根室市は2024年度からの「第9期介護保険事業計画」の策定作業を進めています。
その中で、市が実施した家族介護者や事業者等へのアンケート調査では、市内のサービスや介護従事者の不足の状況が示されていました。
根室市が今年春に実施したアンケート調査結果のうち特徴的な内容について何点か紹介したいと思います。
職員数の「不足」が拡大
事業所に対するアンケートでは職員が計57名が不足していると回答。
回答した事業所数が多かった3年前の調査(34名不足)よりも増加しています。
特にヘルパーは13名の不足で、ニーズに追いついていない状況が伺えます。
介護職員の側も高齢化している
アンケート調査に回答した32事業所で働く正職員数は239名。
そのうち40歳未満は全体の32・3%に過ぎません。
また60歳代の職員も13・8%になります。
なお40歳未満のケアマネージャーは1名のみでした。
また正規職員以外の職員の内訳では70歳以上の方は全体数196名のうち27名(13・7%)が就労しています。
この年齢構成は3年前の調査に無い項目のため比較出来ませんが、介護職員側の高齢化がさらに進んでいるのではないかと想像しています。
若い世代が介護現場に参入していける状況を作らなければ、いま働いている職員が定年等でリタイアした後は人手不足がさらに深刻になります。
市内で不足しているサービス
またアンケートでは市内で不足している在宅介護サービスについて、訪問入浴、訪問介護、短期入所生活介護が上位を占めます。
これは前回調査と同様の結果ですが実態は深刻化しています。
訪問入浴は利用休止が続き、ヘルパーは新規利用が大変に困難です。
またショートステイも現在受け入れ可能な施設は一事業所だけです。
そのほか医療系サービスは、訪問看護、訪問リハビリ、訪問診療について前回調査と同様に高い水準で不足していると回答されています。
地域包括ケアシステムが提唱されてから随分と経ちますが、在宅医療を提供する基盤は依然として全般的に少ない地域事情を反映しているものと思います。
在宅の介護者の状況について
「介護の社会化」と言いますが、日本の介護保険制度は、在宅では家族等による介護が前提になっています。
今回の調査でも約半数の要介護者は、ほぼ毎日家族等からの介護を受けています。
また主な介護者が70代・80代の世帯は全体の36・6%です。
老老介護や認認介護(※)の状況が推測されると、今回の調査結果と前回の調査でも指摘されています。
さらに家族が遠方にいる要介護者では介護力が不十分になるという回答も多くありました。
地域で安心・安全な在宅生活を送るためには、サービス提供体制の充実が欠かせません。
自治体と各事業所のより一層の取り組みは重要ですが、その大本である国の介護保険制度を抜本的に改善しなければ、私たちの暮らしが立ち行かないことは明らかです。
11月11日の「介護の日」にあわせて一週間の間、毎朝、道東勤医協ねむろ医院の職員さん方が、「介護保険制度の抜本的な改善を求める」アピール行動を行いました。
それぞれ「人手不足は深刻です」「介護の仕事をして根室の介護を支えませんか」等のプラカードを手に街頭に立ち、通勤・通学する市民らにアピールしていました。
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