2.地域医療構想と新公立病院改革プランについて
(1)根室区域地域医療構想に対する市の評価について
(橋本 質問)
根室区域地域医療構想が、昨年から3回の調整会議を経て今年4月15日に作成・公表された。
結果的に9年後、2025年の必要病床について、当初から示されていた2013年度時点のデータをもとに機械的にはじかれた数値にきわめて近い数字で決定されたところ。
今後各病院はこの必要病床数に近づけるよう求められるが、その一方、病床転換に向けた国・道の支援や、在宅をふくめた受け皿の整備や、医療従事者確保対策については、「構想」見る限り、これまで以上の具体的な内容は記されてされておらず、非常に残念。
あらためて「構想」に対する評価、見解を伺う。
(市長 答弁)
本年4/15開催の調整会議において、現在の587床を497床とする目標病床するなどについて、構想の成案化がされた。
今後の高齢化の進展により必要とされる医療への変化への対応をめざす姿を明確にし、これまでの急性期中心から回復期や在宅医療の拡充を図ることを目的に「地域医療構想」のとりまとめがされる。将来に向けて大変重要な構想と考えている。
(橋本 意見のみ)
そもそも現在一部休床している病院も、医師や看護師など医療従事者が不足し体制が整わないために、入院患者の受け入れが出来ないのが大きな要因。
また慢性期についても、国が示したガイドラインにもとづき療養病床の医療依存度が比較的低い区分の患者さんの7割を在宅に移行させることを想定。
いわば国が意図的・政策的に作り出した医療ニーズ、将来像であり、人口減少と高齢化を見据えたといっても、地域の将来的な医療ニーズを十分に反映しているかどうか疑問が残る。
あわせて「第6節 将来のあるべき医療提供体制を実現するための施策の検討」とあるが、このような一般的な話で終わらせず、国・道が責任をもって、この地域に即した具体的な対策を推進するよう求めること。
慢性期は過剰と言われても、根室市内には療養病床は1床もなく、医療管理度の高い患者さんを長期に受け入れる施設がない状況が続いている。
高齢化が進む中で慢性期の患者を在宅に戻すためには、その受け皿となる在宅医療と介護サービスを充実させる必要がある。しかし在宅医療の推進などと言っても、いま実際に提供できる医療機関は限られている。そもそも開業医含めた市内医療機関を将来にわたって維持するのも大変な状況。自治体病院とプライマリケアを担う民間の医療機関を維持し、また訪問診療や訪問看護の体制も一層充実させていくことが必要。また根室市内の介護施設で働く看護師が不足している深刻な状況を改善していくための地域的な取り組みも必要。
在宅医療と介護の受け皿がしっかりしない中で、入院ベッドだけを減らしたのでは、医療や介護を必要とする地域住民の生活が成り立たない。
特に、地域に不足する医療機能確保のための医療機関への国・道の積極的な支援や実効性のある医師含めた医療技術者確保対策の推進について、具体的な施策の検証が必要。
こうした点についても国・道に意見をあげ、かつ議論を進めるよう取り組んでほしい。
(2)地域医療構想に対する市立根室病院としての今後の対策について
(橋本 質問)
この地域医療構想により管内の医療機関は、2025年にむけて病床数を、(高度急性期・休棟中を含めた)いわゆる急性期を1/3に減らして回復期に転換すること、慢性期のベッドを45床減らすことを求められていく。
市立根室病院においても病床機能について急性期の削減と回復期への転換が求められるものと考えられる。
また入院ベッドから締め出された患者を外来・在宅でどのようにフォローしていくのか、市内医療機関との連携もふくめ検討事項になってくると考える。
これまで院内の「経営戦略プロジェクト」で議論検討がされてきたと聞いているが、市立根室病院として地域医療構想に対し、今後どのような対応をとろうとしているのか。
(市長 答弁)
市立病院が、今後地域において担う役割を踏まえ、回復期への対応に向けて院内プロジェクトにおいて急性期病床とのバランスや効率的な病院運営、経営への影響などの議論を経た中において、「地域包括ケア病床」の導入について一定の結論を得たところ。
(3)新公立病院改革プランへの市立根室病院の取り組み状況について
(橋本 質問)
国からは2015年3月の「新公立病院改革ガイドライン」にもとづき2016年度中に新しい公立病院改革プラン策定が求められている。
改革プランと整合性が求められる地域医療構想が、今年4月に根室区域版が一応策定されたところ。そこであらためて市立根室病院としてこの新しい改革プランに対して、何を目的にして、どのような方法で、いつごろまでに作成する予定となっているのか伺う。
(市長 答弁)
公立病院として、地域において担うべき役割を継続的に提供することを目的として、院内のプロジェクトで議論を進めている経営改革の内容を盛り込むとともに、関係部署と協議を図りながら年度内の策定に向け、作業を進めていきたい。
(橋本 再質問)
国が意図しているのは経営形態の見直しであろうと思うが、そういった点は別にして、
私は今回改革プランを立てることに意味があるとすれば、答弁されたような病院の機能と地域において担うべき役割について、あらためて市民的な理解を深める、地域医療を守るための意識醸成の契機とすべきと考えるが、見解を伺う。
(市長 再答弁)
「新・改革プラン」の策定および実行にあたって、市立病院が担う役割について位置付け、市民の理解を深めるよう努めていく。
(橋本 意見として)
なぜ市民議論が必要と考えるのかについて、
改革プランの要点は、もちろん医療技術者確保対策、収入確保に向けた取り組みや、経費節減対策などをしっかりと取りまとめていくこともあるが、
・今後さらに診療報酬の削減が予想される中、急性期+回復期(包括点数)の135床であげられる医業収益をどの水準で見込むのか。
・それに対応する医業費用をどの水準で考えるのか。つまり市立根室病院の医療機能として現在の診療科目および救急対応を具体的にどうしていくのか。
これが大きな課題ではないか。
つまり、仮に費用を切り詰めるために医療機能を縮小するなら、地域包括ケアにおける市立病院の役割をさらに推進させ、3次医療圏や市内の開業医、介護福祉事業所と今まで以上の連携を図っていく必要がある(例えば地域連携パスなど)。また患者搬送の増に対応した消防本部の体制なども検討することも必要ではないか。
反対に、現状をしっかりと維持(あるいは前進)させるべきという考え方も出来る。
現在でさえ多くの市民が根室の医療体制に不安をもっており、それは様々な市民アンケートの結果として表れている。これ以上、中心となる市立病院の医療機能を縮小・撤退することは市民の命・健康に直結する課題であり、人口減に拍車をかける懸念がある。
しかしその場合、一般会計の繰り入れも現行水準が継続されるのかどうか。市の長期財政がどうなっていくのか。どこまでの市民負担を是とするのか。
また地域の医療政策を考える上で決して欠かせないのは、そもそも国の医療制度の方向性がこれでいいのかという課題。現在のような国の医療給付費抑制策がこれからも継続されていくならば、地域でどのような優れたプランを構築しようとも成り立たない。
こうした課題をしっかりと市民や関係団体と議論して深める必要がある。
(橋本 再質問)
新・改革プラン作成をどのようにすすめるのか、について
前述のような目的を達するためには、院内プロジェクト・関係部署との協議にとどまらず、院内でのコンセンサスを得たのち、まず病院としての提案および十分な説明をしてもらう。
それをうけて患者・市民、市内医療機関はじめ関係団体や、議会が十分な議論を行い、合意をはかっていくという形で進める必要があると考えるが見解を伺う。
(市長 再答弁)
病院事務局において院内のプロジェクトでの議論を盛り込み、関係部署との協議を図るとともに、議会への説明や市民からの意見募集を行っていく。
(橋本 再質問)
今年度中の作成を求められているが、あと半年という期間では厳しいスケジュールではないかと考える。形だけ整えたプランを提示するのでは意味が無い。
計画策定に遅れても支障が無ければ、しっかりと時間をかけて作り上げることも視野にいれるべき。
(市長 再答弁)
ガイドラインに「平成28年度中に策定するもの」とされていることから、鋭意、策定作業を進めていく。
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