2019年11月12日火曜日

北海道市議会議長会道東支部 議員研修会

2019年11月12日
11月12日、北海道市議会議長会道東支部の議員研修会が帯広市で開催され、根室市議会など道東6市の各議員が参加。
「十勝をアウトドアの聖地に」というテーマで、株式会社デスティネーション十勝の代表取締役社長の河合秀明氏が講演を行いました。
株式会社デスティネーション十勝は、アウトドア用品メーカー「スノーピーク」の子会社として、電通や帯広市などの出資のもとに、2017年に設立されました。
講演された河合氏もスノーピークからの出向で、今年6月に代表取締役社長に就任されたそうです。
十勝の雄大な自然を活用して日本のキャンプ人口の拡大を図りながら、スノーピーク社のアウトドア用品の販売拡充と事業拡大を進め、また地元の帯広・十勝管内としてはキャンプやアウトドア観光の部分でのPRと十勝への集客を図ることを目指しているようです。
2018年に当初目的である日本版DMOに登録されています。
グランピングツアーなどのキャンプとアウトドア旅行業に軸足をおいて、レンタル、コンサルティング(学習塾のキャンプ合宿やキャンプ場でビジネス会議を実施した事例を紹介していた)や物販などを手掛けています。
講演では、温泉宿めぐりの道東周遊観光とアウトドアのアクティビティを組み合わせたツアー商品等を事例紹介していました。これは3泊4日でひとり単価が約30万~40万円と、主に(海外の)富裕層をターゲットにしています。
地元の魅力をどのように掘り起こし、かつ発信していくかという点で参考となる講演でした。

2019年11月10日日曜日

シンポジウム「北方四島専門家交流の成果とその役割と課題」

2019年11月9日
北海道博物館と根室市教育委員会が主催するシンポジウム「北方四島専門家交流の成果とその役割と課題」が北方四島交流センターニホロで開催され、市民や管内各地から多くの方が参加されていました。

四島とのビザなし交流で専門家交流として参加してきた「動植物・生態」「地震・火山」「歴史・文化」の3分野の研究者等が、これまでの研究の概要や成果、そして専門家交流の現状とこれからの課題等について、それぞれの見地から報告や議論されていました。
四島は世界でも有数の生物多様性のある自然環境であること、先史時代から含めて貴重な史跡が数多く埋もれていること、千島海溝の地震津波予測のため四島でのさらなる調査が必要なことなど、専門家の解説を通じて、あらためて学ぶ機会となりました。

また同時に、それぞれの研究者が抱えている課題についても切実に語られていました。
それら課題の多くは、領土問題が未解決なため生じています。
限られた日程しか四島側に渡れず、十分な時間をかけて調査することができない。
ビザなし訪問では持ち込み機材の重量がひとり50㎏までに制限されている。
衛星携帯電話を持ち込めないので連絡手段の確保が困難。
また津波堆積物の地質調査などで現地で採取したサンプルを持ち帰って分析調査をすることができない・・・
などの研究者が直面しているさまざまな課題を報告されていました。

四島の開発が進む中で、豊かな自然環境や歴史文化を伝える貴重な史跡などが、壊されたり変わっていくおそれがあることが懸念されています。
報告した専門家の方は保存や記録をしっかりと進めていく大切さと、そのためには、現状の様々な課題解決にむけて、政府の強力なバックアップが必要であることを訴えていました。
また、こうした専門家側からの情報発信を今まで以上に充実させ、国民の理解促進を図るためにも、千島列島全般にかかわる自然や歴史・文化など様々な情報を一元的に研究や情報公開することのできる拠点施設を、国が主導して作る必要性について、論議されていました。
この博物館的な拠点施設は、昨年行われたシンポジウムでも同様の見解が示されていました。
あらためて北海道や隣接地域でもその必要性を検証し、政府に対して実現を求めていくべきではないでしょうか。
  
またこの他に別なコメンテーターの方は、墓参や自由訪問に専門家が同行して、参加者と研究者が相互に情報共有することが大切と指摘しました。
さらに四島に現在52か所ある日本人墓地のうち22か所しか場所が特定できていない状態であることを報告。30か所2323人の墓地がわからないままです。
過去に調査を実施したことがあるが、元島民が高齢化する中、今こそ墓地を特定する大規模な調査を行わなければならない、と訴えました。

安倍首相はプーチン大統領と通算27回も首脳会談をおこなってきたと宣伝しています。
しかし頻繁な首脳会談と逆行するように、対ロシア漁業や四島交流事業で様々な問題が起きています。
このシンポジウムで議論されていたような課題も含め、専門家による日ロの共同調査研究や四島交流が円滑に前進するように、首脳会談レベルでも課題解決に向けた方策をしっかりと協議していくべきではないでしょうか