橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約してご報告いたします
1.2015年度以降の介護保険について
(1)新しい総合事業に対する今後の市の取り組みについて
(橋本 質問)
今回の制度改正では、要支援1・2の方への予防給付のうち訪問介護と通所介護について、
現在の保険給付から市町村が実施する地域支援事業の移行し、多様化するとされている。
市として事業の実施にあたって現在どのような課題があると想定しているのか?
また、配食や見守りといった生活支援サービス事業についても、
地域ニーズを踏まえた中で既存の事業以外にもさらに拡充させていくことが必要であり、
新しい総合支援への対応について、今後のスケジュール等どのように実施していくのか?
(市長 答弁)
全国的な課題としては、自治体間の財政力や介護資源の違い等によりサービス内容の地域間格差が危惧されている。
当市においても、必要な財源確保とあわせ、サービスの提供体制の構築が課題。
新しい総合事業の実施は、一定の猶予期間が設けられており、
利用者のニーズを踏まえた介護予防・生活支援サービスの検討を行い、
関係事業者や団体等と十分協議を重ねるとともに、必要な人材育成をはじめ、
住民参加による取り組みなど、サービスの提供体制の整備に努め、事業の推進を図る。
当市においても高齢化が急速に進行する中で介護予防・生活支援サービスの充実は喫緊の課題。
その円滑な実施と地域間格差の解消に必要な財政支援等の充実について、
全国市長会を通じ国に対し要請していく。
(橋本 再質問)
新しい総合事業の移行にあたって、事業運営委員会による議論は当然重要だが、
それにとどまらず広く関係団体・介護事業者や現行の要支援者・家族の意見をくみ取り、
また市としての検討状況も十分に情報提供しながら進めていくことが必要と考える。
市長の答弁でも「関係事業者や団体等と十分に協議を重ねる」としているが、ではそれをどのように進めていくのか、という点。
たとえば苫小牧東包括支援センターの取り組み。新総合事業とは直接関係ないが、孤独死など地域課題に対して介護関係団体以外にも、町内会、民生委員や新聞販売店や郵便局など広範な関係者があつまり懇談会という形でネットワークを形成している。
「お互いに距離を密接な関係をつくっていくなかで、自分たちの地域は自分たちで作っていかなければならない。」
「住民は何を望んでいるのか、何ができて、何が不足しているのか考え支援していく必要がある」、というそこの担当の方の言葉。
こうした観点に習って、今後の取り組みを進めていく必要があるのではないか。
(市民福祉部長 答弁)
高齢化が急速に進行する中で、介護予防・生活支援サービスの充実は喫緊の課題。
利用者のニーズ把握に努め、地域包括ケアシステムの構築もあわせ、関係事業者や団体、地域の方々と十分に協議を進め、サービスの内容や提供体制について構築する必要がある。
地域の課題について的確に把握するとともに、
介護保険の枠組みのみならず、高齢者福祉や健康増進の観点などもあわせた様々な視点に立った幅広い取り組みで検討を進めていきたい。
(橋本 再質問)
根室市として「新しい総合事業」に取り組むにための基本的な考え方をどのようにするのか、ということを大きな目標としてまず定める必要があるのではないか。
つまり、まず「介護予防の訪問・通所ともに現行のサービス内容・体制・基準・単価(と利用料)で実施することを基本とする」という点。
これは厚労省が否定的に見ているような、地域が何も考えずにただ単に現行のサービスを継続するという意味ではなく、
制度改正上の課題から見ても、そうすることが住民生活を支える上での必要な前提になると考えている。
その上で、前段述べたような枠組みから拾い上げた、
「(現行の訪問・通所サービスの枠組みだけではシステム上実施できない)地域のニーズに応えるための柔軟なサービス、新たな事業をつくり、そのネットワークを広げていく」、
ということを大きな目標として立てる。
これからの施行猶予期間の2年間の中で、どのようにこれらを計画的にすすめていくことが出来るのか問われているのではないか。
(市民福祉部長 答弁)
新しい総合事業を進めるにあたって、予防事業の訪問介護と通所介護も含めて、
高齢者が日常生活を送る上で必要なサービスの内容について整理し、柔軟な提供体制を構築する必要がある。
そのためには関係事業者や団体や地域住民など様々な方々との連携が不可欠。
関係事業者等とも十分な協議を重ねながら、当市の新しい総合事業を構築していく。
また移行に伴い、従来できなかったことも組み込むなど高齢者の日常生活に溶け込んでいける事業について検討する。
(橋本 質問)
新しい総合事業の中で、
一般介護予防事業における「地域リハビリテーション活動事業」というのが新たに導入され、
地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組の充実が求められている。
リハビリの専門職の関わりによって高齢者の「心身機能」「活動機能」「参加機能」の向上を図り介護予防を強化する、とされている。
重要な事業ではあるが、専門職をどのように確保していくのかという点で地域として課題がある。
この点についてどのように対応していくのか?
(市長 答弁)
地域における介護予防の取り組みを強化するため、リハビリテーション専門職等による、
住民主体の介護予防活動や介護職員等への技術的支援、
地域ケア会議やサービス担当者会議におけるケアマネジメント支援など、
専門職の介護予防事業への関与を促進することを目的として、
地域リハビリテーション活動支援事業が新しい総合事業に位置付けられた
介護予防事業の推進にあたって専門職による支援は大変重要だが、当市は人材が十分ではなくその確保が大きな課題。
サービス事業者や医療機関等との連携をはじめ、広域的な人的資源の活用も含めた検討を行い、
高齢者の自立支援に資する取り組みの構築を図っていきたい。
(橋本 意見のみ)
たとえば本庁でリハ職を雇用したり外部機関に委託実施する、というのでなければ、
この地域リハビリテーション活動事業は、最終的に地域包括ケアの中で市立根室病院がどのような役割を果たすのか、という課題にもつながる。
つまり、地域包括ケアの中心はやはり市立根室病院であるという位置づけを明確化させ、
その中で介護施設・在宅との連携を構築していくことになる。
その地域包括ケアの中で役割機能の一つとしての地域リハを、
今後の市立根室病院の運営上どのように位置づけるのか、という課題でもあり、
またその構想に見合った将来的な人員配置が必要。
「地域リハビリテーション活動事業」は、そうした大きな枠組みがあって、はじめてこの根室市で実施可能になる事業ではないか、と考えている。
(2)介護保険料の上昇を抑える市としての対策について
(橋本 質問)
介護報酬の改定率が判明していない段階だが、第6期において道内の市町村はおおむね平均20%~30%アップになるという話もあり、
また例えば実際に先般公表された札幌市の試算では、
準備基金約14億円を全額つぎ込んでなお、第1号保険料基準月額は13.8%アップの5300円程度になると報じられた。
根室市はまだ今後の保険料がどうなるのか公表されておらず、現在も試算中であるが、
この間の高齢者人口の増加や市内のサービス整備状況を考えると、おそらく厳しいものになると推測される。
また厚生労働省の資料では、2025年時点の将来見通しで全国の基準月額が8200円程度にまで引きあがることが予測されている。
市町村の取り組みとしてどのような対策をとることが出来るのか、大いに議論をする必要がある。
来期以降の介護保険料をどのように想定しているか、そして保険料の引き上げを抑制するための対策をどのように考えているのか?
(市長 答弁)
当市の介護保険料は、平成12年度の制度開始以来、全道平均を大きく下回り、道内の都市の中でも下位。
しかし高齢化の急速な進行に伴い、要介護認定者が増加していること、
またこれまで入所施設の増床など介護サービスの充実を図ってきたことなどから、
今後、介護給付費は増加するものと想定している。
平成27年度から平成29年度の次期の介護保険料は、基礎となる3年間の必要な介護サービス量について、
現在策定作業中の第六期介護保険事業計画で推計を進めている。
今後その結果を踏まえ介護保険事業運営基金」の活用などの検討を行い、根室市介護保険事業運営委員会の諮問を経て決定していきたい。
介護保険料の負担の抑制は、介護予防や重度化防止などの取り組みが何よりも重要であり、更なる健康増進や介護予防事業の推進に努める。
また介護保険財政の健全な運営も含め、介護給付に対する国費の負担割合を引き上げるよう全国市長会を通じて国に対し要請していきたい。
(橋本 再質問)
2013年度末の介護保険事業運営基金の残高が220百万円。4期計画末の2011年度末残が232百万円なので、
道の財政安定化基金の取り崩し返還や、入所施設増床分の開始が遅れたという要因があるにせよ、
給付費自体は計画策定の当初見込みより伸びていないのではないか。
給付見込みを過大に算定しやすいシステムなのかもしれないが、そうした点も配慮し第6期の保険料は慎重に検討していただきたい。
しかし、サービス給付増は今後も増加し続け、
あわせて第6期計画時点より第1号保険料の負担割合が22%に引き上げられること等を考えると大変に厳しい状況にある。
全道平均から見て(根室の介護保険料が)低廉だと言うが、根本的に私も含めて、みな感覚がマヒしてきているのではないか。
第5期の全国平均が4,972円、全道平均が4,631円は、第1期保険料との比較で国が1.7倍、道は1.5倍になっている。
厚労省の推計では2025年には現在よりさらに1.6倍にまで引きあがる。
年金が制度上引き下がり続ける中、高齢者の負担できない高額な保険料となっていないのか、十分な対応をしていく必要がある。
公費:保険料=5:5の財政的な枠組みが限界にきているもので、根本的には答弁にあったように国費の負担割合を引き上げていかなければならないし、自治体としてしっかりと厳しい声を届けていかなければいけないと考える。
今回の法改定で低所得者への保険料軽減対策として、一部だが別枠の公費負担がなされたことはその証左といえる。
また今後の保険料試算と決定の過程において、市独自の単独減免制度の拡充や、市の一般財源投入の是非についてもあわせて議論と検討を求める。
(市長 答弁)
次期の介護保険料につきましては、その基礎となる、必要な介護サービス量について推計中であり、その結果を踏まえ決定したい。
また、介護保険料の負担の抑制に対する、市の一般財源の投入は、
介護保険制度は、国の社会保障制度として実施しているものと認識しており、
介護保険料の負担抑制には、国として、介護給付に対する国費の負担割合を引き上げることが基本であると考えている。全国市長会を通じて国に対し要請していきたい。
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