根室市内の団体・組織で構成する根室市社会保障推進協議会(田辺利男代表委員)は20日、根室市に対し「医療・介護に関わる施策についての要望書」を提出しました。
根室社保協として毎年、こうした要望書を提出しながら、市の担当課と意見交換をおこなっています。
要望事項は、国保が社会保障制度としてすべての加入者に等しく「医療を受ける権利」が保障される運用を行うことや、特定健診の改善、介護保険における新総合事業に関する問題をとりあげています。
全日本民医連が毎年行っている「経済的自由による手遅れ死亡実例調査」では、2015年に全国各地であわせて63例の手遅れ死があったことが報告されています。その中には、とある自治体に相談に行きながら十分な相談対応をうけられずに手遅れに至ったケースなども報告されています。
こうした全国的な状況の中、根室市でも、近年の漁業環境の変化をふくめ地域経済として厳しさが増しており、市民生活も同様に苦しい状況となっていくものと考えられます。だからこそ国保など社会保障について、住民の生活を守るためにふさわしい運用を、今後も根室市が実施していくよう求めています。
来年、2017年度から根室市でも訪問介護・通所介護のみうけている要支援1・2の方の方が順次、従来の全国一律の介護給付から外され、自治体ごとに設定する独自の制度(新しい総合事業)に移行されていきます。
この新しい総合事業の介護施設に支払われる報酬やサービス基準は、根室市では当面は「現行相当」で実施するとしています。このことは英断だと思います。
しかし全国的には財政削減を目的に「緩和した基準」、つまり給付を引き下げた内容の制度としている自治体も数多くあります。例えば釧路市では施設側に支払われる単価を現行の90%程度に下げて設定しています。
(詳しい説明は省きますが釧路市の場合、新しい総合事業の通所サービスで入浴・食事介助・リハビリをうけない方が、この緩和した基準のサービスに該当します。これにより行政側は入浴も機能訓練もうけない人は利用料が10%安くなり、「選択の幅が広がる」と説明しています。)
しかしながら、相次ぐ介護報酬の引き下げにより現行相当の介護報酬単価ですら施設側の経営が厳しくなっている状況です。緩和した基準のサービス導入によりさらに介護報酬を引き下げた場合、経営が存続できない事業所が出てくる可能性も大いにあります。
市の担当部課は、
「限られた財源の中であるが、要介護者が必要なサービスをきちんと受けられるよう検討していきたい」
「根本には国の社会保障制度の問題であり、一つの自治体が出来ることには限度がある。介護は人が人をみる制度であり、どうしても経費が必要になる。その財源は国が責任を負うべき。しかし国が負担しきれない部分に対して市としてどうするのか大きな課題」
「こうした問題は当然全国的な課題であり、全国市長会・全道市長会を通じて地域の実情を訴えてきたい」と答えていました。
また根室市社保協は、市民的な議論や合意を作っていく上でも、特に市内の大小様々な事業所といろいろな場面で十分な協議や意見交換をしっかりと行っていくことも求めました。
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