくった。しかし現在も看護職の採用に結びついていない。
市が同じく今年度予算で新しく作った、看護師や介護職の新卒者・復職者・移住者に対して30万円を支給する「就業準備金」がなぜ、児童福祉施設等に該当にならないのか。
もちろん助成があれば良いわけでないが、そうした制度をパッケージにして外の人材に向けてPRする大きな手段になる。各課が連携しながら必要な専門職確保への取り組みを市全体で対応していくことが必要。
【市長 答弁】 他の先進地で取り組まれている制度なら練られており穴がない。私たちは穴があっても恐れない思いで、まずは取り掛かろうとした。足らざるところがあれば、改善をしていく。予算説明の時にもぜひ意見をあげてもらえると良い。
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