2019年3月15日~19日の日程で、根室市議会3月定例月議会の2019年度各事業・特別会計の予算審査特別委員会が開催されました。日本共産党からは橋本が出席しています。
各企業会計と特別会計の2019年度予算の中の特徴について、一部をご報告いたします。
【港湾事業会計】
港湾事業自体では、これまでしばらくの間、大きな建設投資がなかったこともあり、残っている企業債の償還もほぼ完了に近くなってきている状況です(2019年度予算で16,766千円計上)。また1997年度の根室港区のふ頭整備にかかる漁業補償事業に関する企業債の償還も2017年度で終了しています。収入の大宗を占める陸揚使用料収入がある程度安定することが出来れば、これからも毎年度、数千万円程度の利益を見込める状態といえます。
一方の花咲港工業団地の土地造成事業では、2018年度から販売実績がなく、有効利用という点では将来的な大きな課題がありますが、会計上は直接は大きな影響となっていません(毎年度、完成土地評価損を計上していますが、民間と異なり公営企業会計のため帳簿上のマイナスは実施質的な資金繰りへの影響は小さいものと私は考えています)。
根室港は重要港湾ですが、漁港的な性質の強い港湾とされています。したがって事業会計の健全化と同時に、水産都市・根室をしっかりと下支えするための港の機能整備が求められます。近年は全体的な漁獲が低下してきた状況であり、今後ますますそうした役割が求められます。今後の投資について、これまで老朽化してきた水産上屋の対応をどうしていくのかという課題がありました。
2019年度予算では「根室港区1号水産上屋改築基本設計委託」7,238千円が計上されました。築49年が経過する建物の老朽化対策と同時に、今後のホタテや養殖ベニザケの水揚げを見据えた「衛生管理型水産上屋」の施設整備とするため、関係団体との協議をすすめるそうです。
この施設が今後どの程度の投資額となるのか、また当然ながら根室港区・花咲港区あわせて7棟の上屋の整備が順次必要になっていくわけで、それらを見据えた中で、建設投資と港湾事業経営のバランスをしっかりと保っていくこと難しいかじ取りが求められているのではないでしょうか。
【水道事業会計】
今年度の水道料金が平均14.8%の引き上げとなりました。2019年度と前年度の当初予算対比では家事用で1億円以上の増収を見込んでいます。その分市民負担が増えるということであり、市民生活にも大きな影響があるものと思います。市では引き上げ幅を抑えるために単年度4,500万円以上の一般会計から財源を繰り入し、また減免制度の対象を生活保護基準の1.1倍に拡大しました(15%の減免)。
過疎化が進む地域にあって料金収入だけでは、水道施設の老朽化対策に充てる費用を賄うことが困難となっています。これは全国的な課題であり、命を守る観点から水道施設改修に必要な国の財源対策を拡充するべきですが、国はそうした願いとは反対に広域化と民間企業参入の促進ばかり進めようとしています。根室市は5年後に水道料金を再び見直す考えです。国の制度が抜本的に改善されなければ今後もさらに水道料金が上がり続ける恐れがあります。こうした点について、引き続き国へ強く要望していく必要があります。
【下水道事業会計】
2019年度からMICS事業の施設が稼働します。これまで「し尿処理場」で処理していた汲み取りの糞尿等を、いろいろな工程を経て最終的に下水終末処理場で共同処理できるようになるそうです。老朽化した「し尿処理場」の整備工事費用にこれまで多額の費用がかかっていましたが、総体で約4,000万円程度の負担軽減となるそうです。
【流通加工センター】
花咲加工団地の利用低迷と漁獲量の低下が続く中、加工場からの汚水処理施設の受け入れ水量は年々低下を続けています(2018年度は少し回復したが、受入れ水量は約9,000トンで10年前からみても1/3程度)。あわせて汚水処理施設そのものも老朽化しており、今後この施設のあり方をどうしていくのかが長年の課題となっています。市は2017年に再整備のための調査を委託し、その結果あらたな施設を増設する場合の整備費は概算で約4億6,200万円ほど見込まれるそうです。しかし一方で各工場がそれぞれ個別型浄化槽を設置する場合でも一機当たり5,000万円程度の経費を要し、かつ毎年メンテナンス費用が発生します。こうした状況をふまえ、市は今後については課題の洗い出しなど内部で検討していきたいとしていますが、その判断は大変に難しい問題です。委員会の中では本田議員から、そもそも花咲加工団地がこのままで良いのかどうか、将来的なあり方についてしっかりと市が方向性を示すべき、との意見を出されていました。
【病院事業会計】
市立根室病院では整形外科の常勤医不在などから厳しい医師体制がつづいています。それでも内科をはじめとした他の診療科が牽引して、市の説明によると2018年度では当初予算を上回る29億9,800万円の医業収益を見込んでいるそうです。病院各スタッフの皆さんの努力には敬意を表します。しかし一方で医業費用等も大きく伸びており、病院としての収支改善はまだ相当に厳しい状況です。
公営企業は決算数字は消費税抜き、予算の数字は税込という不可思議な法定ルールがあるので単純な比較はできません。しかし新病院建設から数年を経過して減価償却費が下がっているのに、医業収益を1億円伸ばしても、その倍以上も医業費用が膨らんでいることは緊急事態です。委託費をはじめとした諸費用に関する節減対策を講じる必要があります。
なお市立根室病院では、いわゆる「控除対象外消費税」は2017年度決算ベースで約106百万円にもなっているそうです。これが今年10月から消費税10%に増税された場合、荒い試算ですが1,300~1,400万円程度の負担増となる見込みとのことでした。消費税増によって地域医療にも、ますます大きな負担が圧し掛かることが懸念されます。
一方の花咲港工業団地の土地造成事業では、2018年度から販売実績がなく、有効利用という点では将来的な大きな課題がありますが、会計上は直接は大きな影響となっていません(毎年度、完成土地評価損を計上していますが、民間と異なり公営企業会計のため帳簿上のマイナスは実施質的な資金繰りへの影響は小さいものと私は考えています)。
根室港は重要港湾ですが、漁港的な性質の強い港湾とされています。したがって事業会計の健全化と同時に、水産都市・根室をしっかりと下支えするための港の機能整備が求められます。近年は全体的な漁獲が低下してきた状況であり、今後ますますそうした役割が求められます。今後の投資について、これまで老朽化してきた水産上屋の対応をどうしていくのかという課題がありました。
2019年度予算では「根室港区1号水産上屋改築基本設計委託」7,238千円が計上されました。築49年が経過する建物の老朽化対策と同時に、今後のホタテや養殖ベニザケの水揚げを見据えた「衛生管理型水産上屋」の施設整備とするため、関係団体との協議をすすめるそうです。
この施設が今後どの程度の投資額となるのか、また当然ながら根室港区・花咲港区あわせて7棟の上屋の整備が順次必要になっていくわけで、それらを見据えた中で、建設投資と港湾事業経営のバランスをしっかりと保っていくこと難しいかじ取りが求められているのではないでしょうか。
【水道事業会計】
今年度の水道料金が平均14.8%の引き上げとなりました。2019年度と前年度の当初予算対比では家事用で1億円以上の増収を見込んでいます。その分市民負担が増えるということであり、市民生活にも大きな影響があるものと思います。市では引き上げ幅を抑えるために単年度4,500万円以上の一般会計から財源を繰り入し、また減免制度の対象を生活保護基準の1.1倍に拡大しました(15%の減免)。
過疎化が進む地域にあって料金収入だけでは、水道施設の老朽化対策に充てる費用を賄うことが困難となっています。これは全国的な課題であり、命を守る観点から水道施設改修に必要な国の財源対策を拡充するべきですが、国はそうした願いとは反対に広域化と民間企業参入の促進ばかり進めようとしています。根室市は5年後に水道料金を再び見直す考えです。国の制度が抜本的に改善されなければ今後もさらに水道料金が上がり続ける恐れがあります。こうした点について、引き続き国へ強く要望していく必要があります。
【下水道事業会計】
2019年度からMICS事業の施設が稼働します。これまで「し尿処理場」で処理していた汲み取りの糞尿等を、いろいろな工程を経て最終的に下水終末処理場で共同処理できるようになるそうです。老朽化した「し尿処理場」の整備工事費用にこれまで多額の費用がかかっていましたが、総体で約4,000万円程度の負担軽減となるそうです。
【流通加工センター】
花咲加工団地の利用低迷と漁獲量の低下が続く中、加工場からの汚水処理施設の受け入れ水量は年々低下を続けています(2018年度は少し回復したが、受入れ水量は約9,000トンで10年前からみても1/3程度)。あわせて汚水処理施設そのものも老朽化しており、今後この施設のあり方をどうしていくのかが長年の課題となっています。市は2017年に再整備のための調査を委託し、その結果あらたな施設を増設する場合の整備費は概算で約4億6,200万円ほど見込まれるそうです。しかし一方で各工場がそれぞれ個別型浄化槽を設置する場合でも一機当たり5,000万円程度の経費を要し、かつ毎年メンテナンス費用が発生します。こうした状況をふまえ、市は今後については課題の洗い出しなど内部で検討していきたいとしていますが、その判断は大変に難しい問題です。委員会の中では本田議員から、そもそも花咲加工団地がこのままで良いのかどうか、将来的なあり方についてしっかりと市が方向性を示すべき、との意見を出されていました。
【病院事業会計】
市立根室病院では整形外科の常勤医不在などから厳しい医師体制がつづいています。それでも内科をはじめとした他の診療科が牽引して、市の説明によると2018年度では当初予算を上回る29億9,800万円の医業収益を見込んでいるそうです。病院各スタッフの皆さんの努力には敬意を表します。しかし一方で医業費用等も大きく伸びており、病院としての収支改善はまだ相当に厳しい状況です。
(千円) | 2015年度決算 | 2019年度予算 | 差 | |
医業収益 | 2,864,161 | → | 2,972,793 | 108,632 |
2015年度決算 | 2019年度予算 | 差 | ||
医業費用 | 4,370,189 | → | 4,633,689 | 263,500 |
うち給与費 | 2,244,799 | 2,467,112 | 222,313 | |
うち材料費 | 671,995 | 680,801 | 8,806 | |
うち経費 | 816,285 | 1,045,228 | 228,943 |
公営企業は決算数字は消費税抜き、予算の数字は税込という不可思議な法定ルールがあるので単純な比較はできません。しかし新病院建設から数年を経過して減価償却費が下がっているのに、医業収益を1億円伸ばしても、その倍以上も医業費用が膨らんでいることは緊急事態です。委託費をはじめとした諸費用に関する節減対策を講じる必要があります。
なお市立根室病院では、いわゆる「控除対象外消費税」は2017年度決算ベースで約106百万円にもなっているそうです。これが今年10月から消費税10%に増税された場合、荒い試算ですが1,300~1,400万円程度の負担増となる見込みとのことでした。消費税増によって地域医療にも、ますます大きな負担が圧し掛かることが懸念されます。
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