2018年1月18日木曜日

2017年 根室市議会12月定例月議会 一般質問 ③/③

2017年12月12日に、根室市議会12月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(おわり)


3.子どもの貧困対策について

(1)貧困に関する実態調査について

 北海道が調査・公表した「子どもの生活実態調査」は、北海道の子どもたちの現状が明らかにした。2017年6月の厚労省の2015年調査で子どもの貧困率が低下したと公表されているが、なお、多くの子どもたちとその家庭が厳しい状況に置かれている。
 こうした状況にありながら、政府は来年度の生活保護費について生活扶助や母子加算の一部引き下げる検討をしていると報道された。これが実行されれば直接の保護受給者はもちろんのこと、それ以外の低所得者についても、就学援助や各種減免制度など様々な判定基準が連動して引き下がるため、これまで受けていた支援が受けられなくなる方が出てくる。これだけ社会問題化していながら貧困格差の拡大をさらに進めようとする国の政策に強く怒りを覚える。
 子育て家庭の貧困化に対して、どう支えていくのか。その解決は容易でないが、具体的に何ができるのか、すべきかを、あらためてしっかりと考えていくことが必要。

( 橋本 質問 )
 根室市における独自の子どもの生活に関する実態調査について、これまで今年度2017年度の早い段階で実施し、秋ごろをめどに取りまとめるとされていた。その結果と評価について、市長および教育長の見解を伺う。
 また今後の対策の推進にあたって、具体的にはどのような体制で取り組むのかとその基本的な方針についても、あわせて伺う。

 ( 市長 答弁 )
 市内の小5・中2・高2の児童生徒および保護者1,420名を対象に調査を実施し47.6%の回答があった。
 家計の状況がマイナスと回答した世帯が22.4%、
 経済的理由により「お金が無かったので医療機関に行けなかった」23.5%、
 「食料が買えなかったり、暖房が使えなかった」4.4%、などの回答があった。
 希望する進学先を高校までと回答した高校生の理由として、46.2%が「進学に必要なお金が心配だから」など経済的理由により進学を断念する回答があった。
 本アンケート調査結果により、子どもの生育環境整備、教育の機会均等や生活支援等、子どもの貧困対策を総合的に推進することが必要。
 今後、さらに詳細な分析を行い、福祉、教育、保健、就労等の町内関係部署や関係機関などと連携し、貧困の解消に向けた対策を検討する。

( 教育長 答弁 )
 平成26年度の策定された国の「子どもの貧困対策に対する大綱」では、当面の重点施策の一つとして、学力保障や就学・進学の支援等による「教育の支援」が掲げられている。
 調査項目のなかで教育委員会が所掌する事務とかかわる項目もあり、これらの調査結果は総じて厳しいものと認識している。
 今後も引き続き、保護者の経済的負担の軽減に努めながら、子どもたちの教育機会の均等をはかりたい。

( 橋本 再質問 )
 政府の「子供の貧困対策に関する大綱」で掲げられた4つの支援のうち教育の支援について、『学校を子供の貧困対策のプラットフォームと位置づけ』、学校教育による学力保障とともに、学校を窓口とした福祉関連機関との連携など総合的な対策を推進するとしている。
 子どもの貧困対策において、あらためて学校(特に小中学校)の役割が、これまでよりもさらに上の次元で問われている。そのための行政として学校をどう支援するか。
 根室市教育委員会として、現状はどのような対応をとられているのか。
 また学校教職員の多忙化が課題とされている昨今、こうした問題に対して学校現場として、どのように受け止められているのかについて、教育長の考えを伺う

( 教育長 答弁 )
 「大綱」において、家庭支援や放課後の学習支援、中退者の就労支援などの学校外の支援まで含め、全て学校が「窓口」となって関連機関との連携を図ることを目標としているが、現状の学校体制の中では、その実現は非常に難しいものと考えております。
 現在も、生活保護が廃止となった世帯に児童生徒がいる場合にあっては就学援助制度への接続を図るなど、個別の案件について、市の福祉担当部局との連携を図りながら保護者、児童生徒へ対応している。
 今後、さらに連携の充実を図っていくためには学校現場での教員の負担軽減や、教員以外の専門職の活用などが必要とされており、今後、国において専門職員等等の体制整備に向けた方策が示されるものと考えており、その内容を見極めたい。

( 橋本 再質問 )
 調査結果がとりまとまったばかりなので、今後の体制や方針はこれからの検討事項となると思うが、答弁の『庁内関係部署や関係機関などと連携し』の部分について、もう少し掘り下げて質問したい。
例えば、
・様々な分野から相談を受け付ける(もしくは生活に困難を抱えるケースを発見する)ための仕組み(市としてこれまですでに実施している取り組みが多くあり、貧困の観点にも活かしていく)
・そうした相談事例を、集団多角的に検討する仕組み(例えば地域ケア会議のような)
・個別案件への対応とともに、全体として必要な政策を検討していくための仕組み、
・また、根室市としてそうした一連の取り組みについて、何らかの計画のような形で取りまとめるのかどうか等
 しっかりとした構想を持った中でとり進めていただくことを求める。
 また、そのための取り組みとして、稚内市の取り組み事例(稚内市子どもの貧困対策プロジェクト)等が大変優れて参考になる。今後の市の取り組みについ伺う。

( 市長 答弁 )
 本実態調査からどのような問題点が内在しているのかさらに調査委に分析し、見えてくる課題・問題点について、庁内関係部署や関係機関などと情報共有をはかり、さらに他市の取り組みも参考にしながら子どもの貧困対策をすすめる。
 現在、社会福祉協議会の協力のもと取り組んでいる生活困窮者自立支援事業について、生活困窮者の抱える多様な生活課題について、相談者によりそった相談を行い、家計や就労、学習支援など必要な支援を行っている。制度の活用を図りながら、総合的に貧困対策に取り組む。

(2)健康をまもる視点からの具体的な諸施策について 

( 橋本 質問 )
 貧困対策としては、個々のケースへの対応を進めていくことはもちろんですが、それとあわせて現金給付や現物給付による全体的な支援について政策的に広げていくことが必要と考えます。その中でも今回は特に健康問題について取り上げます。

①小児インフルエンザ予防接種への助成について
 実費による予防接種だが、例えば市立病院であれば2回接種で合計ひとり4600円。多子世帯であればさらに負担が大きくなる。
 別海町では本年度から小児への助成制度を町の単費で開始した。これまでのデータを分析し、インフルエンザに罹患することにより、親の休業や学校・保育所などでの集団感染など経済的な影響が大きく、予算を投じても効果があると判断し導入に踏み切った、と別海町の担当者の方から伺った。根室市においても検討をすすめることが必要と考える。

( 市長 答弁 )
 小児インフルエンザ予防接種は努力義務はないが、流行する前に接種を行うことで学校や保育所等での集団罹患を防ぐことに効果的であると認識しており、そのための啓発活動も行っている。
 インフルエンザの予防接種は13歳未満の小児は2回の接種が必要で、市内各医療機関では、2回分の接種料で約5千円程度と子育て世帯において、負担となっていることも理解している。
 これらのことから一部自治体では、必要な免疫をつけることで発症や重症化予防を期待できる観点から助成を行っていることも承知しているが、小児を対象とした助成に当たっては任意接種であることや対象者の考え方などを整理するとともに他市の状況などを調査し、研究したい。

②ひとり親家庭等医療給付事業の拡充について
 先の厚生労働省による調査ではひとり親家庭の貧困率も低下しているとは言え、依然として50%を超える高さにあります。OECDの先進諸国でも断トツの水準にある。それは就労状況の問題ばかりでなく公的な支援が薄いことの現れと指摘されている。
 収入状況と健康状態あるいは受診状況が反比例の方向にあることは広く認識されており、さきの北海道子ども生活実態調査でも、年収が低い階層ほど「健康である」と答えた方の割合が低いという結果があらためて明らかとなった。
 これまで根室市は独自に子ども医療費の助成を拡大してきた。その一方で、ひとり親家庭への医療費の助成については、北海道基準への上乗せとして、初診時一部負担金の助成をおこなっているが、今後は特に保護者の外来受診に対する自己負担の軽減へ対応していくことが必要と考える。

( 市長 答弁 )
 昨年度の医療費助成実績は、延べ4,964人、金額にして1,400万円、そのうち、保護者については、33人166万円となった。
 また、当市が平成27年度より拡充している非課税世帯に対する初診時一部負担金の助成は、昨年度実績で、1,136人、63万円となっており、ひとり親家庭の経済的支援につながっているものと考えている。
 保護者の受診に対する自己負担の軽減は、根室市独自の助成基準を維持継続するとともに、現在、北海道市長会において、全ての子どもが均一に医療給付を受けられるよう、国庫補助制度の創設を国に対し、求めていることから、その動向を注視したい。

( 橋本 再質問 )
 根室市は、子ども医療費の助成拡大を市独自でおこなったのは何故か?
 わたしは少なくとも良く言われるような「少子化対策の自治体間競争」の結果などではないと考える。3割負担(あるいは2割負担)という高い医療窓口負担に、全国の住民が悲鳴をあげており、本来ならば国が制度的に一律に保障すべきところを、特に経済的にも大変な若い子育て世代の負担を少しでも軽減しようと、住民福祉の増進という地方自治の目的にそって、全国の自治体が先取する形で実行されてきた結果だと考える。
 先の子ども生活実態調査の結果として、本来必要な病院受診を「お金が無いから」という理由で、受診できなかった世帯(おそらく保護者のこと)が23.5%いたという結果を、市長はどのようにうけとめているのか?
 市の担当窓口には様々な相談が寄せられていると思いますが、市内企業の就業環境からいっても生活は大変で、その中でもひとり親世帯はさらに厳しいことは想像できます
 わたしも住居や就業など様々な相談をいただくが、その多くは有効な支援が困難なケース。朝から晩まで働いて多くて10数万程度の給与所得とその他の手当などで、蓄えも少なく月によってはぎりぎりの生活を強いられている方もいる。
 そうした方々が、病気になったら病院代が心配で受診できないという事態があるのであれば、それを少しでも軽減することは出来ないだろうか?
  市は今回、子どもの貧困に関わる実態調査をおこなった。さきほどの質問で述べたように、総合的な対策について、これから様々な角度から検討していく。
 ぜひこうした問題について、「国の動向を注視する」という消極的な姿勢から、一歩踏み込んだ検討を進めていただきたいと考える。

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