2015年11月11日水曜日

根室市議会 産業経済常任委員会

2015年10月26日

 根室市議会産業経済常任委員会(遠藤輝宣委員長)は、市内のシカ肉加工販売業の有限会社「ユック」を視察しました。
 その後、現在根室市で進められている「中小企業振興基本条例」の改定や新たに策定する「産業振興ビジョン」と「エネルギービジョン」の概要、そして水道料金の収納などの管理業務を外部委託することについて、市の担当課から説明をうけました。

養鹿場(ようろくじょう)を倍に拡張 有限会社「ユック」
 エゾシカの食肉加工業を営む「ユック」は冬場の捕獲率が増加していることから、今年度、西和田にある養鹿施設を、国有林を借用するなどして既存15㌶から倍の30㌶に拡大しました。
これにより養鹿頭数も倍の200頭に拡大されるそうです。

 同社では冬に囲いワナで捕獲したエゾシカを12月の出荷まで施設内で飼育します。
 今回拡充した利用地のうち海側の社有地では草地改良を行っており、見た目はまるで牧草地のようです。
 夏の間はここにシカを放牧します。より自然な状態で飼育でき、かつ草を食べることで飼育コストの削減にもなるそうです。
 社長さんの説明によるとエゾシカ肉は近年本州で需要が伸びており、同社では東京・大阪・名古屋などにしっかりとした販路を確保しているとのことでした。
 今回は国の交付金を活用した事業でもあり新規2名の雇用がうまれています。
今後のエゾシカのさらなる有効活用が期待されています。

中小企業振興基本条例の改正
 中小企業の振興と地域経済の発展を図ることを目的とした「根室市中小企業振興基本条例」は、2015年3月議会で制定されました。
 ただし市行政から条例が提案された2014年12月議会から継続して条例審議を行った市議会の産業経済常任委員会から、『小規模企業振興基本法など関連法の趣旨や具体的な施策が充分に活かされるような調査審議を行い、一定の時期までに見直しなどの処置が講ぜられるよう要望する』という附帯決議が付せられました。
 これにもとづき市は、中小企業振興審議会の議論を経て、『小規模企業者へ配慮するよう努める』という条文等を追加した条例改正を行う作業を進めているところです。



根室市産業振興ビジョンの策定

 根室市では、中小企業振興基本条例にもとづき「今後の産業振興の基本方向や推進する施策を明確にする」ための施策体系を示す産業振興ビジョンの策定作業が進められています。
 仮題の段階ですが、基本理念として「地域資源の活用による自立型地域経済の実現~地域力強化による産業発展と雇用の創出~」を掲げています。この基本理念の実現にむけて、
①「人」後継者対策と雇用の確保
②「生産」産業基盤の強化と育成」
③「流通」域内経済循環の推進と域外所得の拡大、
④「交流」国際拠点都市機能の形成
という産業活性化に重要な4つのテーマを定め、それぞれ取り組みを推進する、とされています。
 市の説明では今年度中に取りまとめるとしています。疲弊する地域経済状況に対して少しでも早く将来展望を示していくことは大切です。しかし現在は難しいことにロシア200海里内のサケマス流し網漁の禁止やTPPなどさまざま地域経済に大きな影響を与える事態に直面しています。この先10年の根室の産業振興の柱となるビジョンだけに、策定にあたって、これらの影響や対策をふまえた内容にしていく必要があるのではないでしょうか。

根室市エネルギービジョンの策定
 エネルギー政策はこれまでは主に国が行うものでしたが、3.11以降原発に依存しないエネルギー対策をどのようにすすめるのか、各地域でそれぞれの方策が模索され続けられています。
そしていま多くの自治体では「地域の特性に適した新エネルギーの将来像や導入目標を示したエネルギービジョン」が策定されてきています。根室市でもその策定にむけて取り組むことが、第9期根室市総合計画で掲げられました。
 市のビジョンでは目標を「再生可能エネルギーを活用し、自然と共生する環境にやさしいまち」としています。さらに策定にあたって「多様な再生可能エネルギーの導入に向けた事業で、産業やまちを活性化」など5つの視点(将来像)を掲げています。今後具体的には外部委員会を開催し、市民アンケートにも取り組みながら、来年3月の策定を目指しているそうです。
 前記の目標にある「自然と共生」ですが、根室の恵まれた自然環境と再生可能エネルギー発電施設の建設という「開発行為」をどう共存させるのか、市行政として地域としてしっかりした考えをまとめていくことが大きな課題になると考えられます。
 その他に省エネルギーの推進という観点でも従来の計画からさらに前進させていく必要があると考えます。

水道の料金窓口など管理業務を一括して外部委託へ
 市の水道事業会計は、人口減や地域産業低迷から料金収入の低下や将来的な維持管理費増が見込まれる中、赤字の状態が続いています。
 市ではこれまでの人員の削減など経費抑制対策を進めてきましたが、今春に作成した「根室市水道ビジョン」では、さらなる対策として上水道事業と簡易水道事業の統合、水道施設のダウンサイジング、コンビニ収納の実施、料金窓口の委託などを掲げています。
 今回、委員協議会では来年度4月から行う予定の料金窓口の委託について説明を受けました。
 委託内容は窓口業務だけでなく水道メーターの検針や施設巡回点検、異常水量(漏水)調査などを一体的な管理業務として委託します。
 現状の水道事業の経営のまま続けば、水道料金の値上げとして、市民負担がさらに大きくなることが予想されます。市としては負担増を市民に頼る前に、できる対策は全てやっていこうという姿勢です。
 ただし料金の徴収や未収金管理、滞納整理などは、生活困窮への対応や高齢者の孤立死の発見など、市民生活に密着した業務でもあります。
こうした部分については例え委託になったとしても、充分に注意しながら対応していくことが必要と考えます。

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