2017年3月16日-22日
根室市議会3月定例月議会の予算審査特別委員会(各事業・特別会計)の報告(続き)
【市民交通障害共済事業特別会計】
高齢者ドライバーに対する交通安全対策の強化について
市の説明では「近年、重要課題となっている高齢者ドライバーが、大地当事者となる重大事の発生を防止するため、運転免許証の自主返納を推奨するとともに、自主返納者に対し返納後の移動手段の支援等を行うもの」としています
75歳以上で自主返納をされた方を対象に、タクシーチケット(1万1千円相当)を毎年度交付するものです。またこの給付をうけるために警察より運転経歴証明書を発行してもらう必要がありますが、交付手数料相当額が助成されます。2017年度は30名分が予算化されました
市の交通共済はこれまでの共催会費収入が基金として積み残り(2016年度見込み6657万円)、その活用をどう有効活用するのか、運営委員会で議論されてきました
その結果、2015年度から条例改正を行い、交通安全対策にも活用できるようにし、交通安全啓発用のDVD購入や町内会で立てる交通安全旗用のポール配布、またチャイルドシート購入の助成をおこなってきました
交通安全に対し、市としてより積極的な取り組みを進めようとすることは評価できます
一方で、今回の高齢者免許返上にともなうタクシーチケット給付については、今回の予算審査委員会で大きな議論となりました
その論点を大きく整理すると、
①交通共済という会計の性質上、事故保障以外への「給付」事業を行うことは問題ではないのか?
②交通共済にこれまで加入しなかった人が、免許返上のために今回初めて加入することで、毎年タクシーチケットを受け取ることは「ずるい」のではないか?
③毎年、タクシーチケットを給付することは問題ではないのか?
という観点に分けられます。それぞれの言い分として理解できる主張だと思います
しかし、そもそも今回のタクシーチケット給付事業は「高齢者の免許自主返納を促す」ことを、交通共済の立場からも側面的にサポートすることを目的とする制度です
決して、市民全体を対象とした高齢者福祉施策でも、地域公共交通政策でもありません
なぜなら、交通共済に加入している人で、なおかつ免許を所持している75歳以上の方が「これから」免許を返納した場合にのみ支給されるという、「極めて限定的な」制度に過ぎないからです
高齢者の「足の確保」という地域の全体的な問題を取り扱っているわけではありません
本当に問われるべき問題があるとすれば、タクシーチケットを支給することが、免許自主返納を促すためのインセンティブ(利益誘導)として有効かどうか、そして高齢者の免許自主返納が交通事故を軽減させることに有効かどうか、という観点です
こうした取り組みは市町村レベルでは全国的にもそれほどまだ実施事例は少ないと思います。せっかくの新たな試みです。施策の効果について、ぜひ今後ともしっかりと検証をしていくことが大切と考えます
一方で、前述のように地域で「高齢者の足」をどのように確保するのかは、全市的にしっかりと検討しなければならない大きな課題です
それは高齢者の外出機会の確保や移動支援という福祉分野の課題でもあり、また高齢者に限らず市民の「移動する権利」をしっかりと保障するために、バスやJRなど公共交通のあり方をどのようにしていくのか、という地域公共交通政策上の課題です
今回の交通共済の給付事業あり方とは別な問題として、こうした課題について、市民・関係機関・行政が今後とも様々な機会を通じ、協議検討していく必要があると考えます
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