2016年10月31日月曜日

根室地方森林・林業・林産業活性化推進議員連盟協議会 研修会

2016年10月31日(月)

根室地方森林・林業・林産業活性化推進議員連盟協議会の研修会が標茶町で開催され、根室市議会から議員さん8名が参加しました

標津町生涯学習センター「あすぱる」にて、根釧東部森林管理署の森林技術指導官の阿地氏から「森林共同施業団地」について、また標津町農林課主幹の中谷氏から「豊かな森と川を育む植樹活動」について、それぞれ説明を受けた後に現地を視察しました

森林共同施業団地は、民有林と国有林が一体となって、路網整備や作業機器等の導入により効率的な作業システムを目的として設定するものだそうです

根室管内では根釧東部森林管理署が平成24年から別海町、中標津町、標津町と協定を締結。

例えば隣接する国有林と民有林において、周囲を牧草地に囲まれている民有林では、伐採した木を搬出するために雪のある時期に畑を通らなければならない、また国有林では湿地が一分あり間伐等の施業が困難な箇所について、共同施業団地を設定し、作業道を相互利用する等の対策を進めているそうです。ただし国の補助金の削減により平成27年度から事業がストップしているところもあるそうです

標津町でも酪農の規模拡大等により、緩衝林帯の減少や家畜糞尿等の河川や流域への流入が問題化していました

河川や流域、海域への影響を抑え森と海の環境を保全していくために、平成22年度に町が中心となって農協、漁協との3者会議を設置

3者会議では地元の産業廃棄物であるホタテの貝殻を800℃で焼き、農家17戸の排水側溝や大型排水溝に設置、貝殻のダムをつくって排水をろ過する仕組みを作っています

このホタテ焼成貝は実験では大腸菌を大幅に削減するなど、水質浄化作用が大きく期待されています

将来的に設置したホタテ貝殻が草に埋まっていき、その上に木が、育っていくことが期待されているようです

このほか、3者会議では標津川のゴミ拾い清掃活動や植樹活動に取り組んでいるそうです

2016年10月27日木曜日

中標津町総合体育館 330°アリーナ

2016年10月27日

根室市議会の文教厚生常任委員会(鈴木委員長)を中心に議員さん10人が、中標津町に新たに建設されたばかりの総合体育館を視察しました

中標津町総合体育館330°アリーナは、平成20年度に老朽化した旧施設の早急な整備が課題とされてから、
平成22年度に構想検討会等で視察や協議をすすめ、
平成23年度に第一回建設検討委員会を開催して以降、町民アンケート実施やワークステーションワーキンググループを含めて27回の町民参加を経て、平成28年10月に開設されました

具体的な整備事業としては平成24年に基本設計と測量を開始し、平成29年度までの5ヶ年。
総事業費は約3570百万。
財源内訳としては、丸山公園内に建設されたため、国交省の社会資本整備総合交付金を1/2充当し、残りの半分に起債を90%充てています

同時に複数種目が利用可能となるよう大小2つのアリーナ、冬場も運動できるようランニングコースやトレーニングルーム、シャワー室(車イス対応も別途設備)、新エネの活用として地中熱ヒートポンプ等の機能を備えています
防災拠点としては、近隣の町からも受け入れるよう広域避難所として倉庫への備蓄を計画しています

維持管理は、引き続き一般財団法人中標津町文化スポーツ振興財団が指定管理をうけています
費用として28年年度は当初予算及び、補正予算会わせて73百万円ほどです

アリーナは床や壁含めて全体的に明るい色合いの素材を使用しています
トレーニングルームには数多くの機器が設置され、理学療法師の資格を持ったスタッフ(町と財団の職員が交代で配置)が配置され、単なる受付のみならず、個々に応じたトレーニングのアドバイスや指導もうけられるのが、大変優れていると感じました

施設の利用はランニングコース含めて基本的に有料となっています(中学生以下は無料)

2016年10月25日火曜日

市民フォーラム「根室市の方が安心してお産をするために」

2016年10月15日

 根室市外三郡医師会と根室市が共催する市民フォーラム「根室市の方が安心してお産をするために」が市総合文化会館で開催されました。会場いっぱいに多くの市民の方が参加されて(男性の方も非常に多い)、道内とりわけ2006年より長年にわたって分娩が出来ない状態となっている根室市の現状について、学び考える機会となりました。

 はじめに妊娠・出産への支援の説明として、根室市の鈴木保健師から行政による妊娠出産に関わる支援制度の概要について説明され、続いて市立根室病院の近藤助産師さんより「つわり」などのステージごとの妊娠トラブルやその対応、病院や助産師の役割について説明をされていました。

 特別講演として、釧路日赤病院産婦人科の東正樹部長が「北海道の周産期医療の現状と問題点-根室市民の安全なお産を考える-」をテーマに、地方で現場の最前線で働く医師の観点をふまえた講演をされました。

 以下は特別講演について、橋本が聞き取れた内容をおおまかにメモ書きしたものです
  • 道内の分娩が出来る施設は年々減少している(H17年119施設⇒H26年96施設)
  • 道東でも分娩施設は10年前は11施設あったが、4施設に減少した。
  • なぜ分娩施設が減少したのか。産婦人科の減少。
  • 以前は広く薄くどこの病院にも産婦人科が派遣されていた。それが結果として個々の医師に長時間労働など過酷な勤務を強いるようになった。
  • また専門医制度により、産婦人科医でもお産を扱わない医師が増えてきた。
  • 道内の医師数は増加しているが、産婦人科医師数はH16に大幅に減少し、回復できていない。
  • H18年の福島県の事件は地方で働く産婦人科医に大きな衝撃をあたえた。これを契機に医師一人で出産を扱うことをやめる流れが加速した。
  • 女性医師の増加。患者さんにとって望ましいことだが、女性医師自身が出産育児する立場になったあとの人員補充がない。当直など残った医師の負担増。
  • 方向転換。人口や出生数に応じた「適切な」産婦人科医の配置、集約化へ。H16年に最初は空知で集約化がされ、H19年に釧路では労災から日赤に集約化された。H18年10月に市立根室病院から医師が引き揚げ、分娩中止となった。
  • 集約化によってもたらされたもの。医師の労働環境の改善、安全な診療体制など医療者側にとっては比較的好意的に受け止められている。
  • 患者側にとっては、集約化された病院の近くでは安心安全なお産というメリットがあるが、反面病院から遠い方にとってはデメリットが生じている。
  • 病院側として集約された病院は患者増・収益増になり、一方で医師が引き揚げた病院はその反対の状況。
  • 集約化は「良かった」のかどうか? 東医師の感想としては「医師の適切な配置」がうまくいっていない。その一つが医師の偏在。
  • 道内の医師の51%が札幌圏に偏在している。釧路・帯広・宗谷・オホーツクあわせて30.1%しかない。アンバランスな状況が続いている。
  • それに対して適正な配置を行うために、道の周産期医療体制整備計画が策定されている。
  • 総合周産期センター(釧路日赤ふくめ道内6か所)⇒地域周産期センター(道東だと市立釧路病院・町立中標津病院)⇒一時分娩施設として区分し、3者が連携して分娩の体制を構築している。
  • 安全なお産のためには、何㎞以内に産婦人科があればよいのか?
  • 陣痛が発雷して、分娩に至る平均的な時間は初産婦で15-16時間、経産婦で6-8時間。
  • 墜落産(突然、急激に陣痛が来て分娩すること)は3時間以内の分娩とされている。
  • したがって、分娩のための安全な移動時間および距離は2時間、100㎞ぐらいの間に分娩施設があったほうがよいと考えられる。
  • 冬期間の移動も考えると100㎞を超える地域には、産科医を優先的に配置することが提唱されており、その意味では市立根室病院は産科医を確保すべき病院とされている。
  • 他の地域の状況について。
  • .浦川は1人の産科医が交代でお産を対応している。良い環境ではないが、札幌に近く医師を派遣しやすいので辛うじてつないでいる状況。
  • 江差・松前も長く出産できなかったが、2年前に道立病院に産科医が赴任し分娩再開している。
  • 紋別・遠軽は最近再開された。
  • 小樽は公的病院ではお産をしておらず、開業医が年400件ほど取り扱っている。札幌近郊としてはあまり良い状況ではない。
  • 現在の状況としては、根室が取り残されている状況ともいえる。
  • 根室は常勤1名。また週末に釧路日赤から応援があり、基本的に産婦人科医はいる体制。妊婦健診、夜間休日の症状にも対応している。助産師もおり産後の指導もできる体制。
  • 分娩のときに、釧路や別海、中標津など希望の病院にいくかたち。
  • 釧路日赤では墜落産・車中の出産の危険性をふまえ、原則38週以降の分娩誘発をおこなっている(社会的適応)。
  • 根室市での分娩再開に向けてどのように考えるか。
  • 産婦人科医の立場としては安全な分娩体制を望んでいる。それは緊急時の対応(30分以内に帝王切開が可能か?)、小児科、麻酔科が24時間体制をとれること。これは最低条件。特に若い医師などを迎え入れるためにはこういった体制が必要。
  • そのほか、医師の労働環境への配慮。長い期間、出産を取り扱える体制の継続性が重要。
  • 複数の産科医(必ずしも常勤でなくてもよい)。小児科と麻酔科の協力。助産師の体制。
  • 医師確保の課題。今後は大学医局が中心となる体制から「地域の基幹病院」が中心となって、基幹病院の体制を手厚くし、基幹病院からさらに地域の病院に医師を派遣する体制を構築していかないと、維持することが出来ないのではないか。地域の病院は地域で完結していくしかない。また、基幹病院の医師が地域の病院で診療することで、患者情報などを共有できるというメリットも感じている。
  • 魅力ある病院づくり。
  • 妊婦や家族に望むこと。妊娠出産は本来は自然なことであり、多くは無事に出産している。しかし「安全神話」ではない。妊娠出産は突然、何かの拍子に前触れもなく急変することがある。
  • 周産期死亡率と妊産婦死亡率。日本は世界的に見てもとても低い。しかし統計上10万人対比で4人程度は妊産婦が命を落としている。死亡率はこれ以上下がらないのではないか、と言われている。妊娠出産は女性にとって危険な難事業。危険は予測や予防ができない。(妊婦自身が体重やたばこ、風疹ワクチン接種などのリスクを減らす努力が必要)
  • これからの根室の分娩再開に向けて、まずローリスク層や経産婦の分娩から再開し、ハイリスク層は釧路日赤のような総合周産期センターで受け持つという分担からスタートしていくことが考えられるのではないか。経産婦は子どものことが心配、という声が多いということもある。
  • 出生数をしっかりとふやしていくことが大切。分娩数500に対して産科医6-8名が必要とされている。根室市は200名前後なので最低でも2名が必要。産科医数と少子化の悪循環。
  • 出生をふやすには育児の環境を整備することも大事。魅力的なまちづくり。
  • まとめとして、出生数や距離的な面を考えても、根室市には分娩施設は必要。妊娠中や分娩の安全性を確保したうえで分娩再開が望まれる。釧路日赤病院としても協力していきたい。
分娩休止となっている市立根室病院で、これまで産婦人科の常勤医として勤務してくださっていた先生が10月末で退職されることが報道されました。
複数体制をとることが出来ずに分娩再開をすることはできませんでしたが、その間も体調も崩されるなど健康面に不安を抱えながらも、6年間にわたって市立根室病院の産科、婦人科の患者さんのために、大変ご尽力されてこられたと伺っております。
11月以降は釧路日赤病院をはじめとした出張医師による応援態勢で診療を行うとのことです。

2016年10月23日日曜日

根室市社会保障推進協議会が医療・介護の「要望書」を提出

2016年10月20日

根室市内の団体・組織で構成する根室市社会保障推進協議会(田辺利男代表委員)は20日、根室市に対し「医療・介護に関わる施策についての要望書」を提出しました。

根室社保協として毎年、こうした要望書を提出しながら、市の担当課と意見交換をおこなっています。
要望事項は、国保が社会保障制度としてすべての加入者に等しく「医療を受ける権利」が保障される運用を行うことや、特定健診の改善、介護保険における新総合事業に関する問題をとりあげています。
全日本民医連が毎年行っている「経済的自由による手遅れ死亡実例調査」では、2015年に全国各地であわせて63例の手遅れ死があったことが報告されています。その中には、とある自治体に相談に行きながら十分な相談対応をうけられずに手遅れに至ったケースなども報告されています。
こうした全国的な状況の中、根室市でも、近年の漁業環境の変化をふくめ地域経済として厳しさが増しており、市民生活も同様に苦しい状況となっていくものと考えられます。だからこそ国保など社会保障について、住民の生活を守るためにふさわしい運用を、今後も根室市が実施していくよう求めています。

来年、2017年度から根室市でも訪問介護・通所介護のみうけている要支援1・2の方の方が順次、従来の全国一律の介護給付から外され、自治体ごとに設定する独自の制度(新しい総合事業)に移行されていきます。
この新しい総合事業の介護施設に支払われる報酬やサービス基準は、根室市では当面は「現行相当」で実施するとしています。このことは英断だと思います。
しかし全国的には財政削減を目的に「緩和した基準」、つまり給付を引き下げた内容の制度としている自治体も数多くあります。例えば釧路市では施設側に支払われる単価を現行の90%程度に下げて設定しています。
(詳しい説明は省きますが釧路市の場合、新しい総合事業の通所サービスで入浴・食事介助・リハビリをうけない方が、この緩和した基準のサービスに該当します。これにより行政側は入浴も機能訓練もうけない人は利用料が10%安くなり、「選択の幅が広がる」と説明しています。)
しかしながら、相次ぐ介護報酬の引き下げにより現行相当の介護報酬単価ですら施設側の経営が厳しくなっている状況です。緩和した基準のサービス導入によりさらに介護報酬を引き下げた場合、経営が存続できない事業所が出てくる可能性も大いにあります。

市の担当部課は、
「限られた財源の中であるが、要介護者が必要なサービスをきちんと受けられるよう検討していきたい」
「根本には国の社会保障制度の問題であり、一つの自治体が出来ることには限度がある。介護は人が人をみる制度であり、どうしても経費が必要になる。その財源は国が責任を負うべき。しかし国が負担しきれない部分に対して市としてどうするのか大きな課題」
「こうした問題は当然全国的な課題であり、全国市長会・全道市長会を通じて地域の実情を訴えてきたい」と答えていました。

また根室市社保協は、市民的な議論や合意を作っていく上でも、特に市内の大小様々な事業所といろいろな場面で十分な協議や意見交換をしっかりと行っていくことも求めました。


2016年10月12日水曜日

2016年 根室市議会9月定例月議会 一般質問 3/3

2016年9月13日に、根室市議会9月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(最終項)

3.高齢者福祉・介護に関する諸問題について
(1)当面の新しい総合事業の実施に向けた諸課題 

(橋本 質問)
 7月20日に市が事業者に向けた説明会を開催。その中では、来年、2017年4月から新しい総合事業の実施にあたって、通所型・訪問型とも現行相当のサービス基準で実施し、一方いわゆる多様なサービスについて今後の検討課題としている。
 介護保険財政の支出削減を目的にいわゆる「緩和した基準によるサービス」を導入している自治体も多い中、現行相当を維持されたことは、地域の介護の質を確保するために大変に重要な判断。
 しかし、まだこれから新しい総合事業の実施へむけて様々な課題があり、今後どのようにそのための準備をすすめていこうとされているのか伺う。

(市長 答弁)
 事業の移行により混乱が生じないよう、今後さらに対象者に対し丁寧な説明や周知を行い、移行事務を進める。
 新しい総合事業の実施に伴う緩和した基準によるサービスなどの提供について、
 ニーズの把握や他都市の取り組みなどについて調査研究を行い、サービスの実施に当たっては介護事業所などとも十分に協議を行い、地域の実情に即した事業の充実に努める。

(2)地域包括ケアに向けた課題について 

(橋本 質問)
 9月5日に地域ケア会議の代表者会議が実施された。医療・介護の関係機関をはじめ、地域住民が参画するこの会議を手始めに、今後は実務者レベルの作業が進められていく。
 地域包括ケア構築にむけた様々な対応の起点、特に地域支援事業の充実強化の部分において、市行政に作業が一点集中している現状にある。
 地域包括ケアの構築に向けて、こうした現状を一歩抜け出し、各団体や住民組織がどのように主体性をもって関わっていくようもってことが出来るのかが課題。今後どのようにすすめていこうとしているのか伺う。

(市長 答弁)
 システムを実現するためには、医療・介護・地域の資源を把握し、医療機関・団体などが、目指すシステムの方向性と役割について、共通認識のもとその機能を十分に発揮・連携する仕組みづくりが何よりも重要。
 このことから従前のケア会議に、町会連合会、老人クラブなどの幅広い分野の代表者16名による地域ケア会議を設置。地域全体で高齢者を支えるため、医療や介護に加え、地域の自助・互助を最大限に発揮するシステム作りや、それぞれの役割と機能を活かした取り組みについて確認した。
 各団体の主体性をもった関わりについては、地域包括支援センターが中核を担い、様々な分野で連携強化の調整を図り、関係機関などの役割を明確化する中で、主体的な活動に繋げながらシステムの構築を推進する。
 
(橋本 再質問)
 医療機関の役割について、どう考えるのか?
 一般的に地域医療に関する計画は都道府県が担っており、根室市でも保健や健康推進と介護は別の担当課がそれぞれ所管しているし、さらに市立病院にも分かれている。地域内のそれぞれの医療や介護の関係団体は、基本的には個々にある状態。これを一手に束ねる作業は容易ではない、と考えられる。
 具体的に組織して動かすためには、特に医療側の役割・取り組みが重要。
 中心となって(頭になって)旗を振る役割。
 特に医師が先頭に立つことで、周囲の意識が変わる。関係団体の反応が違う。
 これから先は事業の意義を共有認識し、中心的役割を担う担当(分担)をそれぞれ早い段階から定めていく必要があると考える。

(市長 再答弁)
 在宅医療・介護の推進、認知症施策の推進など、地域包括ケアシステムにおいて、
医療を主要な構成要素としており担う役割は非常に重要。
 ケア会議などにおいて、それぞれ担う役割の明確を図る中で進めていく。

(橋本 再質問)
生活支援サービスの充実・強化について、コーディネーターや協議体の設置にあたって、まず社会福祉協議会の位置づけ、および既存の在宅介護支援センターの位置づけをどうするのか、が大切な要素と考える。
幅広い地域で市街地区以外の歯舞や落石、厚床などそれぞれの地区のあり方にも、しっかりと目を向ける必要がある
そのために、市内の各法人がどのような考えをもっているのか、あわせて検討する必要があるのではないか。

(市長 答弁)
 平成30年4月からの生活支援サービス体制の整備にあたり、サービスの中核を担うコーディネーターや協議会の役割は大変重要。その設置にむけ、社会福祉協議会をはじめ、在宅介護支援センターなどの関係団体と十分協議を重ね、検討したい。

(橋本 再質問)
 地域包括支援センターの体制強化をどうするのか?

 包括的支援事業そのものが今後、質量ともに拡充する。地域包括支援センターが本来の役割をしっかりと果たしていくために、今後どのような体制としていくことが必要なのか、検討する必要がある。

(市長 答弁)
 地域包括支援センターの役割はますます重要となる。
 包括的支援事業の生活支援サービス体制の整備や認知症施策の推進を図る上で、関係団体などと協議をすすめながら、必要な体制について早急に検討する。

2016年 根室市議会9月定例月議会 一般質問 2/3

2016年9月13日に、根室市議会9月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします(つづき)

2.地域医療構想と新公立病院改革プランについて
(1)根室区域地域医療構想に対する市の評価について

(橋本 質問)
 根室区域地域医療構想が、昨年から3回の調整会議を経て今年4月15日に作成・公表された。
 結果的に9年後、2025年の必要病床について、当初から示されていた2013年度時点のデータをもとに機械的にはじかれた数値にきわめて近い数字で決定されたところ。
 今後各病院はこの必要病床数に近づけるよう求められるが、その一方、病床転換に向けた国・道の支援や、在宅をふくめた受け皿の整備や、医療従事者確保対策については、「構想」見る限り、これまで以上の具体的な内容は記されてされておらず、非常に残念。
 あらためて「構想」に対する評価、見解を伺う。

(市長 答弁)
 本年4/15開催の調整会議において、現在の587床を497床とする目標病床するなどについて、構想の成案化がされた。
 今後の高齢化の進展により必要とされる医療への変化への対応をめざす姿を明確にし、これまでの急性期中心から回復期や在宅医療の拡充を図ることを目的に「地域医療構想」のとりまとめがされる。将来に向けて大変重要な構想と考えている。

(橋本 意見のみ)
 そもそも現在一部休床している病院も、医師や看護師など医療従事者が不足し体制が整わないために、入院患者の受け入れが出来ないのが大きな要因。
 また慢性期についても、国が示したガイドラインにもとづき療養病床の医療依存度が比較的低い区分の患者さんの7割を在宅に移行させることを想定。
 いわば国が意図的・政策的に作り出した医療ニーズ、将来像であり、人口減少と高齢化を見据えたといっても、地域の将来的な医療ニーズを十分に反映しているかどうか疑問が残る。
 
 あわせて「第6節 将来のあるべき医療提供体制を実現するための施策の検討」とあるが、このような一般的な話で終わらせず、国・道が責任をもって、この地域に即した具体的な対策を推進するよう求めること。
 慢性期は過剰と言われても、根室市内には療養病床は1床もなく、医療管理度の高い患者さんを長期に受け入れる施設がない状況が続いている。
 高齢化が進む中で慢性期の患者を在宅に戻すためには、その受け皿となる在宅医療と介護サービスを充実させる必要がある。しかし在宅医療の推進などと言っても、いま実際に提供できる医療機関は限られている。そもそも開業医含めた市内医療機関を将来にわたって維持するのも大変な状況。自治体病院とプライマリケアを担う民間の医療機関を維持し、また訪問診療や訪問看護の体制も一層充実させていくことが必要。また根室市内の介護施設で働く看護師が不足している深刻な状況を改善していくための地域的な取り組みも必要。
 在宅医療と介護の受け皿がしっかりしない中で、入院ベッドだけを減らしたのでは、医療や介護を必要とする地域住民の生活が成り立たない。
 特に、地域に不足する医療機能確保のための医療機関への国・道の積極的な支援や実効性のある医師含めた医療技術者確保対策の推進について、具体的な施策の検証が必要。
 こうした点についても国・道に意見をあげ、かつ議論を進めるよう取り組んでほしい。

(2)地域医療構想に対する市立根室病院としての今後の対策について

(橋本 質問)
 この地域医療構想により管内の医療機関は、2025年にむけて病床数を、(高度急性期・休棟中を含めた)いわゆる急性期を1/3に減らして回復期に転換すること、慢性期のベッドを45床減らすことを求められていく。
 市立根室病院においても病床機能について急性期の削減と回復期への転換が求められるものと考えられる。
 また入院ベッドから締め出された患者を外来・在宅でどのようにフォローしていくのか、市内医療機関との連携もふくめ検討事項になってくると考える。
 これまで院内の「経営戦略プロジェクト」で議論検討がされてきたと聞いているが、市立根室病院として地域医療構想に対し、今後どのような対応をとろうとしているのか。

(市長 答弁)
 市立病院が、今後地域において担う役割を踏まえ、回復期への対応に向けて院内プロジェクトにおいて急性期病床とのバランスや効率的な病院運営、経営への影響などの議論を経た中において、「地域包括ケア病床」の導入について一定の結論を得たところ。

(3)新公立病院改革プランへの市立根室病院の取り組み状況について 

(橋本 質問)
 国からは2015年3月の「新公立病院改革ガイドライン」にもとづき2016年度中に新しい公立病院改革プラン策定が求められている。
 改革プランと整合性が求められる地域医療構想が、今年4月に根室区域版が一応策定されたところ。そこであらためて市立根室病院としてこの新しい改革プランに対して、何を目的にして、どのような方法で、いつごろまでに作成する予定となっているのか伺う。

(市長 答弁)
 公立病院として、地域において担うべき役割を継続的に提供することを目的として、院内のプロジェクトで議論を進めている経営改革の内容を盛り込むとともに、関係部署と協議を図りながら年度内の策定に向け、作業を進めていきたい。

(橋本 再質問)
 国が意図しているのは経営形態の見直しであろうと思うが、そういった点は別にして、
 私は今回改革プランを立てることに意味があるとすれば、答弁されたような病院の機能と地域において担うべき役割について、あらためて市民的な理解を深める、地域医療を守るための意識醸成の契機とすべきと考えるが、見解を伺う。

(市長 再答弁)
 「新・改革プラン」の策定および実行にあたって、市立病院が担う役割について位置付け、市民の理解を深めるよう努めていく。

(橋本 意見として)
 なぜ市民議論が必要と考えるのかについて、
 改革プランの要点は、もちろん医療技術者確保対策、収入確保に向けた取り組みや、経費節減対策などをしっかりと取りまとめていくこともあるが、
・今後さらに診療報酬の削減が予想される中、急性期+回復期(包括点数)の135床であげられる医業収益をどの水準で見込むのか。
・それに対応する医業費用をどの水準で考えるのか。つまり市立根室病院の医療機能として現在の診療科目および救急対応を具体的にどうしていくのか。
 これが大きな課題ではないか。

 つまり、仮に費用を切り詰めるために医療機能を縮小するなら、地域包括ケアにおける市立病院の役割をさらに推進させ、3次医療圏や市内の開業医、介護福祉事業所と今まで以上の連携を図っていく必要がある(例えば地域連携パスなど)。また患者搬送の増に対応した消防本部の体制なども検討することも必要ではないか。

 反対に、現状をしっかりと維持(あるいは前進)させるべきという考え方も出来る。
 現在でさえ多くの市民が根室の医療体制に不安をもっており、それは様々な市民アンケートの結果として表れている。これ以上、中心となる市立病院の医療機能を縮小・撤退することは市民の命・健康に直結する課題であり、人口減に拍車をかける懸念がある。
 しかしその場合、一般会計の繰り入れも現行水準が継続されるのかどうか。市の長期財政がどうなっていくのか。どこまでの市民負担を是とするのか。
 
 また地域の医療政策を考える上で決して欠かせないのは、そもそも国の医療制度の方向性がこれでいいのかという課題。現在のような国の医療給付費抑制策がこれからも継続されていくならば、地域でどのような優れたプランを構築しようとも成り立たない。
 
 こうした課題をしっかりと市民や関係団体と議論して深める必要がある。

(橋本 再質問)
 新・改革プラン作成をどのようにすすめるのか、について
 前述のような目的を達するためには、院内プロジェクト・関係部署との協議にとどまらず、院内でのコンセンサスを得たのち、まず病院としての提案および十分な説明をしてもらう。
 それをうけて患者・市民、市内医療機関はじめ関係団体や、議会が十分な議論を行い、合意をはかっていくという形で進める必要があると考えるが見解を伺う。

(市長 再答弁)
 病院事務局において院内のプロジェクトでの議論を盛り込み、関係部署との協議を図るとともに、議会への説明や市民からの意見募集を行っていく。

(橋本 再質問)
 今年度中の作成を求められているが、あと半年という期間では厳しいスケジュールではないかと考える。形だけ整えたプランを提示するのでは意味が無い。
 計画策定に遅れても支障が無ければ、しっかりと時間をかけて作り上げることも視野にいれるべき。

(市長 再答弁)
 ガイドラインに「平成28年度中に策定するもの」とされていることから、鋭意、策定作業を進めていく。

2016年 根室市議会9月定例月議会 一般質問 1/3

2016年9月13日に、根室市議会9月定例月議会で行われた、橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約および再構成して、ご報告いたします

1.市の産業振興策等における学術・研究機関との連携について
(1)これまでの取り組みの評価について

(橋本 質問) 
 2010年に東海大学海洋学部と提携した「産学官連携研究開発事業」や「地域力強化分析」は、根室市における産学官連携の特徴的な取り組みだが、引き続き継続されている事業がある一方、その他の取り組みはイベント的に集結してしまった感がぬぐえない。
 例えば「地域力強化分析」において4点の提案がされたが、そうした提案がその後の施策にどのように反映し、影響を与えたのかどうか。
 また、これをあくまでも基礎的なデータとするならば、このデータをもとに継続的または発展的な調査研究につなげることができなかったのかどうか。
 地域力強化分析に限らず他の終結した共同研究にも言えるが、共同研究結果を直接的に見て「使える」・「使えない」と結論付けて単発で終わらせるのではなく、体系的な取り組みとして位置づけて進めていく必要があったのではないか。
 市として今後のために、一連の東海大との相互協力協定について、現時点で市としてどのような成果を獲得したと評価しているのか、またもし逆に不十分な点があったとすればそれを教訓として次に発展させるための総括・検証が必要。
 これらの取り組みについて、市がどのような評価をしているのか。

(市長 答弁)
 平成24年度根室市の地域経済及び中小企業の現状を把握し、将来に向けた地域力強化につながる施策形成を見据えた基礎資料を得ることを目的として、「地域力強化分析」業務を東海大へ委託し、六次産業、市内循環型経済、自然と共に生きる観光、北方領土返還を意識した事業の四つの提案がなされたところ。
 市内循環型経済の展開については、根室市中小企業振興基本条例や現在策定中の根室市産業振興ビジョンに活かされ、
 自然と共に生きる観光の展開について、落石ネイチャークルーズの運行など地域資源を活用した観光地づくりに活かされており、一定の成果が得られたと認識している。

(2)今後に向けた取り組みの方針について

(橋本 質問)
 市内や近隣に大学や研究機関が無い当市にとって、市内の小企業や団体が技術や商品開発、あるいは経営や地域振興など様々な分野で大学・研究機関等との接点を日常的に築いていくことは、地域力を高めていく上で大切。
 自治体行政は課題を抱える市内企業の橋渡し役として、より積極的に様々な大学・研究機関とのチャンネルを構築するためのさらなる取り組みが必要ではないか。
 たとえば現在市で進めている産業振興ビジョンやエネルギービジョンのような計画を策定する際には、地域の現状や資源の分析・開発のため「官学」が共同して積極的に地域に出向いて調査し、企業等との話し合いの中からお互いを良く知り、新たな産学官連携の種を見つける、掘り起こすような取り組みを進めていくことも必要と考える。
 この他さまざまな形で地域にあった効果的な取り組み方を研究する必要がある。
 地域の産業振興等に学術研究機関を今後どのように活用していこうとされてのか、今後の取り組み方針について市長の見解を伺う。

(市長 答弁)
 市として企業が求める研究開発メニューの把握に努めるとともに、大学等の学究機関における成果や将来にわたっての方向性など、取り組み内容を地域や企業につなぐ橋渡し役を担い、経済活性化に向けた産学官の一層の連携強化に努める。

2016年10月11日火曜日

国立研究開発法人水産研究・教育機構厚岸庁舎

2016年10月11日(火)

根室市議会の水産対策特別委員会と産業経済常任委員会による視察で、厚岸町にある研究施設を訪問させていただきました

当研究所ではロシア海域のサケマス流し網の禁止への対策の一環として、2016年度から水産庁の事業で、ベニザケの養殖に向けた研究をしています

説明して下さった生産環境部の黒川部長さんによると、養殖でこれまでのいわゆる本チャンベニをつくることは難しいが、身は小さくても近年のサーモン生食の普及への対応を目指しているそうです

現在、産業ベースで稼働している宮崎のギンザケ養殖事業を参考に、ベニザケに適した20℃以下の水温で推移する夏に育てて、サケの生魚が品薄になる年末に出荷することを考えているそうです

そのために①種苗の安定供給、②夏を越せる飼育方法、③身色向上の配合飼料、といった課題解決が必要とのことです

特にベニザケの特徴的な赤い身色にするためのエサの研究が大変そうです

現在、同研究所では春から冬前までにかけて施設内の水槽で天然の海水を使い、海面飼育に近い環境で育成の研究をすすめているそうです

2016年10月6日木曜日

大牟田市 視察

2016年10月6日(木)

前日に引き続き視察日程です
福岡県大牟田市にお伺いしました

テーマは「まちで、みんなで認知症をつつむ~大牟田市における認知症の人の地域包括ケア体制の構築~」として、長寿社会推進課長さんより説明を頂きました

この取り組みについては有名で全国から視察が相次いでいるそうですが、説明を聞くとその理由がよくわかります

表題の認知症対策はたんなる施策のひとつではなく、
認知症、高齢者にやさしいまちは、子どもにもやさしい、全ての人にやさしいまちづくり、というお話をされていました

もちろん簡単にそうした体制ができたわけでなく、
介護保険の制度導入前から行政が各事業所を丹念に回って、協議会を設立するなど、関係性づくりを進めてきたこと
そして戦略的に小規模多機能施設を市内ほぼ全域の小学校区に設置して、それに併せて地域コミュニティの中心となる「地域交流施設」の併設を事業者に義務付けてきたこと等の下地をつくってきたことが大きいと思います

地方自治におけるコミュニティ活動の重要性をあらためて認識させて頂きました

2016年10月5日水曜日

株式会社ナノクス 視察

2016年10月5日(水)

神忠志議員、鈴木一彦議員、久保田陽議員とともに
北九州市の小倉にある株式会社ナノクス様を視察させていただきました

台風18号の影響がどうなるか心配されましたが、無事に到着することが出来ました

いまマスコミなど各所で報告され注目を集めている超微細気泡(ウルトラファインバブル)

鮮魚卸売業などを営むの丸福水産株式会社から分離独立して設立された同社は独自開発したウルトラファインバブルを発生させる装置「ナノ・フレッシャー」を販売、日精株式会社を代理店として各地で展開しています。
このシステムは、目的別で窒素と酸素ウルトラファインバブルを使い分けて活用し、従来よりもはるかに長期間鮮度を落とさない方式を提供しています
近海マグロ延縄船の漁槽で使用したところ、いやな臭いがマグロに移るのが押さえられる等、鮮度保持に多大な効果が発揮されているそうです

また北海道では鮮魚の鮮度保持以外にも、イカの活魚をいけす等で長持ちさせるために、酸素のナノバブルで水の酸素濃度を一定に保つ取り組みを行っているそうです

説明下さった常務さんからは、ウルトラファインバブルを発生させるための同社の高い技術力とともに、長年鮮魚をあつかってきたノウハウをもとに、高品質な付加価値の高い商品を提供している自負を感じました

冷凍やスラリーアイスなどの高品質な鮮魚を送り出すための技術が進展してきているなか、こうした新しい効果の高い技術を積極的に研究し取り入れて行くことの必要性を学びました

2016年10月3日月曜日

根室市議会 2015年度の各事業・特別会計の決算審査特別委員会

2016年9月26日から28日の日程で「平成27年度各事業・特別会計決算審査特別委員会」が行われました。
根室市では決算審査特別委員会と当初予算の特別委員会は半数づつの市議が一般会計の部門と各事業・特別会計の部門に分かれて審議を行います。
今回は橋本は、各事業・特別会計の委員会に参加することになりました。
各会計の特徴的な内容について、一部をご紹介します。
 
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【 港湾整備事業会計 】

花咲と根室港の両方の上屋等の整備のあり方を検討する方向に

 さけます流し網禁止などの影響もあり、港湾収益の大半を占める陸揚げ使用料の収入が減少していますが、近年は大きな設備投資もなく会計自体は安定しています。
 今後の港湾機能の整備についてこれまで、特に老朽化が進んでおり、防潮堤の外側にあって津波被害が心配される花咲港の2号上屋の整備をどうするのか等の課題がありました。
 市は、新たなホタテ漁場整備など最近の沿岸漁業対策の状況もふまえ、花咲港区だけでなく根室港区もふくめた根室港全体の上屋整備について、様々な方向から検討していきたいとしています。
 また高潮対策として、今後弥生町に防潮堤が建設される予定ですが、同じく被害のあった本町の海岸にも大型土のうを設置する方針であることが報告されました。

【 水道事業会計 】

これから水道料金をどうしていくのかなど大きな課題が山積

 市の上水道は、人口減少や産業低迷などから料金収入が低迷する一方、老朽化が進む水道管の更新や耐震性の不十分な浄水場への対応など、将来大きな設備更新費用がかかることが予測されています。そうしたことから、年々収支状況が悪化し、再来年(2018年度)には資金不足になることが試算されています。
 水道事業に対する国の補助事業は極めて手薄く、経営破たんを防ぐには、根室のような条件不利地域であっても、自力でなんとかするしかありません。水道料金の改定(引き上げ)にむけた議論検討を本格的に始める必要があります。現状でも全道で7番目に高い根室市の水道料金。さらに引き上げるならば、どのような形にしていくのか、そのためにどのように市民合意を得ていくのか、大きな課題があります。

【 下水道事業会計 】

MICS事業により運営コストがおよそ5,000万円削減する試算に

 上水道と異なり下水道の会計自体は、しばらく安定していると考えられます。
 なお一昨年から立て続けに三度の水害をうけた市街中心部の浸水対策が現在進められています。弥生町の防潮堤整備の他、昨年8月に記録した1時間に53.5㍉という豪雨に耐えるよう来年度に向けて緑町雨水ポンプ場の排水能力増強などの対策が進められています。
 また老朽化するし尿処理施設に代わって、下水道の終末処理施設で一元的に処理するMICS事業を予定では2018年度中の開始をめざし工事がすすめられています。
 このMICS事業により従来のし尿処理にかかる運営コストから比べて5,000万円程度削減できる見通しです。
 根室市の高い水道・下水道料金への対策を視野に、この浮いた財源をどのように活用するかについても今後しっかりと検討する必要があると考えます。

【 病院事業会計 】

収益増も苦しい経営難が続く

 市立根室病院の2015年度決算は医業収益で28億円以上を計上するなど近年にない高い収益となりました。整形外科は常勤医師1名体制のため手術や入院が伸び悩む一方、内科医師体制の充実により入院外来ともに伸び、また訪問診療や健診への対応も充実してきているそうです。
しかしながら新病院の建物維持や新たな医療機器、人件費などの経費が45億円と高コストの状況を改善する見通しがたたず、病院経営として依然として苦しい経営が続いています。
 昨年は地方公営企業の全部適用を開始した初年度です。院内の経営改善に向けたプロジェクトを様々な検討をおこなっているそうです。これからの新しい病院改革プラン策定に向けて、病院の機能や役割について大きな方針を構築していく必要があると考えます。

【 国民健康保険特別会計 】

国保の赤字補てんのため市から1億円以上繰り入れが必要な状態に

 保険税の高さが問題でしたが、その一方で会計制度としては、この10年ほどは安定的な財政運営が行われてきました。しかしながら、この数年で急激に収支が悪化し、これまでの基金も底を尽き2015年度は市一般会計から1億円以上を赤字補てんのために繰り入れることになりました。
 保険給付額も保険税収納額も前年度とほぼ変わりありませんが、2015年度が特に厳しかったのは「前期高齢者交付金」が前年度より1億6,300万円ほど落ちていることが大きな要因の一つと考えられます。
 このように国保会計は、給付と保険税以外のお金が莫大に出たり入ったりしています。保険者として給付削減のための対策や税の収納を上げる努力は確かに必要ですが、それをはるかに上回る金額で国や道、あるいは他保険者とのやりとりによる変動が大きすぎて、何をもって健全経営を行うことが出来るのか、先を見通すことがとても難しい状況です。
 また2018年度は国民健康保険の都道府県単位化が計画されています。その内容は未だ不透明な部分もありますが、住民の命と健康を守る社会保障制度としての国民健康保険の役割を損なうことの無いよう、しっかりとした制度設計を国や今後の保険財政の主体である北海道に対して求めていく必要があります。

【 介護保険特別会計 】

2億2千万円の基金残高をしっかりと有効活用すべき

 道内でも保険料が低い根室市ですが、それでも2012年~14年の市の標準保険料は3,700円、2015年から4,100円と立て続けに値上がりしています。
 その一方で、この間の市の介護保険の基金は約2億2千万円のまま推移しています。2018年度からの第7期計画にむけて、この基金の財源を有効に活用しながら、次期の保険料の上昇抑制や高齢者施策の充実、専門職などの人材確保対策への充実をしっかりと検討していく必要があると考えます。

【 後期高齢者医療特別会計 】

保険料の軽減特例の廃止で半数以上の被保険者が保険料負担増に

 政府は負担軽減のための保険料の特例軽減を廃止しようとしています。
 現在この特例軽減をうけている方は、根室市の加入者のうち55%を占めます。この特例軽減が廃止されると対象者の保険料負担は2倍から5倍増えるとされています。政府は激変緩和措置をもうけるとしていますが、年金収入が増えるわけでもないので、最終的に大幅な負担増になることには変わりありません。高齢者への「差別医療」の本質に立ち返らせないよう意見をあげていくことが大切と考えます。