2018年4月30日月曜日

2018年度 根室市議会(一般会計)予算審査特別委員会 ②

根室市議会では3月16日~22日の4日間の日程で2018年度の一般会計予算審査特別委員会が開催されました。今回は橋本の質疑内容について、一部をご紹介します(その2)

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消防緊急デジタル無線設備 更新には多大な経費が…
 国の制度改正のため根室市では、国の補助を活用し2014年度に3億9,270万円をかけ、消防・救急無線をデジタル化しました。それから耐用年数5年以上を経過した一部の機器の更新を今年度に実施します。
それは必要なのですが、実はまた5年後(つまり導入から10年後)はさらに大幅な機器の更新が必要で、その費用が多額で概算3億7,000万円程度と見込まれています。
小規模の市町村にとって大きな負担です。
将来的には市の防災無線についてもデジタルへの対応が必要とされており、さらに負担が大きくなることも懸念されます。
消防・救急無線のデジタル化は、いわば国策により導入を強制されたものであり、機器の更新経費がこれほど多額になるのなら、国に対して何らかの対策を求めていく必要があると考えます。

がん検診の受診率向上にむけて
 がん検診の受診率は諸外国に比べて低く、政府は「がん対策推進基本計画」により、2016年度までに50%に引き上げることを目標に掲げていましたが、達成されませんでした。そして残念ながら根室市は、さらに低い受診率となっています。

がん検診の受診率 4020)歳~69
(%)
全国
北海道
根室市
胃がん
40.9
36.7
7.5
大腸がん
41.4
36.6
7.5
肺がん
46.2
39.1
8.8
乳がん
36.9
30.9
19.2
子宮頸がん
33.7
30.9
24.7
根室市の数値は2016年度の実績(保健課)。
全国・北海道の数値は2016年国民生活基礎調査。乳がん子宮がんは過去1年の数値。

 市は2017年度に「健康まつり」で大腸がん検診キットを配布したり、またバスで釧路市の健診施設に行き、各種がん検診と特定健診を一度に受検できる女性を対象とした「レディース健診」など、新たな試みを行ってきました。特にレディース健診はほぼ定員になるほど好評で、今年度も継続されるそうです。
 根室市民があまり「がん検診」をうけない理由は「時間が無い」「健康に自信がある」など全国的に共通した傾向です
その他に地域的に特別な傾向もあるのかもしれませんが、いずれにしろ今後はアンケート実施をはじめとした受診者の分析をすすめる必要があります。
また、全国的にすぐれた事例を学びながら、検診をうける対象の中でも特にどのような階層の人に、どのような形で「接近」していくことが効果的なのか、案内パンフレット等をさらに工夫するなど手法についても、また新たに研究をしていくことも重要と思います。

市内の小・中学校の統廃合 市民的な議論には充分な情報を
 昨年から市教育委員会は市街地の中学校の配置について「今年度、最終的に判断」するとしています。
昨年はPTAや地域の方々に状況の説明と意見を聞く取り組みをすすめてきました。
この問題については、例えば地域コミュニティの中核としての学校施設の役割など、市議会でも繰り返し議論されてきました。

 しかし、これだけ重要な課題であり、市行政としては「最終的な判断」に向けて、より詳しいデータを示しながら、様々な角度からの検討が必要ではないでしょうか。
 例えば、市教委の説明では、中学校は最低でも1校につき9学級が必要と言います。2020年の生徒数の推計では、市街地を2校にしても9学級を維持することが難しい、としています。
 それでは、仮に2校で9学級を維持できるよう、市が独自に教職員を配置して学級を増やすとしたら、市の財源はどれほど必要になるのか。それは実現可能なのかどうか、という点も含め、総合的に検証が必要と考えます。
 また市民から懸念の声が多く挙げられている通学距離が延びる問題ですが、市教委は、高校生がバス等で通学しているから、スクールバスを出さなくても中学生も通学可能と言います。
 部活動への参加時間をふくめ、民間事業者のバス路線が本当に対応可能なのかどうか、という点。また市の遠距離通学費補助(交通費等の補助制度)は、中学生は6㎞以上(5㎞以上で半額)を対象としていますが、その基準のままで良いのか。さらにスクールバスを運行するとしたら、どのくらいの経費がかかるのか。など、具体的なデータを議会や広く市民に分かり易い形で示しながら、議論すべきと考えます。

「ふまねっとサポーター」 この3年間で74名を要請
 高齢者の歩行機能や認知機能の改善効果に期待が高く、各地で介護予防などに取り入れられている「ふまねっと運動」。
 このふまねっと運動を一般地域住民に安全に正しく指導するための「サポーター」を要請する講習会を、市教委は2015年度から3年間実施し、市内で74名の方が資格取得しました。資格取得された方の一部は町内会など各地域で、ふまねっとを通じた介護予防活動をすすめているそうです。
 このように地域で活動出来る方々の「すそ野」をより広げていくための行政として取り組みは、今後とも大切と思います。
 市教委によると、今年度はサポーターのレベルアップをはかるフォローアップ研修を行い、サポーター要請研修と隔年で交互に開催していく予定とのことでした。

2018年度 根室市議会(一般会計)予算審査特別委員会 ①

根室市議会では3月16日~22日の4日間の日程で2018年度の一般会計予算審査特別委員会が開催されました
今回は橋本の質疑内容について、ごく一部ですがご紹介します。

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「北方領土資料館」と「望郷の家」 今後の整備について
 納沙布岬の旧観光物産センターを改装した「北方領土資料館」は、2016年12月の開設以来、今年2月までに約18,000人が来場しているとのことでした
 しかし施設の外壁などはリニューアル時点では本格的に整備されておらず老朽化しています。啓発や観光の施設としてやはり入りたいと思わせるよう「見た目」が重要なので、その整備について求めました。副市長は北方基金の原資取り崩しを財源として、来年度以降そういった部分の整備についても検討していきたいとしています。
 また内部の元島民の生活の様子をあらわす展示物の充実や、館内スクリーンで流す映像資料などについても現在の四島の状況などもわかるような新しい映像を報道機関などとも協力しながら、更新していくよう求めました。
 また北方館とつながっている「望郷の家」も現在は市の管理ですが、築45年が経過する中で、屋根や外壁の痛みが激しくなってきており、早急に改修が必要とされています。現在その整備について国や北対協と相談しながら対応しているところとのことでした。
 報道では国は啓発の一環として「北方領土を目で見る学習」など就学旅行等の誘致をさらに拡大していきたい考えだそうですが、現地としても、修学旅行や観光客を迎えるに相応しい施設等の環境整備やメニューの充実を図っていく必要があると思います。

北方領土資料館‐安全性に問題は無いそうだが、
外壁が黒ずんで汚れているなど古く傷んでいる様子

落石保育所と厚床保育所が通年開所に
 これまで季節保育所だった落石保育所と厚床保育所が今年から通年で開設されるようになります。また落石保育所は地域会館の落石ふるさと館と一体となり、3月末に工事が終わり、4月から新しい建物で子ども達を迎えます。
 現在は行っていない3歳児未満の子ども達の受け入れは、保育士や調理員などの体制が整い次第(次年度以降か?)開始されるそうです。
 自園調理が開始されると調理上設備をもたない保育所なので、落石も厚床も併設する地域会館の調理上を使う形となります。特に厚床会館は葬儀などで利用されることが多いそうで、そのような場合は園児は弁当の対応となるそうです。
 人口減少にあって財政削減の観点から全国的に公共施設の複合化が進められてきています。今回のように地域会館と保育所の複合化は根室市では初めてのケースです。先ほどの調理場や屋内運動場(集会所)の利用など、今後も地域会館を利用される地域の方々と丁寧な話し合いを重ねながら、地域にとっても、子ども達にとってもより良い活用のあり方を模索し続ける必要があります。

独居高齢者の除雪サービスのこと
 これまで行ってきたひとり暮らし高齢者の除雪サービスですが、登録者の増加しつづけており、高齢者事業団など担い手の不足から、吹雪の翌日は市の職員が総出で除雪に回って歩いていました。
 しかし、その対応にも限界が生じてきており、根室市は今年の冬に市内に家族がいる方については除雪サービスの登録から除外する対応を取りました。
 その結果、登録者数は2016年度371件に対し、2017年度269件と100件以上減少しています。
 サービスの対象外とされた方がどうしているのか、大雪のたびに何件か知っているお宅を訪問しました。隣近所で助けてもらっているお宅や、曲がった腰で一生懸命ご自分で除雪するお宅など対応は様々でした。前回の「市民の声・ちまたのニュース」で紹介されたように、3日間閉じ込められたお宅もあったそうです。
 高齢者は状態の変化が起こりやすく、たとえ先週大丈夫だったとしても、動けなくなっていることもあります。
 いざというときに「SOS」を発信できるようにする必要があります。市は登録を除外しても、困った時は高齢者福祉課に連絡してほしいと呼びかけていますが、そうした周知をさらに徹底する必要があると思います。

コマイなど沿岸魚種の資源確保
 これまで根室市は10万t前後の水揚げがありましたが、ロシア海域でのサケマス流し網禁止などにより2016年は65,000t、2017年度はサンマや秋サケをはじめ様々な魚種の不漁から6万tを下回る状況となり、水産加工をはじめとして地域経済に大きな影響を与えています。市はこれまでに策定した沿岸漁業振興計画、沿岸漁業資源利活用ビジョンにもとづき、新たなホタテ漁場の造成と先日行われた稚貝放流、また新たな栽培漁業センターの建設など国や道の支援を受けながら、漁協と協力して沿岸資源の増大対策に取り組んでいます。また今年度はベニザケ養殖の研究も取り組まれます。
 ただし、これだけ総合的に水揚げが減少している中で、さらなる対策が求められるものと思います。
 特にコマイなど沿岸の魚類は、地域経済を支える小規模の加工業者にとっても重要な魚種だそうです。しかし2012年に約4,034t漁獲されたコマイは、2017年は約1,600t程度と、近年水揚げ量が低迷を続けています。今年2月までの水揚げ量も前年よりさらに7割減少しているとのことでした。
今後、こういった沿岸の魚類への資源確保のために、種苗放流など対策を質問しました。市は研究者によると、コマイは最も予測が難しい魚の一つと言われているが、こうした沿岸魚種の研究についても他の対策とあわせて国に要請していきたいとしています。
先日、歯舞で捕獲された珍しい「ビワアンコウ」