2019年1月3日木曜日

根室市議会 10月定例月議会 代表質問②/5

2018年10月23日に、根室市議会10月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容について、一部を抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(つづき)

2.「領土問題」について
(1)領土返還運動の推進に向けて。
( 橋本 質問 )
 ①
 元島民の高齢化が進む中、運動の推進役として、市行政として何を中心に取り組むのか。また、運動の担い手を育成し、広げていくためには、今後、どのような環境整備を国や北海道とともに進めていくことが必要と考えるのか。

( 市長 答弁 )
 我が国固有の領土である北方領土が旧ソ連に不法占拠されてから73年が経過し、この間、ふるさとに帰る日を夢見ながら多くの元島民が他界をされ、御存命の方の平均年齢も83歳を超えている。
 これまで返還要求運動の中心的役割を担ってこられた元島民のふるさと返還への熱い思いを2世、3世へと継承し、北方領土問題が解決するその日まで、返還運動の灯をその後継者につないでいくことが求められている。
 先般の旧漁業権者法の改正に伴い、融資対象資格の継承要件が拡大されたが、引き続き元島民後継者に対するさまざまな支援措置の拡充を含め、2世・3世の方々がこれまで以上に返還要求運動に参加しやすい環境を整備していくことが重要。
 市として引き続き国や北海道、管内4町、千島連盟と連携し、返還要求運動後継者の育成に向けた各種施策の充実強化に向け積極的に取り組む。


( 橋本 再質問 )
 運動の推進に必要な1点目として、北方領土資料館やニホロの整備・機能充実、市内の啓発看板の修繕など、あるいはこれまでの様々な人が指摘してきたように歴史と自然と領土問題を一体化した啓発学習と観光を兼ねたルート整備など、より多くの人が根室を訪れたいと思う受け入れ側の充実が必要だ。今後どのような形で取り組んでいくのか?

( 市長 再答弁 )
 北方領土の学習は内閣府と国交省北海道局で北方領土を目で見る運動を推進をしている。私どももそれに沿った予算を使いながら、修学旅行の誘致等々を進めているところ。
 このことから、北方領土学習を含めた観光ルートの形成について、管内4町、国とも連携する必要がある。根室の歴史一つ一つが全部、領土問題に結びついている。「ニホロ」や北方資料館、観光施設も含めて会議をやったことがあります。それをどうにか連携し、点を円にできないかといった仕掛けも大事であり、この辺も改めてまたやってみたい。

( 橋本 再質問 )
 運動の推進にむけてさらなる取り組みが必要な2点目として、返還運動の担い手をしっかりと広げていく、多くの人が返還運動にかかわっていただけるようにしていくということ。市の独自の取り組みはイベント事業が中心で疑問を感じている。例えば補償だとか、日当だとかという部分というのができることなのかどうなのかというのは、研究しなければならないのかもしれない。
 本来的には、国がしっかりとした総合的な対策を制度として確立すべきことだが、国を動かすことは、大変な労力を要し時間もかかる問題。かつ対策であり、何か一つやればいいということじゃなくて、いろんな対策をとらなければならない。できることを市としても独自にいろいろと研究をし、可能であれば、これはいい制度だということであれば、それを北隣協はもちろん、北海道内や、あるいは全国各地にも広げていって、しっかりと国の制度に広げていくための取り組み、考え方が必要ではないか。

( 市長 答弁 )

 今後も元島民後継者と連携し方策等を検討する。ただ返還運動は官製運動ではないため、それ対する政府、国の支援は非常に難しいところがある。
 ただ長年にわたって、まさに身銭を切ってずっと返還運動を積み上げてこられた結果が今であり、その灯を消しては何もならない。生活ができなければ返還運動も止まってしまうため、その辺をどうあるのかしっかり考えたい。
 また、先般、宮腰大臣が来根された際にも、後継者が運動に参加しやすくなるための環境整備等を行っていく必要性についても言及された。

 ②
( 橋本 質問 )
 政府における外交交渉を後押しするという思いが返還要求運動の原動力になっているが、その返還に向けた外交交渉が「見えない」「知らされていない」状況では希望や展望が開けず、国民の関心や世論の喚起も難しくなるのではないか。所信表明では、現実的な解決と直接的な対話を粘り強く展開されるよう求めるとしているが、政府の外交交渉のあり方についての見解を伺う。

( 市長 答弁 )
 現在の日ロ関係につきましては、安倍総理とプーチン大統領との間で、既に22回にも及ぶ直接的な首脳会談が行われ、更には外相次官級、局長級など、さまざまなレベルで頻繁に対話が続けられており、過去に例を見ないほど緊密な関係が構築されている。
 最近は通訳のみを交えた両首脳の1対1の会談が行われるなど、まさに胸襟を開いた対話が続けられている。これらの交渉内容や結果はいずれも詳細は明らかにされてないが、日ロ間の会談が頻繁に行われている状況から、交渉は継続しているものと考えている。
 国に対しては粘り強い交渉を重ねていくことが重要であると認識しており、これら交渉を後押しするための世論喚起に、引き続き積極的に務める。

 
( 橋本 再質問 )
 9月12日、ウラジオストクでの東方経済フォーラムでプーチン大統領が「年末まで前提条件なしで平和条約を結ぼう」と呼びかけたということに対し、石垣市長のインタビューは「日本の立場を充分に理解した上で、ロシアが受け入れ可能な提案として前提条件なしとしたのではないか」と、前向きに捉えるようなインタビュー記事が掲載をされていたように受け取った。日本のこれまでの基本的な立場とは違うという認識があり、その受けとめ方として石垣市長はどういう意図か。

( 市長 再質問 )
 東方経済フォーラムでのプーチンの発言は実は報道されているのはほんの一部であります。それで、前後かなり長いやりとりがあって、実はその前に安倍総理がかなり長い演説を打って、その後、フォーラムの中の話になった。
 全ての会話を見ると、例えば1956年の日ソ共同宣言に触れたり、北方領土への日米安全保障の問題やミサイル防衛の問題、そして近年の安倍総理からのいわゆる共同経済活動、新しいアプローチの問題などを踏まえた中での、さっきのプーチンの発言となった
 フォーラムの最後の部分では、昔の中ロ国境の解決に触れながら「私はあらゆる前提条件なしに条約を結ぼうと冗談を言ったわけではない。この条約の中に、あらゆる問題を解決に向けて努力すると書いてもよい。私はいつか解決できると信じている。」「これが気に入らないとしても、我々は安倍総理と一緒に、島における共同経済活動を進めることで合意している。」「あの島々は、我々の経済にとって根本的に大きな意味を持つものではない」とまで発言されている。

 報道が意図的ではないにしても、一部の切り取った中で、そこに論評を加えるというのはいかがなものかなと私は思うし、全ての会話を読み取った中から前向きであると判断をしたところ。

(2)共同経済活動と領土返還の外交交渉について。
( 橋本 質問 )
 北方四島との共同経済活動に関する官民調査団が戻った後の新聞報道や所信表明、また12日に行われた市議会への行政報告を通じ、あらためて現地と交流を深めてきたということは理解できる。長谷川前市長が参加できなかったという悔しさの分を含め、根室市の市長として四島に直接行き、隣接地域の思いと現在島で暮らす方々の思いを、相互に率直に交流することは大変よいことだが、一方で共同経済活動では、今は何がどのように進んでいるのか、いないのか、残された市民にはその姿が理解できないまま取り残されている。
 
 ①
 現在協議中の5項目のプロジェクトが、ロシアの法律によって単純に、市場原理に基づいて諸外国やロシア側の企業と同様に参入し競争するのではなく、日本にしかできない事業、つまりこれならロシアや四島側にとって、わざわざ特別な制度をつくるという労力を払ってでも、どうしてもやりたいと思わせるような魅力的な提案として先方に受け取られているのかどうか。また同時に根室市あるいは隣接地域の経済の発展に寄与するプロジェクトとして、今後の事業展開をしっかりと引き寄せていくことができそうだという手応えを得られてこられたのかどうか。四島との共同経済活動の成功の可否は最低限この2つのハードルをクリアしていることが必要と考える。今回の調査団に参加した中で、市長としてどのように感じておられるのか、見解を伺う。

( 市長 答弁 )
 昨年9月の首脳会談では、早期に取り組むべき5つのプロジェクトが特定されるとともに、本年9月の首脳会談では5つのプロジェクトの実現に向けたロードマップが承認された。これらの成果を踏まえ、本年10月1日から5日までビジネスミッションに私も参加したが、日ロ双方の参加者の間で5つのプロジェクトの具現化に向け、率直に意見や提案が話し合われ、大変密度の濃い論議が行われた。
 私は、今回のビジネスミッションで、日本が、あるいは隣接地域がさまざまな分野において関与していくことが充分に可能であると感じたところであり、このたびの経験を今後の施策に反映させていきたい。

 ②
( 橋本 質問 ) 
 この間、プーチン大統領は領土問題や日ロ関係についてさまざまな発言をしていることが報道されているが日本は従来の基本的立場を継続しているものと認識している。
 現在の情勢を踏まえた中で、協議を進めようとしている共同経済活動が一体どのような形で平和条約の締結、これは、我々にとっては国境の確定とイコールでこれまでは捉えているが、その条約締結につながるのかという点について、いま一度市長の見解を伺う。

( 市長 答弁 )
 現在、日ロ間のさまざまなレベルで協議が進められている「北方四島における共同経済活動」は、日ロ首脳の間で平和条約締結に向けた重要な一歩になり得るということに対し、相互理解に達したもの。本件にかかわる日ロ間の協力は、両国間の関係を全般的な発展、信頼と協力の雰囲気の醸成、関係を質的に、新たな水準に引き上げることに資するものであるとの認識で一致を見ている。

 しかし、現状におきましては、法的立場にかかわる協議など、事業開始に向けた課題も多く残されている。四島における共同経済活動が日ロ間においてさまざまな課題を克服し、現実に動き出すことによって、日ロ関係を新たなレベルへと引き上げ、そのことが最終的な平和条約につながるものと考える。

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