2015年6月30日火曜日

2015年 根室市議会 6月定例月議会 一般質問

2015年6月23日に、根室市議会6月定例月議会で行われた橋本の一般質問の内容を一部抜粋・要約してご報告いたします

1.高齢者介護に関する問題について

(1)従事者(専門職)の確保について

(橋本 質問)
 介護の現場で働く方々が安定的に就労できる、将来に希望が持てる就労環境をどのように整えていくかが課題。市の第6期計画では「多様なニーズに対応できるよう介護事業者の資質向上に努めるとともに、介護に携わる人材確保に向けて、事業者と協力し、重点課題として取り組みます」とあるが、市内の各施設などはどのような状況にあるか?

(市長 答弁)
 市では5月に介護事業所に対して事業所の現状や介護体制の課題などアンケート調査を実施した。職員が不足している事業は7か所(介護職17名、看護職4名、事務職1名)
 さらに職員の退職補充が容易でないと回答した事業所が13か所あるなど、多くの事業所が必要な職員の確保に苦慮している実態にある

(橋本 質問)
 今後、急激な高齢化を迎える首都圏が人材を集めると、地方は専門職の確保が一層厳しくなる。いまから一つ一つ手を打っていく必要がある。しかし大学や専門学校の無い当市にとって、縁もゆかりもない土地に専門職を引っ張ってくるのはさらに容易ではない。生まれ育った地域に将来的に帰ってこれる体制づくり、仕事を続けられる体制づくりを官民協力して作り上げる必要がある。
 例えば修学資金の貸付けなどの対象のさらなる拡大なども積極的に検討すべき。

(市長 答弁)
 介護職には複数の資格があり、事業所が必要とする人材について、さらに詳細を調査し、修学資金の有効性なども含め、検討したい

(橋本 質問)
 市内の居宅介護支援専門員は登録数は増えているが実際の実務稼働数はそれほどでもない。第6期計画の将来推計では認定者数が増える内訳はほとんど中軽度者。今後の要介護認定者数の増加についていけないのではないか。実際の状況をどのようにとらえているか?
 あわせて地域包括支援センターについて、設置した2006年からみて要介護者数とくに要支援者は倍以上に増えているのに、これまで包括の人員体制はどれだけ増えてきたのか? もともと65歳以上人口や面積を考えても1か所の包括では限界のある地域。さらに今後も様々な役割が増えてくる。第6期計画では「人員確保に努める」とされているが、あらためて体制強化についてどのように考えるか?

(市民福祉部長 答弁)
 各事業所に12名の介護支援専門員が在籍しケアプラン策定業務にあたっている。小規模多機能の居宅介護事業所の介護支援専門員が退職で一部事業が休止している。
 根室市の包括支援センターの体制は介護支援専門員3名、保健師1名、社会福祉主事1名の5名体制。地域包括ケアシステムの中枢であるセンター機能の充実は大変重要。必要な人材確保と連携強化などについて、庁内や関係団体と協議し、体制強化を図りたい。

(橋本 意見のみ)
 介護施設(障害者施設も同様だが)への看護職等の確保の問題。もともと根室では看護職の配置が十分でないため、医療管理が必要な要介護者の入所の受け入れ困難。そして今はさらに増床した施設への配置に追いついていない。将来的には機能訓練なども含めて今まで以上の配置を求められる。看護職は介護施設という特殊な要因もあり、確保が医療機関以上に難しい状況があり事業者単独の努力では限界があり、対策を市も協力して進めていく必要がある。

(2)根室市の介護予防の取り組みについて

(市民福祉部長 質問)
 介護保険では、2006年ごろから国は本格的に介護予防の概念を制度に取り入れ始めたが、おおむね失敗した。特に要介護のハイリスク対象者をスクリーニングし、短期間で介入する方法論をとった「2次予防事業」は、根室市ばかりでなく全国的にプログラムに参加する利用者がほとんどいなかった。
 そうした中、厚労省は今年度から「あたらしい介護予防事業を」スタートした。全国の先進的な取り組みをふまえた新しい概念が取り入れられている。今後、根室市としてどのように取り組んでいくのか?

(市長 答弁)
 今後の一般介護予防事業は、平成29年度から「介護予防・日常生活支援総合事業」の実施と合わせて、地域が主体となる取り組みなど、多様なサービス提供体制の構築が重要なため、関係事業所等と協議し、新しい介護予防事業を構築して取り組む。

(橋本 再質問)
 厚労省が示す「地域づくりによる介護予防」という観点は大事だと思う。市として住民主体の取り組みを整えていく役割があるのではないか。例えば今年は社会体育の主催で市民34名が「ふまねっと」のサポーター資格を取った。こうした方々を地域でどのように活躍してもらうのか等、住民主体の取り組みに行政がどこまで介入するのか判断は難しいが、地域住民と十分な協議をしながら計画的に一つ一つ構想として積み上げていくことが必要ではないか?

(市民福祉部長 答弁)
 介護予防事業に関わって様々な取り組みを推進するため、地域包括支援センターが中心となり、指摘された社会体育の事業も含めて関係部局や団体と連携し、出前講座やモデル地域の設定など、地域の支え合いの醸成が図られる事務事業の進め方を考えている。

2.成年後見に関する制度の普及について

(1)市民後見人について

(橋本 質問)
 さまざまな消費者被害、特殊詐欺被害などへの対策、銀行預金口座取引や社会保険、不動産売買などの契約、そしてこれまで日本社会では曖昧にとりあつかわれてきた介護や障がい福祉サービスの利用に関する契約の問題等について、成年後見制度の重要性がますます高まってきている。
 しかし従来、成年後見人等の主な担い手の親族や弁護士・司法書士等の専門職だけでは、今後制度を普及していくにあたって、物理的な数量の面で不足し、地域を良く知っている市民後見人の役割が大切と指摘されていた。
 昨年度、根室市は北海道と市民後見人養成研修を実施したところだが、これら制度の普及の取り組み状況と今後の課題は?

(市長 答弁)
 市民後見人は平成24年度から育成・活用を講じることが市町村の努力義務。昨年度、市では市民後見人養成講座を実施し29名の候補者を養成した。
 権利擁護事業や成年後見制度等の利用にあたって、制度利用にかかる金銭的負担や代理による契約行為や財産管理への抵抗感などの理由により制度が十分に利用されていない課題がある。
 制度の内容や利用支援事業(金銭的負担の一部を助成)の周知を図り、市民後見人養成講座修了者に対するフォローアップ研修の実施等、制度の理解と利用促進を北海道や関係機関と連携し取り組む。

3.地方創生と自治体財政の課題について

(1)財政健全化計画と骨太の方針について

(橋本 質問)
 国は、「骨太の方針」に基づき、財政健全化計画を策定し、国と地方を通じた財政健全化に取り組むとされている。この中でも平時モードへの転換や別枠加算などの廃止、行政改革や地域経済活性化に対する取り組みの成果の反映など、地方交付税制度改革では、国の方針が色濃く反映された政策に誘導されるのではないかと懸念する。
 国が指し示す財政健全化が、自治体財政と住民生活にどのような影響があると考えるか?

(市長 答弁)

 国が債務残高が国内総生産の2倍程度に達する極めて厳しい状況の中、経済再生とともに財政健全化が喫緊の課題で、その必要性については理解する。しかし地方創生を通じて、地域の活性化を図らなければならない現時点で、当市に限らず過疎地域に重要度が高い地方交付税制度の改革は、継続的、安定的に住民サービスを提供できる仕組みが前提であるべき。
 様々な分野の財政需要について、単独事業も含めて的確に反映の上、必要な交付税総額を確保し、交付税が持つ財源調整・財源保障の両機能を強化するよう、引き続き北海道市長会と連携して国に強く要望数する。

(橋本 質問)
 地方創生について、新たに「新型交付金」を示しているが、地方交付税の削減に加え、仮に新型交付金の財源を確保するために既存の補助・交付金のスクラップアンドビルドが行われた場合、地方自治体としては「地方版総合戦略」にうまく適合できた事業以外に割り当てる財源の確保が厳しくなるのではないか。こうした方策が、本当に地域の活性化や人口減少対策につながるものになるのか市長の見解は?

(市長 答弁)
 地方創生の呼び水としては、新型交付金が重要な役割を担うことになるが、本格的な事業実施に際して、また自治体としての基盤を強化していくうえでも地方交付税の確保・拡充が極めて重要と考えている。

(橋本 質問)
 国による早期のPB黒字化をめざした財政再建計画と「地方創生」との関係は一見矛盾している関係のようにおもうが、実際のところは同じ方向性にあるのではないか。
 国の方向性は市長が答弁したような「交付税が持つ財源調整・財源保障の両機能を強化する」方向にはなっていないし、一連の経済財政諮問会議の資料を見てもこれからそのようにする気もない、というのが国のメッセージとして読み取れる。
 一方、地方創生が目指すのは全国一律の底上げではなく、国際的な経済競争力の向上のため、名目的に「地域の独自性」を掲げながら、巨大な政府の意図する方向性に地域を誘導し、地域間の競争をあおり、行政コストがかかるばかりの不効率な過疎地域は「自己責任」として切り捨てられる社会。
 このような方向性を国が目指している中で、地方交付税拡充の要望を「これまでどおり」の方法で求めて、国と議論がかみ合うのだろうか?
 この根室の地域社会を継続的に運営し、活性化するために必要な財政運営のあり方、国との関係はどうあるべきか解明した上で、地方再生のための財源や制度を国に求めていく、方法が必要と考える

(市長 答弁)
 骨太の方針の素案では、平成30年度まで今年度の地方財政計画と同水準を確保することが盛り込まれたが、国と基調を合わせて歳出抑制が求められている内容。
 また新型交付金は現時点で詳細は不明だが、財政健全化を推進する上で、地域活性化の取り組みが重点化されているととらえている。
 地方創生に係る財源は最大限の確保に努め、地方全体の活性化に資する観点からも、交付税については引き続き、国に強く要望する。

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