2022年3月11日
根室市議会2月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします(つづき)
2.ケア労働者の処遇改善について
(1)政府の経済対策にもとづく「看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ等」に対する市長の評価について
【質問】 政府が昨年11月に示した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」では「看護、介護、保育、幼児教育など、~全ての職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直す」とされ、収入の3%程度の引き上げを目指す措置がとられた。
その割には残念ながら対象となる職種の範囲が極めて限定的であり、また引き上げ水準もわずかにとどまっている。そのうえ、国の補正予算の可決・成立から実施期限までが短く、民間・公共ともに各現場では苦慮されたものと想像する。
とは言え、求められる業務の責任・専門性に比べ、これまで低い給与水準に抑えられ、またコロナ禍において疲弊し続けるいわゆる「ケア労働者」の処遇改善に向け、一歩前進であると考えている。政府の方針および具体的な施策内容に対して市長としてどのような評価をしているか伺う。
【市長 答弁】 昨年11月の経済対策にもとづき「新型コロナウイルス感染症への対応」と「少子高齢化への対応」が重なる、最前線で働く方々の収入を、一程度引き上げるため、看護職員や保育士・幼稚園教諭等を対象に、今年10月以降の継続を条件として、2月~9月分までの補助制度が創設された。
本制度に対しては、対象者及び補助対象期間が限定的であるものの、既存職員の処遇改善が図られることで、新たな人材確保につながるものと考えている。市内における各分野での人手不足の解消や、収入の底上げなど、経済対策としての効果に期待している。
(2)根室市立の施設に従事する保育等の職員に対する処遇改善について
【質問】政府の2021年度補正予算にもとづき、市立根室病院の看護職員および民間幼稚園等の職員への処遇改善のための補正予算が、今議会に提案される(3月11日の本会議に提案された)。
一方で根室市立の保育所等の子育て関連施設や放課後教室の職員に対しては、今議会に条例改正や補正予算の提案が無いことから、根室市としては当該職種に対する処遇改善を行わないものとらえている。
2月に内閣府からだされた『事務連絡』でも「公設公営の施設・事業所の職員について、~積極的な実施についてご検討いただきたい」とされていた。あらためて市としてどのような判断をしたのか、またその理由についても伺う。
【市長 答弁】 この度の経済対策による医療・福祉等の現場で働く市職員の処遇改善にあたっては、国の通知において民間給与水準を踏まえたうえで見直しを行うこととされている。
そうした中、当市の保育所等に勤務する正職員や会計年度任用職員については、期末手当も含めた年収ベースにおいて、民間よりも高い水準となっている状況等から、補助制度を活用した処遇改善については、見送ったところ。
【再質問】前提として、政府の言う「公的部門における分配機能の強化」という意味で長期安定的に賃金の引き上げを確保していくことが必要。そのために賃金の元である診療報酬、介護報酬、子ども子育て新制度の公定価格等について、今後も長期的に見直しを図っていかなければならない。同様に公務員も地方財政計画の給与費についても同様の観点から見直しが必要だ。これまでの社会保障費の抑制政策やまた行改と反する部分もあるが、そうした要求、地域の声を挙げていくことが重要。
今回の根室市の判断として公務員として立場から、「処遇改善」への対応は民間を優先して、公立施設への対応は一歩後ろに引いた、という印象をうける。
この問題について、2つの点について協調したい。
①特に根室のような小さな自治体において、公立の事業所は地域にとって無くてはならない重要な社会資源、サービス提供主体の一つ。その機能を維持するためには、それぞれの事業所で働く人の力が重要である。ましてや地域で不足している専門職。人勧を基にするとは言え、民間の給与に縛られなければならないのか疑問。
②会計年度任用職員の問題。担当課によると、昨年4/1時点で市立の保育関係の職員60名のうち約1/3の21名、放課後教室では38名の職員すべてが非正規の会計年度任用職員。彼らの存在無くして各事業所は成り立たない。私は長期的には、安定的な人材確保の観点からも、この会計年度任用職員の賃金水準をさらに引き上げていかなければならないと考えている。こうした点から今回の国の事業は不十分ではあるが、重要な機会であったと思う。交付税が減っていく中で、何も無いときに市が処遇改善することは厳しいが、今回は国の方が作ったチャンスであり積極的に活用するべきでなかったのか。
職員の処遇改善だが市民サービスに直結する問題と考えている。今後、このような機会があった際にどう対応するのか。市としてどのような立場にたって判断をしていくのか。また、長期的な対応を国に求めていくことについて、あらためて見解を伺いたい。
【市長 答弁】職員の給与改定は、官民格差の是正を前提として原則、毎年の人事院勧告によって行ってきた。今般の国の経済対策としての処遇改善では、総合的な判断のもと、看護職員について、実施することとしたところであります。
そうした中、この処遇改善に関し、人勧の枠組みとは別の、対象職種・期間を限定した、それぞれの自治体に制度活用の選択が委ねられる仕組みは扱いにくい。制度としてしっかりとしてほしい。(例えばとして、以前の子育て世代への10万円給付事業の際に、政府の対応が次々と変遷して自治体が振り回されてきた状況を説明)。全国の自治体で皆が同じように対応されるのが大前提だ。財源の裏付けが無ければ、実施できる自治体とそうでない自治体が生じることが不満。この制度はしっかりと見据えていきたい。
また、公務に係る給与水準の引上げに関する長期的な財源措置は、これまで、地域の実情を的確に把握したうえで、その財政需要に見合う対策について市長会と話し合っていきたい。
【意見】市長の言う通り、不公平で不十分な制度だ。しかし活用できそうなものは、どのようにうまく活用できるのか、考えていくことも必要だと思う。
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