2018年1月6日土曜日

根室市議会 2016年度 決算審査特別委員会

根室市議会は、2017年10月24日~27日の日程で昨年度の決算審査特別委員会を実施しました。橋本竜一は各事業・特別会計の委員会で質疑をおこないました。

【 港湾整備事業会計 】
 2016年度の港湾会計は、サンマやサケ・マスをはじめとした漁獲量の減少により、港湾会計の主要な収入である陸揚げ使用料は、前の年度よりさらに減少しました。ただ過去の再生プランにもとづく、これまでの取り組みにより、純利益は確保している状況です。
 近年の漁業を取り巻く大きな環境の変化をうけて、今後の港湾機能のあり方をどのようにしていくのかが大きな課題です。市の担当課は、今後6か年の長期収支試算では、2022年度に水産上屋の設計費を計上する計画となっているそうです。それにむけて漁業や水産加工業など関連団体など含め検討を進めていく考えを示しました。

【 水道事業会計 】
 水道会計の課題は大きく変わっていません。過去の水道施設整備の起債償還と今後の施設更新にかかる費用が莫大であり、漸減する給水収益(料金収入)では到底賄いきれない状態です。この秋にも市民や有識者らが参画する運営委員会で今後の水道料金について議論をすすめていく予定になっています。
 ところで過去の起債(借金)の利息は古いものは4%以上ですが、近年の低金利の影響で2016年度に借りたものは1%を割っています。過去に保証金免除で高利率の企業債を低利なものに借り換える制度が実施され、全国の水道事業の財政上の負担軽減につながりました。日本水道協会では、再びこうした制度の復活(と条件の緩和)を政府に対して要求しているそうです。
 国民の生命に直結する水道事業ですが、根室ばかりでなく、全国的に財政困難な状況となっています。それに対して政府の方針は「民間との連携」と「広域化」というほとんど無策に近いものです。補助事業の拡大など直接的な財政支援は当然のこと、こうした様々な対策について国は責任を果たすべきです。

【 下水道事業会計 】
 水道に比べると会計状態は比較的安定していますが、やはり人口減とともに下水道使用料は減少していく見通しです。2016年度は根室の下水処理区域内は9,497戸で、そのうち水洗化戸数は7,350戸とのことです。2,147世帯が未接続です。普及活動には促進協賛会などで賞金があたる抽選キャンペーンや下水道クイズなど様々な啓発を実施しています。また「水洗便所改造資金融資あっせん制度」もあります。実質的に利子補給のような制度ですが、この低金利時代に、自身の高齢化や老朽家屋への投資意欲をどれほど刺激するか、今後もしっかりと実情を調査しながら、制度のあり方について検討をしていく必要があります。

【 病院事業会計 】
 医業収益は前年対比+3,015万円と伸びています。常勤医が不在となった整形外科での落ち込みがあったものの、医師体制が充実してきた内科が前年に引き続き入院外来ともに大きく牽引する役割を担っています。
 一方で給与費、委託費などで収益を上回る増加となっており、収益構造は引き続き厳しい状態が進んでいます。
 75%という給与費比率の高さに関しては遠隔地や夜間休日の救急体制など、地域の特殊な要因も多くあります(全道平均は58%ほど)。そうした中で市立病院の今後の医療のあり方と、そのために必要とする職員体制のあり方を十分に検討する必要があります。また各現場での「働き方」についても、各スタッフが十分に検証を行い、改善の余地があるかどうかを現場レベルで議論し、意見をあげていく必要があると思います。

【 市民交通傷害共済事業会計 】
 2015年度から、従来の給付事業に加えて、小学生の自転車用ヘルメット貸与など交通安全の事業に対する給付を実施しています。そのなかで町会活動の交通安全旗旗立て用ポールの配布もおこなっていますが、あまり町会にも知られていません。十分な広報を行うとともに、町会など様々な団体で交通安全の対策事業を行っており、そうした部分への支援のあり方についてもあわせて検討するよう求めました。

【 国民健康保険特別会計事業 】
 2016年度は1億3,020万円の収支不足で、2003年以来となる繰上充用を行いました。
 なぜここまで赤字となったのか、その要因は定かではありません。たしかに加入者数は減少を続けています。しかし保険給付費と保険税だけでは十分に説明がつかないような、国等から交付金の大幅な増減があり、市町村の国保会計がそれに右往左往させられている状態です。
 2018年度から国保は都道府県単位化となります。その後の保険税や財政状態がどうなるのか。まだ明らかにされていませんが、住民の命と健康を守る最後の砦としての社会保障の役割を果たすよう引き続きチェックが必要です。

【 後期高齢者医療特別会計 】
 2016年度の後期高齢者の特定健診は14.39%と全道平均を上回っているものの、国保の特定健診と同様に受診率が低下してきています。ニーズ調査とその対策など国保同様に受診率向上にむけた対策を検討する必要があります。
 ところで北海道後期高齢者医療広域連合が2015年2月にまとめた「保険事業実施計画」によると、北海道の後期高齢者の健康課題として、「生活習慣病の発症・重症化予防」とともに「口腔機能の低下防止」が設定されています。歯周病は糖尿病などの生活習慣病や肺炎など高齢者の健康状態に大きな影響をおよぼすそうです。前述の計画には歯科検診の必要性について言及されており、根室市ではその必要性について市内の歯科団体と協議していきたいと答えました。

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