先日、オンラインで研修会を受けていた時、講師の先生の言葉に、私は椅子からズリ落ちそうになりました
その先生が言うには「日本語にはもともと『公助』なんて言葉は無かった…」
え? そうだっけ?
自分は一体いつからこの言葉を使っているんだっけ?
手元には「広辞苑」第五版がありました
工女、公序、孝女、後序、皇女、耕鋤、高女、控除・・・無い。
産まれてから45年間、私が一度も聞いたことのないような「コウジョ」が並んでいるのに、「公助」という言葉は広辞苑に全く出てこない
ところで最近で、一番頻繁にこの言葉が物議を醸したのは昨年、菅前首相の発言でしょう
その話は今回は横に置いておいて、防災関連では、かなり昔から「自助・共助・公助」という言葉が使われている記憶があります
また防災分野の他にもう一つよく使われる分野が、「社会保障」の分野でしょうか
この社会保障分野において公助の初出がいつ頃の話なのか、お手軽にネット検索しましたが、よくわかりませんでした
それでも「今後の社会保障の在り方について」(2006(平成18)年5月社会保障の在り方に関する懇談会最終
報告書)という文章が、検索に引っかかりました。
少し長いですが、引用すると
我が国の福祉社会は、自助、共助、公助の適切な組み合わせによって形づくられるべきものであり、その中で社会保障は、国民の「安心感」を確保し、社会経済の安定化を図るため、今後とも大きな役割を果たすものである。
この場合、全ての国民が社会的、経済的、精神的な自立を図る観点から、
① 自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助」を基本として、
② これを生活のリスクを相互に分散する「共助」が補完し、
③ その上で、自助や共助では対応できない困窮などの状況に対し、所得や生活水準・
家庭状況などの受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置付ける
ことが適切である。
とあります。
うん、ここだけ読んだら分かりにくい。
実際の文章は、この後に医療や年金、介護など各分野の改革の方向性が記載されているので、それらの考え方の根本部分を示したものかな、と思います
ところで日本における戦後の社会保障は、言うまでもなく日本国憲法第25条2項に規定されています
「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
このように社会保障は、その対象を特定の階層や階級に限らず、社会を構成する全ての人に
及ぼし、また国家の責任として実施される制度でした。
しかし政府は平成18年厚生労働白書において「我が国の社会保障は、自助、共助、公助の組み合わせにより形作られている。」とまで断言していました
今の地域包括ケアシステムはまさにこの概念を体現したものと言えます
いつの間にか、知らず知らずのうちに、社会保障の概念が作り変えられていた
恐ろしいことに、私は長い間この「公助」という言葉を、なんの疑問も無く使ってきました
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