2016年10月3日月曜日

根室市議会 2015年度の各事業・特別会計の決算審査特別委員会

2016年9月26日から28日の日程で「平成27年度各事業・特別会計決算審査特別委員会」が行われました。
根室市では決算審査特別委員会と当初予算の特別委員会は半数づつの市議が一般会計の部門と各事業・特別会計の部門に分かれて審議を行います。
今回は橋本は、各事業・特別会計の委員会に参加することになりました。
各会計の特徴的な内容について、一部をご紹介します。
 
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【 港湾整備事業会計 】

花咲と根室港の両方の上屋等の整備のあり方を検討する方向に

 さけます流し網禁止などの影響もあり、港湾収益の大半を占める陸揚げ使用料の収入が減少していますが、近年は大きな設備投資もなく会計自体は安定しています。
 今後の港湾機能の整備についてこれまで、特に老朽化が進んでおり、防潮堤の外側にあって津波被害が心配される花咲港の2号上屋の整備をどうするのか等の課題がありました。
 市は、新たなホタテ漁場整備など最近の沿岸漁業対策の状況もふまえ、花咲港区だけでなく根室港区もふくめた根室港全体の上屋整備について、様々な方向から検討していきたいとしています。
 また高潮対策として、今後弥生町に防潮堤が建設される予定ですが、同じく被害のあった本町の海岸にも大型土のうを設置する方針であることが報告されました。

【 水道事業会計 】

これから水道料金をどうしていくのかなど大きな課題が山積

 市の上水道は、人口減少や産業低迷などから料金収入が低迷する一方、老朽化が進む水道管の更新や耐震性の不十分な浄水場への対応など、将来大きな設備更新費用がかかることが予測されています。そうしたことから、年々収支状況が悪化し、再来年(2018年度)には資金不足になることが試算されています。
 水道事業に対する国の補助事業は極めて手薄く、経営破たんを防ぐには、根室のような条件不利地域であっても、自力でなんとかするしかありません。水道料金の改定(引き上げ)にむけた議論検討を本格的に始める必要があります。現状でも全道で7番目に高い根室市の水道料金。さらに引き上げるならば、どのような形にしていくのか、そのためにどのように市民合意を得ていくのか、大きな課題があります。

【 下水道事業会計 】

MICS事業により運営コストがおよそ5,000万円削減する試算に

 上水道と異なり下水道の会計自体は、しばらく安定していると考えられます。
 なお一昨年から立て続けに三度の水害をうけた市街中心部の浸水対策が現在進められています。弥生町の防潮堤整備の他、昨年8月に記録した1時間に53.5㍉という豪雨に耐えるよう来年度に向けて緑町雨水ポンプ場の排水能力増強などの対策が進められています。
 また老朽化するし尿処理施設に代わって、下水道の終末処理施設で一元的に処理するMICS事業を予定では2018年度中の開始をめざし工事がすすめられています。
 このMICS事業により従来のし尿処理にかかる運営コストから比べて5,000万円程度削減できる見通しです。
 根室市の高い水道・下水道料金への対策を視野に、この浮いた財源をどのように活用するかについても今後しっかりと検討する必要があると考えます。

【 病院事業会計 】

収益増も苦しい経営難が続く

 市立根室病院の2015年度決算は医業収益で28億円以上を計上するなど近年にない高い収益となりました。整形外科は常勤医師1名体制のため手術や入院が伸び悩む一方、内科医師体制の充実により入院外来ともに伸び、また訪問診療や健診への対応も充実してきているそうです。
しかしながら新病院の建物維持や新たな医療機器、人件費などの経費が45億円と高コストの状況を改善する見通しがたたず、病院経営として依然として苦しい経営が続いています。
 昨年は地方公営企業の全部適用を開始した初年度です。院内の経営改善に向けたプロジェクトを様々な検討をおこなっているそうです。これからの新しい病院改革プラン策定に向けて、病院の機能や役割について大きな方針を構築していく必要があると考えます。

【 国民健康保険特別会計 】

国保の赤字補てんのため市から1億円以上繰り入れが必要な状態に

 保険税の高さが問題でしたが、その一方で会計制度としては、この10年ほどは安定的な財政運営が行われてきました。しかしながら、この数年で急激に収支が悪化し、これまでの基金も底を尽き2015年度は市一般会計から1億円以上を赤字補てんのために繰り入れることになりました。
 保険給付額も保険税収納額も前年度とほぼ変わりありませんが、2015年度が特に厳しかったのは「前期高齢者交付金」が前年度より1億6,300万円ほど落ちていることが大きな要因の一つと考えられます。
 このように国保会計は、給付と保険税以外のお金が莫大に出たり入ったりしています。保険者として給付削減のための対策や税の収納を上げる努力は確かに必要ですが、それをはるかに上回る金額で国や道、あるいは他保険者とのやりとりによる変動が大きすぎて、何をもって健全経営を行うことが出来るのか、先を見通すことがとても難しい状況です。
 また2018年度は国民健康保険の都道府県単位化が計画されています。その内容は未だ不透明な部分もありますが、住民の命と健康を守る社会保障制度としての国民健康保険の役割を損なうことの無いよう、しっかりとした制度設計を国や今後の保険財政の主体である北海道に対して求めていく必要があります。

【 介護保険特別会計 】

2億2千万円の基金残高をしっかりと有効活用すべき

 道内でも保険料が低い根室市ですが、それでも2012年~14年の市の標準保険料は3,700円、2015年から4,100円と立て続けに値上がりしています。
 その一方で、この間の市の介護保険の基金は約2億2千万円のまま推移しています。2018年度からの第7期計画にむけて、この基金の財源を有効に活用しながら、次期の保険料の上昇抑制や高齢者施策の充実、専門職などの人材確保対策への充実をしっかりと検討していく必要があると考えます。

【 後期高齢者医療特別会計 】

保険料の軽減特例の廃止で半数以上の被保険者が保険料負担増に

 政府は負担軽減のための保険料の特例軽減を廃止しようとしています。
 現在この特例軽減をうけている方は、根室市の加入者のうち55%を占めます。この特例軽減が廃止されると対象者の保険料負担は2倍から5倍増えるとされています。政府は激変緩和措置をもうけるとしていますが、年金収入が増えるわけでもないので、最終的に大幅な負担増になることには変わりありません。高齢者への「差別医療」の本質に立ち返らせないよう意見をあげていくことが大切と考えます。

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