2022年8月2日火曜日

根室市内の在宅要介護者等への対策は?

北海道が7月28日に示した「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定」は、根室市内の死者数が最悪のケースで2300人という試算です。
根室市では災害時に在宅にいる要介護者等の対策はどのように進んでいるのでしょうか?

避難行動要支援者避難支援制度
何やら呪文のようですが、法にもとづく国の制度です。
迅速な避難をするために、要介護者や障害者などのうち特に支援を必要とする人の名簿を市町村が作成し、同意を得られた方についてはその名簿は消防や警察、民生委員など関係者で共有されます。
根室市の場合は要介護3以上や身体障害者1級などの方を対象に、家族の支援を得られない場合に「自己申告」で登録するシステムとなっています。

ところで根室市における名簿登録者数は今年7月時点で53名となっています。過去の国の調査(左表)で比較すると、近隣自治体よりも登録者数が相当に低い水準に留まっています。
その理由は自治体ごとに名簿登録する基準が異なるためです。
例えば中標津町では70歳以上の高齢者世帯に毎年、役場から登録の案内を送付しています。昨年度では1020件が登録されているそうです。
ただ根室市内のあるケアマネは「自分が担当する利用者は1件も名簿登録していない。具体的に避難時に支援できる体制が無く、登録しても意味が無い」と話します。

個別避難計画の策定推進が重要
自治体は避難行動要支援者が具体的にどのように避難をするのか、支援者や避難場所や避難経路等を一人ひとり「個別計画」を策定します。
昨年5月に災害対策基本法が改定され、自治体の努力義務となりました。
根室市では7月時点で9件の個別計画が策定されています。
前年度から2件増えましたが、まだ名簿登録者の1/5以下に留まっています。

しかし全国各地でも個別計画の策定に大変苦慮しているのが実態です。
その理由として、地域の中で避難行動を支援できる体制を確保することが極めて困難ということがあります。
こうした中、大分県の別府市では2018年あたりから介護ケアマネや障害の相談支援専門員など福祉の専門職が参画して災害時の避難計画を策定するという先進的な取り組みを進めているそうです。
実際のところ根室ではケアマネなど福祉専門職の体制も厳しい状況ではありますが、実態の把握や支援体制づくりをどのように進めて行くべきか、地域ケア会議等を活用して協議していく必要があると思います。

また個別避難計画を策定した後も実際にどのように運用されるのかチェックする必要があると思います。
例えば友知の海岸付近に暮らす要支援者が避難所の根室高校まで車イスでどのように避難が出来るのか等、具体的に避難訓練を実施していくことも重要ではないかと考えます。



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