2023年3月10日
根室市議会2月定例月議会で一般質問を行いました
その質問内容と答弁を要約してお知らせします
1.(仮称)立地適正化計画について
(1)計画策定の目的や効果について
【質問】 令和5年度市政方針で「様々な都市機能と都市全域を見渡した市町村マスタープランとして位置付けられる『(仮称)立地適正化計画』の策定」を進めると表明。
立地適正化計画について、簡潔に言えば、将来的に人口は減少しつづけ、産業や経済も縮小する社会で、財政面を含めた行政サイドの効率化を進めるために、居住地域や施設の立地を中心部等に政策的に誘導していく。そうやって市街地や都市機能を「縮小」させていく、コンパクトにすることを目的にした計画。
しかし根室市の市街地は基本的にコンパクトな「まち」であり、また無秩序に居住地域や商業施設等が郊外にどんどん広がっているとも思えない。
本計画は都市再生特別措置法に位置付けられ、市町村が任意で策定するもので、根室市として計画を策定する目的やその効果を伺う。
【市長 答弁】 2014年に都市再生特別措置法の一部が改正され、「立地適正化計画」が創設。2017年の経済財政諮問会議で2015年から2030年までに人口が2割以上減少する約500自治体のうち都市計画区域を有するものは本計画を策定するよう提言された。根室市でも国交省と北海道開発局と協議を行い、計画を策定することとした。
本計画は都市計画マスタープランの高度化版として策定するもの。内容は都市計画区域内で居住誘導区域および都市機能誘導区域に関する施策や医療、福祉、教育などの各種施設との連携、都市防災の充実など持続可能な都市づくりを目指すもの。
現在の人口減少や高齢化社会に対応し、誰もが住み慣れた地域で安心して快適な生活をおくることが出来る環境づくりに寄与するよう長期的な視点で進める。
(2)策定のスケジュールと市民意見の反映について
【質問】 都市計画マスタープランについて、立地適正化計画の策定後に何らかの変更が実施されるのかどうか。
また現在策定がすすめられている「グランドデザイン」や「地域公共交通計画」等では、市民との懇談を重ねながら取り組まれてきたが、立地適正化計画でも同様に、市民意見の反映は重要な課題であり、今後の策定過程においてどのように取り組んでいくのか。
これらを踏まえ、今後の(仮称)立地適正化計画の策定までのスケジュールを伺う。
【市長 答弁】 都市計画マスタープランの変更は令和7年度より見直しを予定。立地適正化計画や次期の総合計画、地域公共交通計画、津波防災地域づくり推進計画など様々な計画との整合性を図りながら進める。
市民の関りでは、これまでの市民意識調査等を活用し、不足する部分も可能な限り市民意見の把握に努め実効性のある計画策定に取り組む。
立地適正化計画の策定のスケジュールは令和5年度から2か年をかける。
【再質問】 このタイミングで根室市が今回、計画策定にいたった主な要因は何か?
また計画推進のために国等の財政措置など支援制度が設けられていると聞くが、今後、市が公共施設等の整備を進めるにあたりどのような効果を期待しているか?
【市建設水道部長 答弁】 2017年の経済財政諮問会議による提言を踏まえ、国交省から5年以内を目途に策定するよう働きかけが行われた。当市では、次期総合計画が2023年度から策定が始まり、それとの整合性を図りながら2025年からはじまる都市計画マスタープランの見直しまでに策定する、とした。
立地適正化計画は都市計画区域内で、各施設の連携や財政コストの低減化など、効率的なまちづくりを形成することを目的にしている。その手法として「コンパクトシティ」の形成が出されているが、内容として長期的なスパンで実施するものと考えている。
また財政支援として、集約都市形成支援事業などコンパクトシティの形成に向けた様々な支援制度があり、計画策定により事業がある程度明確になった上で、これらの制度が活用できる。
【意見として】
災害対策との関連。経済財政諮問会議の『新経済・財政再生計画 改革行程表2022』では、「災害ハザードエリアを居住誘導区域から除外することを徹底」とある。根室市の市街地でも津波などの災害の危険性のある地域(花咲港、緑町、弥生町など)は、津波災害警戒区域になっている。立地適正化計画でいう「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」との整合性でどうなるのか。まず第一の疑問点。
特に今の都市計画マスタープランでは、根室港周辺は根室市において都心部と表現されている地域なので、そこが誘導区域から外される場合になれば、これまでののまちづくりのあり方と大きく変わるのか?
それとも今、「津波防災地域づくり推進計画」を策定しているが、その内容が立地適正化計画にも反映されるので、災害対策をがっちり進めることで、(津波災害警戒区域も)誘導区域にすることが出来るのか?
区域の指定では、居住や営業する住民との意見交換をすすめる必要がある。
また立地適正化計画では「誘導区域」に住居や施設を誘導するためのソフト事業をたてる。各自治体で独自の制度を実施している。例えば函館市は若い世代に対して家賃補助や、室蘭市では空き家等の解体・リフォーム等の補助を行っている。
どういったことを根室市で実施するのかは、これから考えることだが、(次期)総合計画の策定を合わせて全庁的な連携が必要。大変な計画。
一番の懸念は、計画区域の全てを「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」とすることは出来ないため、誘導区域から外れる区域が出てくる。その場合、除外された区域の過疎化がさらに進むのではないか。そこで除外された地域の「コミュニティ」をどのように維持していくのか、まちづくり全体のなかで考える必要がある。
国の交付金や補助金をはじめとした有利な財政面から有効に活用できるものは活用することは必要。
一方で策定にあたっては、まちづくりのビジョンを市民と共有しながら進めること。
また人口減少や財政的な観点からのみの観点で、公共施設等の統廃合が急激にすすめられることの無いよう求める。