2016年5月1日日曜日

根室管内の必要病床数 ~2025年の推計値~

2016年5月1日

 2016年4月15日、「根室区域地域医療構想」が取りまとめられ、10年後2025年の根室管内(1市4町)の必要な入院ベッド数を、現状から90床削減した497床とすることが示されました

 今後、根室市と4町にある自治体病院と民間病院は、この「必要病床数」に近づけていくよう、病床の転換やベッド削減の努力が迫られていきます
 
急性期をギリギリの数値に見積もり、
さらに慢性期の患者さんを在宅へ戻す内容に

 根室区域地域医療構想で示された数字は以下の通りです。

区 分   2015年 2025年
高度急性期  -床 20床 +20床
急 性 期 345床 97床 -248床
回 復 期  -床 236床 +236床
慢 性 期 189床 144床 -45床
≪休棟中≫ 53床  -床 -53床
 合 計 587床 497床 -90床
※2015年数字は各病院が自主的に選択して報告した「病床機能報告制度」結果。このうち町立中標津病院の53床は休床中としている。

 (高度急性期・休棟中を含め)急性期のベッドを1/3に減らして、回復期に大幅に転換させ、さらに慢性期のベッドも減らす内容になっています

 急性期を過ぎた患者さんやリハビリが必要な患者の受け入れ先として地域包括ケア病床などは地域で不足していますので、それを増やすことは必要だと思います
 ただしその一方で急性期のベッド数の推計は、過去の入院実績を10年後の人口推計に掛け合わせた機械的な算定です
 そもそも現在一部休床している病院も、医師や看護師など医療従事者が不足し体制が整わないために、入院患者の受け入れが出来ないのが大きな要因です
 また慢性期についても、国が示したガイドラインにもとづき療養病床の医療依存度が比較的低い区分の患者さんの7割を在宅に移行させることを想定しています
 地域の将来的な医療ニーズを十分に反映しているかどうか、疑問が残ります

今後は、地域ごとに住民や関係機関・行政と十分な検討を進めていく必要があるのでは?
 
 今後調整会議などを通じて各医療機関は、この推計値に近づけるように対応していくことが求められています
 北海道の権限として自治体病院に対し、そうするように「命令」をすることが出来ます

 しかし地域に不足する医師や看護師などの医療従事者の体制をどのように充実させていくか、その具体策は不十分なままです
 また、特に根室市では療養病床がなく、医療管理が必要な患者さんを長期に受け入れる施設がない状況をどうしていくのか、引き続き大きな問題です
 これだけ高齢化が進む中で慢性期の患者を在宅に戻すためには、その受け皿となる在宅医療と介護サービスを充実させる必要があります
 自治体病院とプライマリケアを担う民間の医療機関を維持し、また訪問診療や訪問看護の体制も一層充実させていくことが必要です
 また根室市内の介護施設で働く看護師が不足している深刻な状況を改善していくための地域的な取り組みも必要です
 在宅医療と介護の受け皿がしっかりしない中で、入院ベッドだけを減らしたのでは、医療や介護を必要とする地域住民の生活が成り立ちません
 
 地域ごとの医療のあり方、まちづくりをどうしていくのかは、最終的に住民自身が考えていくべき問題と思います
 北海道や自治体は住民に対して十分な説明や意見交流をおこなう場を積極的につくり、自治体としての地域医療の今後の方向性を取りまとめていくことが必要だと思います
 また北海道には、それぞれ地域の事情を十分に踏まえ、医療構想で示した数字を単純に医療機関に強要することなく、自治体と一緒に医療従事者や地域医療体制の充実のための取り組みを進めていくことを期待します

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