2020年7月13日月曜日

第8期介護保険事業計画 事業所調査の結果

根室市は2021年度から2023年度の第8期介護保険事業計画の策定にむけて、市内事業所に対して現状や課題を把握するためのアンケート調査を実施しました。あらためて根室市内でも、介護サービスもそれを支える介護職員等も不足している状況が浮き彫りになりました。調査結果は6月25日に開催された「介護保険事業計画運営委員会」で報告されました。

アンケートに回答のあった市内の35事業所で働く職員518名のうち、約半数の248名(47.9%)が非正規職員です。
やはり介護職員・看護職員の不足は深刻な状況で、事業所の運営上の課題として、従業員の確保が課題であると答える事業所が57.1%になっています。また3割以上の事業所が「職員数が常に足りていない」と回答しています。

市内で不足している在宅サービスでは、訪問入浴・ショートステイ・訪問介護が不足しているという回答が圧倒的に多いです。医療系ではやはり訪問看護と訪問リハビリテーションが不足していると回答されています。

また、ほとんどの事業所で家族による介護力が不十分であると回答しており、その理由として老々介護や家族が遠方に暮らしていることを挙げています。独居・高齢者世帯が急増している状況を反映しているものと思います。
介護保険以外の「生活支援」や「見守り・安否確認」のサービスが不足していると回答されています。高齢で、ひとりで、身体が不自由になってきたときに、残念ながら根室市では安心して暮らし続けることが難しい状況にあるを示しているものと思います。

介護保険スタート当初から見て、この根室市でも介護現場で働く方々は多くなっています。しかし事業所数が増えていますので、それに見合う人員体制を確保することが大変に困難な状況です。ましてや人口減少により、特に地方都市では多くの業種・業態で「労働力不足」が生じています。
「昔より介護事業所は増えた」と言っても、このアンケート調査から見られるように、まだ市内サービスは不足しているのが実態です。それにもかかわらず、介護人員を確保することが難しいため、昨年は市内でも休止となる事業所が出ています。

根室市長は今年3月定例月議会の「施政方針」で「介護サービス事業者間の連携会議を組織 するなど、人材不足の解消に努め」るとしています。介護事業所等が置かれている困難な状況は、各事業所が独自に努力するだけで解決を図ることは困難であり、各事業所がそれぞれの「強み」を活かしながら、共同した取り組みを行い、その取り組みを市行政がそれを全面的に支援していく必要があります。

もっとも大本となる国の社会保障を変えさせていかなければ、根室市だけが、民間事業者だけが、努力するだけで解決することは出来ません
介護保険制度がスタートして20年。介護の専門化によって、求められる知識・技能は高度化し、その社会的な役割と責任は重大です。また今回の新型コロナウイルス感染対策のため、仕事でも私生活でも日々緊張した対応を強いられていたと思います。しかしその一方で、国の社会保障給付費の削減によって、介護報酬は削減され続けたため、働く介護職員の賃金等は低いまま置かれてきました。全国的な抗議の声によって、国は処遇改善の加算などを行ってきましたが不十分です。求められるケアにふさわしい水準にまで、抜本的に介護報酬を引き上げる必要があります。
一方で介護報酬の引き上げは、利用者負担増につながります。今年は低所得者の補足給付が見直され、自己負担額が引き上げられることになります。2割負担化などは見送られましたが、今後も検討課題とされています。年金収入だけで、これ以上の利用者負担増に耐えられない利用者が多くなるものと心配しています。
「介護報酬を引き下げ、自己負担額を引き上げる」というこれまでの政府の方向性をなんとしても変えさせ、安心・安全の介護・福祉社会をめざしていく必要があります

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