2021年2月19日金曜日

低気圧の被害とコロナ禍の中での避難について

2月13日の福島県沖を震源とする地震から1週間が経ちました
被災された皆様に心からお見舞い申し上げます

その後、15日〜17日にかけて大型低気圧が北海道をはじめとした各地を襲い、根室市でも2014年以来の高潮への警戒が高まりました
根室市はこのほど、その被害状況をまとめました
16日の最低海面気圧は4:32に947hPaで、市によると統計開始からの最低を更新。
また最大風速も2:00に23.9m(最大瞬間風速35.5m)で統計上では2月における最大値を更新したそうです。
住宅や水産加工場などの屋根の剥離や学校のガラスや物置の破損など78件の被害が報告されています。
早朝に潮位ピークが予想されていたためか、15日の早い段階で「避難準備・高齢者等避難開始」を発令。
16:00の市図書館をはじめ、沿岸地域の避難所などを開設し、ピーク避難者は12世帯18名と報告されています。

根室市としては、コロナ禍における避難所の運営は初めての経験になりました
避難所の図書館では、間仕切りと段ボールベッドを設置。消毒液をはじめとした感染予防の対策を実施しました
市総務課によると、避難所の開設にむけて準備する時間が比較的あったため、担当者の打ち合わせや余裕をもった準備をすすめることが出来た、と言います
現在、実際に現場を担当された職員等へアンケートなどを行っており、今後のさらなる対策向上につなげていきたいとしています。

感染対策のためには避難者の「距離」をとる必要があるため、間仕切りや屋内テントなどを設置することによって、避難所の収容人数は従来の想定よりも限られてきます
今回も図書館に入ることが出来なかった避難者は、市文化会館に移動する形になりました
より大規模、広範囲の災害が発生し、避難者が多くなったときにどのような対応となるのか
現状、指定されている市内の避難所で、実際に収容可能な人数はどの程度なのか。
このコロナ禍でそうした避難所の課題もふくめて、在宅での避難や分散避難が多くなってきたと思いますが、そうした避難者の情報をどのように把握し、集約していくのか。
必要な支援のあり方について、全般的にさらなる検討が必要になってくるものと思います

独居高齢者の安否確認について、市役所の高齢福祉課では名簿をもとに、対象となる区域の世帯に電話確認をしています
今回は30世帯前後が対象だったそうです。中には自力での避難が困難なため、市職員が送迎をしたケースもあったそうです
そうした取り組みは大変に良いことと思いますが、対象が多くなった時にやはり行政だけの「手」では足りずに、地域との連携のあり方が引き続き大きな課題と思います
特に市の「避難行動要支援者」への登録は昨年8月時点で51名であり、個別計画の策定も4名に留まっています
すぐに解決できる課題ではありませんが、地域や介護福祉の専門職らと一体となった検討の促進が必要です
根室港。沿岸氷にまるで「蓋」をされているかのように穏やかな様子に見えました
図書館の会議室に設けられた避難スペース段ボールベッドと間仕切り。
根室市では初めての使用?

2021年2月10日水曜日

売上が30%以上減少した事業所が7割

根室市商工会議所が、飲食接客分科会員の15事業所を対象に1月下旬に聞き取り調査を行い、その結果をもとに根室市と意見交換を行ったことが先日、新聞などで報道されていました。
 
1月初めから市内で感染が相次いで発生しましたが、この調査結果によると、その影響を全ての事業者が受けていることが報告されています。
来店客が激減し、売り上げでは73%の事業者が3割以上の売り上げ減少となっており、中には90%減少という回答もあるなど深刻な状況が見えます。
また酒小売店や精肉卸売りなど関連する業者にも影響が及んでいることも回答されていました。

根室市では、昨年春先に家賃補助などの直接支援策を講じた後は、プレミアム付き商品券等を有効に活用できるように、各事業者による独自のチラシ作成やキャンペーン事業を補助する集客回復に向けた支援対策を進めてきました。
ただし、この事業は1月末時点で予算の3割程の実施に留まっています。

いずれにしても現時点では、集客回復がすぐに望めず、現状をしのぐ為には、助成金等直接支援や家賃など固定経費への支援が求められています。
根室市は「緊急経済対策展開計画」にもとづき3月議会の補正予算で、緊急的な対策を講じることを表明しています。

根室市の今年度の生活保護の動向は?

菅首相は国会の予算委員会で、コロナで生活困窮する世帯への支援についての質問に、「最終的には生活保護」と答弁し、世論の反発を受けていました。
しかし生活保護は、憲法に規定された最後の砦です。
それなのに何故、首相の言葉にこれほど多くの批判の声が上がったのでしょうか?

その理由の一つには多くの識者の方々が指摘したように、生活保護を「恥」と考える国民性によるものがあると思います。
何の記事で読んだのか出展は思い出せませんが、「生活保護に至らないよう対策をとるのが政治の役目でないか」という主張等も言われていました。

また日本共産党の小池晃参議院議員が質疑したように、扶養義務者への照会が、「親族に知られたくない」という申請者への抑圧となっていた側面も大きいと思います。
保護を受けたくても、受けられない。
その意味で「照会は義務で無い」と国会で答弁されたことは大きな前進であり、今後不必要な照会は廃止していくべきと考えます。
 
ただ根本的には、保護基準が低すぎることが大きな問題と思います。
特に根室市のような「三級地」では、都会と比較して保護額がとても低く、生活が苦しくても、基準に該当しないケースが多々あります。
都会と根室で必要な生活費にそれほど大きな違いは無いと思いますが…。

また例えば根室の独居高齢者の場合、冬場の保護費は約8万円弱です。
収入が国民年金だけの方は、保護の対象になる方が大部分と思います。
しかし申請時の現金・預貯金を併せて「保護費の半分(2週間程度を暮らせる分)の金額まで減らさないと、保護申請が却下となることもあります。
さらに車の所有についても原則認められていません。

このように様々なハードルがあって、ただでさえ難しいのに、政府は社会保障を抑制するために保護基準を連続して引き下げてきました。
このように国民が生活保護を受けたくても、簡単には受けられない状況に追い込んでおきながら、コロナに苦しむ方々への支援を控えるために、「生活保護を受ければ良いだろう」という首相の無責任な答弁に対して、本当に怒りを覚えます。

根室市の生活保護の状況は?

市社会福祉課さんから頂いた資料によると、根室市は今年度の生活保護の相談件数が大きく伸びています。
長引く漁業不振による経済状況の低迷と高齢化の進行により、市民生活が大変な状況となっているのではないかと懸念されます。
特に10月以降の相談件数が大きく伸びています。
またコロナの影響による相談も、今年度は7件あるそうです。

しかし、実際に保護開始になった件数は横ばいのまま推移しています。
具体的な相談内容までは聞いていません。
ただ私としては、おそらく前述のように様々なハードルがあり、申請に至らなかったものと想像しています。
市民生活の悪化に、国の生活保護制度が応えきれていない状況では無いかと大変に危惧します。
生活保護も医療も介護も社会保障の抜本的な改善が今こそ必要と考えます。
根室市社会福祉課の資料をグラフにしたものです。
2020年度は1月末までの累計です。